高知の長頭宇宙人と兵庫の「ええもん」…宇宙的怪奇体験/松原タニシ・田中俊行・恐怖新聞健太郎の怪談行脚

文=松原タニシ・田中俊行・恐怖新聞健太郎

    伝説のコラムを再録! 異色の怪談ユニットが、行く先々での怪奇体験を公開。3回目はなんと「UFOとの遭遇」がテーマ。地球・日本の田中家の状態は、地球外知的生命体にも筒抜けなのだろうか。 (2020年3月28日記事)

    田中俊行が守るもの

    タニシ 事故物件住みます芸人・松原タニシです。
    田中 オカルトコレクター・田中俊行です。
    健太郎 四国高松で怪談をやってます、恐怖新聞健太郎です。

    ③丸坊主になった恐怖新聞2
    丸坊主にした恐怖新聞健太郎と、田中俊行。お互い、守るものがある。

    田中 健太郎さんは四国の怪談を守ってますからね。
    健太郎 自分では守ってる自覚はなかったんですが……
    田中 いや、こんな時代やからこそ僕らが怪談を守っていかなあかんから。だからこれからは「四国の怪談は俺が守る! 恐怖新聞健太郎です」って言わな。
    健太郎 責任重大ですね……。田中さんはどこで怪談を守ってるんですか?
    田中 僕は実家で守ってるよ、怪談も遺産も。
    健太郎 遺産も?
    タニシ 田中さんはこう見えて子供部屋おじさんですから。
    田中 「神戸の実家は俺が守る! 弟には渡さないぞ、田中俊行です」
    タニシ さすがやね。そういえば田中さん、ちょっと前にお母さんから部屋の戸に貼り紙貼られてましたよね。何って書かれてたんでしたっけ?
    田中 「どんなむだな事をしてるのか よくわかった」やな。
    健太郎 お母さん、息子の怪談全否定してるじゃないですか。
    田中 あと「早く出ろ!」やね。
    健太郎 遺産も無理じゃないですか。
    田中 そやねん。

    ①貼り紙
    田中俊行の部屋の戸に貼られていた、お母さんからの貼り紙。切実。

    四国の宇宙人がビールを飲んだ話

    タニシ まあ田中さんは怪談以外にも面白い話ありますからね。UFOの話。
    田中 そうそう。僕UFO見てるから。
    健太郎 え、マジですか?
    田中 マジです。でもその前に四国もUFOの話はよく聞くよね。

    健太郎 そうなんです。実は僕の地元の香川県の友人もUFO見ていて。
    友人が昔、夜中に寝てたらもの凄い音が外から聞こえてきたらしくて、「何だろ!」と思って窓から空を見ると、ピカピカ光る飛行機よりデカい何かが轟音を立てながら山の方に墜落していったんです。そして落ちた瞬間に「ゴォーーーン」ていうとてつもない衝撃音が聴こえてきて「ああ、これは明日大ニュースになるやろなぁ」って思いながらまた寝たらしいんですけど、次の日そのニュースは全く出ず、今の今まで話題にすらならなかったみたいです。でも友人は頑なに「あれはUFOが墜落した瞬間に違いない。きっと日本はアメリカに指示されて無かったことにしてるはず」って言ってました。

    タニシ 他の人は目撃してないんですかね。
    健太郎 友人が言うには「多分みんな記憶を消されて、俺だけが免れたんじゃないかな」って。
    タニシ そんなことあるんですねぇ。

    田中 四国は多いからなぁ、UFOの目撃談。そもそも四国のUFO話で有名なのはやっぱり高知の介良事件。1972年に高知県高知市東部の介良地区で数人の中学生が小型のUFOを捕まえた話。
    この話は子供の嘘かと思いきや、目撃者の二人がUFOの大きさを巡って言い争いしたりと、本当に何かがあったのは確かなのかもしれない。

    タニシ 高知県は筆山にも出るって聞きましたよね?
    田中 そうそう、いつも高知で怪談イベントさせてもらってるカオティックノイズの近くにあるバー「VIVA」のマスターIさんがその話をしてくれた。確か筆山に向かうUFOを20機ほど見たと言ってましたね。
    健太郎 20機はすごいなぁ。

    ⑥巨大観音像b
    高知県の筆山にある霊園には、巨大な高知観音がある。こういう場所ではやはりはしゃいでしまう松原タニシ…。

    田中 Iさんは2011年に高知の自宅から筆山の方向に20機以上の円盤と、あと葉巻型のUFOも、その時期に立て続けに見たらしい。
    タニシ 周りでは誰もUFOを見てなかったけど、地震の観測所で働く研究員の知人だけが唯一「Iさん、実はその日、高知県では地震は起きていないはずなのに、うちの観測所では何故か異常な数値を叩き出したんです」って言っていて、そのデータのグラフを見せてもらったら、IさんがUFOを見たとされる時間帯だけグラフがびよーんと跳ね上がってたんですよね。
    田中 そうそう。それで最終的にはお店のバーに奇妙な男が現れたって。
    その男は年の頃なら40歳ぐらいで、夜中の2時ごろにふらっと来店した。まず身長が2メートルほどあって驚いたけど、更にびっくりしたのが頭頂部が変に長くて……そうそう、力士が新弟子検査の時に頭にシリコンを埋めたような……
    タニシ 舞の海ですね。
    田中 そう、舞の海のシリコンが超長いバージョン。そのシリコン部分が、その男の顔と同じぐらい長かったって。
    健太郎 バケモノですやん。

    ⑧宇宙人のイメージb
    違和感を隠そうともしていなかったようだ。ちなみに2mmという記載は2mの間違い(再現絵=田中俊行)。

    田中 ほんで、異常なガニ股で、歩き方もゼンマイで動くおもちゃみたいで……靴の先は両足とも90度外側に向いていたと。そして男はソファーに座ると、機械音の様な高い声で震えながら
    「ビールヲクダサイ〜」
    って言った。
    Iさんはその姿を見て「確実に宇宙人だ」って思ったらしい。
    健太郎 宇宙人、ビール飲むのか!

    田中 Iさん、めっちゃ怖かったけど好奇心が勝って、なんとかしてこの宇宙人とコミュニケーションを取れないかなぁと模索したけど、あいにくカウンターにお客さんが2人いて、そっちの相手をしないといけなかったから宇宙人とちゃんと話ができなかったみたい。
    しばらくしてソファーの男は立ち上がって、カウンターまで来て千円を出してきた。お勘定はチャージを入れて900円だったのでIさんは100円のお釣りを渡そうとしたそうやねんけど、男はまたしても機械音の様な高い声で
    「オツリ〜ハイリマセン〜」
    と言って帰っていったらしい。
    健太郎 宇宙人、紳士ですね!

    田中 ていうか、もしその男が本当に宇宙人だったとしたら、そんな下手な変装あるかなー?て思う人もいるかもしれないけど、Iさん曰く「もしかしたらわかりやすく私の前に出て来てくれたんじゃないかなぁ」って。
    Iさんはその頃UFOを立て続けに見たことで色々と未確認飛行物体の事を調べていたらしいねんけど、「あなたが今調べている不確かな存在は、本当にあるんだよ」というのを自分に教えるためにわざわざ出て来てくれたんじゃないか、って言ってたわ。

    タニシ すごい話ですよね、コレ。
    田中 しかも、奇妙な男の来店を最後にUFOの目撃はピタッと止まったらしい。
    健太郎 いやぁ、四国ヤバイですねぇ〜。

    UFOイベントで「ええもんみしたろか?」

    タニシ ただ、関西もなかなかですよ。僕も田中さんと同じ神戸の出身なんですけど、今から40年ほど前、僕がまだ生まれる前にうちの母親が兄貴を幼稚園に連れて行く時に、頭上に映画の『インデペンデンスデイ』に出てきたような巨大UFOが現れて、それを他の幼稚園のママさん達も同時に見て騒然となって、翌日の地元の新聞にも「神戸上空に巨大UFO現る」ってちゃんと載ったらしいですからね。

    田中 神戸近辺はすごいですからね。特に西宮にある甲山。この甲山付近は兵庫県でも有数なオカルト密集地域でして。牛女はいるし、幽霊目撃例はあるし、真相が闇な甲山事件もあって、そしてUFO多発地帯でもある。

    ⑦甲山
    甲山は地元では有名な心霊スポット。深夜のバス停でバスを待つ人影も現れるとか……。

    田中 もうかれこれ15年くらい前になるかな。Mさんという当時日本一UFOを写真に撮れるコンタクティーの男性が居て、そのMさんが近々西宮の甲山近くのカフェでUFO撮影会を開くという情報を掴んで。
    このMさんがなぜ日本一UFOを撮影するかというと、コンタクトしてる宇宙人から撮影許可書なるモノを貰ってるからなんです。許可書をUFOスポットで空に掲げると、UFOが姿を見せてくれて撮影できるという……。

    この西宮で開催されたUFO撮影会の詳細はまたいつかお話しするとして、とにかく無事に(?)撮影会は終わってね。参加人数は30名ほどで参加費は各4000〜5000円したと思う。みんなが会場のカフェを出て帰った後、僕は残って主催者やMさんと話込んでいましてね。話が終わってお礼を言って別れを告げて、僕も会場を後にしました。会場は結構山の中だから、駅へ向かう為のバス停に向かって歩き出したんです。そしたら……

    「にいちゃん……ええもんみしたろか?」

    唐突に呼び止められた。
    少し不気味な声の方向へ顔をやると、家と家の60cm程の暗闇から声がする。恐る恐る近づくと、そこには見覚えのある女性が立っていた。先ほどのUFO撮影会で僕の隣に座っていた人だったんです。

    ⑤謎の女性の似顔絵b
    その女性(似顔絵=田中俊行)。

    「にいちゃん……ええもんみしたろか?」

    女性はズボンのポケットから出した、折りたたみ式のガラケーを開いて動画を再生しだした。それを見ろと言わんばかりの視線を送って来たので僕も画面を覗き込んだ。その動画はある部屋の窓から外を撮影してるようだった。
    畳が見えたので和室だろう……窓の外の景色から、2階の部屋から撮影してるのがわかった。しばらくするとその女性の声で

    「コイ、コイ、コイ、コイ!」

    と言ってるのが画面の中から聞こえてくる。すると……

    「フュンフュンフュンフュンフュンフュン」

    どうやら窓の外から何かが回ってる様な音が近づいてくる。その音を聞いて女性は興奮した感じで

    「キタキタキタキタキタキタキター!」

    と画面の中で叫んでいる。
    その瞬間、窓の下から銀色の三角錐を上下に2つ合わせた感じで全体は菱形の……菱形の謎の物体が、上の部分は反時計、下の部分は時計回りに水平に回転させながら空中を浮いて来た。謎の物体は部屋の窓のちょうど中央まで浮かんで重力に逆らう様に空中浮揚していた……そこで動画は止まった。

    女性は目を見開いて
    「っな! にいちゃんええもん見したやろー!」
    って顔を近づけて叫んできた。

    今までいろんなUFO動画を見て来たけど、あれはトップクラスに入る衝撃映像やったなぁ。

    ②UFOの絵
    田中俊行が謎の女性に見せてもらった動画のUFO(絵=田中俊行)。

    健太郎 田中さん、UFOじゃなくて「UFOの動画」を見たんですか?
    田中 うん、動画。でもあれはほんとにすごかったなぁ。その女性も何者だったのかわからんし。
    タニシ なんでその女性、田中さんにUFO動画を見せたんですかねぇ?
    田中 わからん。こいつになら見せても大丈夫って思われたんかなぁ。

    ④広島の怪談ライブb
    今回のオマケ。
    2019年に開催された広島の怪談ライブにて。メイクが白すぎたのか、恐怖新聞健太郎の顔が写真に映らなかった。心霊写真のセオリーだと、頭部にケガをするやつなので心配。

    松原タニシ

    心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。

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