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おばけは死なない……鳥取県境港の水木しげる記念館が生まれ変わった!
鳥取県境港市の「水木しげる記念館」が、約1年間の建て替え工事を経て、2024年4月20日(土)にリニューアルオープンした。本サイトでもレビューしたが、昨年末から公開されたアニメ映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のヒットも記憶に新しい中で、満を持してのオープンである。
境港市は、「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる漫画家・水木しげるが、自身の妖怪漫画のルーツとなる幼少期を過ごした記念すべき土地。1993年に、境港駅から続く地元商店街「水木しげるロード」が整備され、その中心施設として建設されたのが「水木しげる記念館」だ。
これまでも、「ゲゲゲの鬼太郎」等の代表作や、水木しげるが漫画家として成功するまでの生活を紹介する展示が人気を集めてきた。今回のリニューアルにより、それに加えて水木しげるの少年期や苛酷な戦争体験など、その波瀾万丈な生涯を豊富な資料を織り交ぜながら紹介するコーナーがより充実。さらに、水木しげるの描いた妖怪画や、生前の名言なども公開されている。
さらに企画展示室では、旧記念館では展示できなかった貴重な原画が、約半年ごとに内容を変えて展示される予定だ。
ちなみに第1回のテーマは、「鬼太郎の誕生—生まれかわる四つの物語—」(前期:2024年4月20日(土)~10月20日(日))である。企画展示初回のテーマとして、これ以上はない内容なので、ここでちょっと解説しよう。
ご存じない方もいるかもしれないが、実は「鬼太郎」は元々、戦前の街頭紙芝居にルーツがある。紙芝居は戦前〜戦後にかけて子供たちの一大娯楽であり、水木しげるも漫画家になる前に紙芝居作家として活動していた。
戦前に作られた古い紙芝居の中に、民話怪談「飴屋の幽霊」(妊婦のまま死んだ女性が、墓の中で生まれた赤ん坊を育てる話)をモチーフにした「ハカバキタロー」というヒット作があり、その内容をヒントにして1954年頃に水木しげるが作ったのが「蛇人」という紙芝居。この中で、初めて水木しげるによる「墓場の鬼太郎」というキャラが登場し、これが鬼太郎シリーズの原点となる(当時、既存作品を元に新しい紙芝居を作ることは普通だったそう)。その後、漫画家に転向した水木しげるは、紙芝居作家時代に描いた鬼太郎をベースに、1960年に貸本「妖奇伝」で初めて漫画「鬼太郎の誕生」を描く。そこから漫画「ゲゲゲの鬼太郎」につながっていくのだ。
「鬼太郎は、人類が地球上に生まれる前から住んでいた幽霊族の、最後の生き残り。埋葬された母親から生まれてきた。死んだ父親は鬼太郎を心配するあまり、目玉だけの姿になって鬼太郎を見守る」…このストーリーをベースに 「鬼太郎の誕生」はその後3度、発表媒体を変えて描き直されてきた。
水木しげる記念館リニューアルオープンの記念すべき初回企画展示は、これら4つの「鬼太郎の誕生」 について詳しく紹介するというもの。水木しげるだけでなく、鬼太郎のルーツも詳しく探る展示として大注目である。
そんなわけで、新しくなった「水木しげる記念館」については、水木しげるの長女である原口尚子氏が自身の公式X(旧Twitter)で、「展示見て何度か泣いた」(原文ママ)と語っているほど、見どころが充実していることで注目が集まっている。
境港へ妖怪の気配を感じに行くなら、外せないスポットだ。
<水木しげる記念館>
【所 在 地】鳥取県境港市本町5番地
【開館時間】9:30~17:00(最終入場は16:30)
【休 館 日】年中無休
【公式サイト】 http://mizuki.sakaiminato.net/
【アクセス】JR境線米子駅から境港駅まで約45分+徒歩約15分、米子鬼太郎空港からタクシーで約20分、空港連絡バスで境港駅まで約25分、中国横断道 米子ICから約40分
【入館料】前売券/当日券:一般 900円/1,000円、中学生・高校生 400円/500円、小学生 200円/300円、障がい者 200円/300円 ※料金は税込みです。 ※未就学児は入館無料です。
*チケットはイープラスでも購入できる https://eplus.jp/mizuki_sakaiminato/
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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