追われ続けて50年超! 「野槌」「ツチノコ」/朝里樹の都市伝説タイムトリップ
姿を変えて現れるあの蛇の正体とは?
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かつて賞金2億円を掲げた兵庫県千種で、再びツチノコブームが再燃している。
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2025年に入り、ツチノコの目撃が相次いでいる町がある。兵庫県宍粟市、千種町のエリアだ。
千種町は1970年代からツチノコの存在が囁かれてきた地域で、当時は町ぐるみでの大規模な捜索が行われたこともある。さらに1992年には、ツチノコ懸賞金史上最高額となる「生け捕り懸賞金2億円」を発表し、全国的なニュースとなった。
この懸賞金は合併に伴い消滅したものの、千種町が「ツチノコの聖地」として全国に名を残すきっかけとなった。

そんな町で、2025年になって再び複数の新しい目撃情報が寄せられている。
6月には、千種町中心部に近い県立千種高校そばの自動販売機付近で、地域住人がツチノコを見たという。周囲には川が流れ、ヘビ類の生息環境としても適している。
また、町内のゴルフ場の7番ホールでも連続した目撃が報告されている。
そもそも昭和40年代には営林署職員が“ダドンの泉”の北で目撃した例もあり、千種町は古くから有力なツチノコ目撃地として知られているのだが、なぜ今になって……?
ともあれ、千種町でにわかに「ツチノコ再来」の熱が高まり、町ぐるみのイベントが開催されるに至った。
それが11月16日にちくさ高原マウンテンビレッジで実施された捜索イベント「つちのこさがし」第1回である。第1回とあるとおり、現地では定期的な開催を目指してツチノコハンターの組織も準備しているというから、本気度がうかがえる。
再び千種の山々がざわめき始めた。


記念すべき第1回「つちのこさがし」に集まったのは、町内はもちろん市外や隣県から駆け付けた20数名。UMAやオカルト好き(筆者もそうである)もいれば、親子連れ、そしてキャンプやツーリングの愛好家も集った。ちくさ高原マウンテンビレッジはアウトドアレジャーのロケーションとしても人気だ。
キャンプ場に設置された特設ステージでは、まず「ツチノコの里・千種」を振り返るトークイベントが行われた。
宍粟市観光大使の菊地周星氏の司会進行で、元千種町役場職員の清水忠二氏が当時の思い出を語った。
当然、気になる話題は、30年以上前の「生け捕り賞金2億円」についてだが、清水氏によると、それは「町長の言葉が独り歩きして……」と苦しい様子。

千種町のツチノコに2億円の賞金が設定された、ことの背景はこうだ。
90年代当時、道の駅ちくさに「おかえりなさい つちのこ」という看板が地元有志によって設置された。ツチノコの里としての堂々たる宣言である。
その看板が話題となり、新聞記者が取材に訪れたことがーー始まりだった。
町長がツチノコ騒動の歴史を語る中で、ふと記者から「もし捕獲されたら懸賞金は?」という質問が飛んだのだ。70年代のノータリンクラブからして「ツチノコ捕獲と懸賞金」はセットで認識されている。記者に悪気はなにもなく、「ツチノコといえば」くらいの気持ちの問いかけだっただろう。
その際、町長は何気なくこう答えたというーー。
「年間の町税収入がだいたい2億円。払えない額ではないだろう」
まさかの2億円。税収入を全額提示したように聞こえてしまったわけだ。
この“うっかり発言”がそのまま懸賞金額として独り歩きし、結果的に全国の新聞・雑誌から取材が殺到する大騒ぎへと発展したわけだ。現在は市町村合併で千種町は宍粟市の一部となり、ツチノコに関する賞金については無効の状態である。

今回のイベントで、ひときわ来場者の視線を集めたのが、「ムー」をはじめテレビなど各種メディアでも取り上げられたという「ツチノコのミイラ」である。
このミイラは2001年、千種町で偶然発見されたもので、驚くべきことに「発見時はまだ生きていた」と伝えられている。その後、自然乾燥が進みミイラ化。現在は乾燥材とともにプラスチックケースに収められ、発見者の家族によって大切に保管されている。
今回の展示は、そのお孫さんのご厚意による特別公開であり、関係者にとっても貴重な機会となった。
ステージ上ではミイラが姿を見せるや否や、参加者が次々とスマートフォンを構えて撮影に押し寄せた。来場者たちが食い入るようにミイラ」を覗き込み、形状や大きさを確かめる姿からは、未確認生物への関心の高さがはっきりとうかがえた。


イベント後半では、参加者待望の「つちのこガチ捜索」が行われた。
そこには、ツチノコハンター歴40年以上という、ベテランのUMA愛好家・島崎研造氏も特別ゲストとして参加。島崎氏は約40年前に書籍で見た奇妙な蛇のツチノコに魅せられ、兵庫・徳島・高知などで探索を続けてきたという。数年前から兵庫に在住とのことで、宍粟市のツチノコブーム再燃を予見していたかのようだ。
胸に動画用のカメラを装着、一眼レフと捕獲用の網を持って山を歩くという、ほぼプロ仕様の活動スタイルの島崎氏を中心に、一行は千種の山林へと分け入った。
参加者の中には本格的な機材を持参する人もおり、特に目を引いたのはファイバースコープだ。
倒木の隙間や小さな穴など、肉眼では確認しづらい場所へスコープを差し込み、ツチノコの痕跡を探る様子は、まさにプロの捜索隊そのものだった。

千種の山は深い緑に包まれ、どこか神秘的な空気が漂う。
「この環境なら、何が潜んでいても不思議ではない」参加者からはそんな声も漏れたほどだ。
今回は残念ながらツチノコとの遭遇には至らなかったが、参加者たちは口々に「次こそは」と意気込んでいた。
千種の山での捜索は、まだ始まったばかりである。
そして、千種町を訪れたなら、必ず立ち寄りたいスポットがある。
それが「道の駅ちくさ」だ。
施設内にはツチノコをモチーフにした看板やイラストが数多く飾られ、まさに“つちのこ天国”ともいえる雰囲気を醸し出している。
その中でも特に注目すべきは、話題の「世界初つちのこ料理」だ。
看板メニューの「つちのこうどん」は、ツチノコの形を模した特製のアゲが乗り、さらに地元産のシカ肉が添えられた滋味深い一杯。見た目もユーモラスながら味は本格的で、訪れた捜索者や観光客がこぞって注文する人気メニューとなっている。
土産物コーナーではつちのこグッズも多数販売されており、捜索の記念を持ち帰ることができる。探索の前後に立ち寄るには最適の拠点だ。


という2025年からの盛り上がりをお届けした。
さらに現在、千種町では、道の駅ちくさを中心に新組織「千種町つちのこ発見・研究本部」が発足した。ここを拠点に、千種つちのこの情報発信やミイラをはじめとした伝説の保全・保管が実施されていくのだ。
活動を継続的に充実させつべく、クラウドファンディングも開始される。
2026年6月28日……伝説の始まりに、ご注目を。

おかゆう
オカルトライター。現地取材が好き。一般社団法人 超常現象情報研究センター、つちのこ学会所属。
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