富士山頂に「赤い雲龍」が出現! 辰巳の天が開いた瑞兆を地霊のプロが読む

文=本田不二雄/取材協力=き りん(嶽啓道杜頭)

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    富士山頂の上空に、時ならぬ「龍が現れた! SNS「X」の一部界隈を騒然とさせた写真や動画は何を意味するのか。さっそく「地霊詠み」のプロにうかがってみた。

    辰巳の天が開き、龍の子が誕生!

     去る令和6年11月27日に撮影されたある写真や動画が、SNS上で拡散され、コメント欄を騒然とさせている。 いわく、「富士山に燃えるような龍がいた」というものである。
     それが1枚だけならまだしも、同じ日の夕刻、それぞれ別の場所から撮られたと思しき画像が同様の〝龍〞の姿を写し出しており、何より、山中湖畔に据えられた富士山のライブカメラに、刻々と変化していくその様相が動画でとらえられていたのである。

     筆者が視たのは、上記の同日16時35分30秒から36分30秒までの切り取り動画だったのだが、確かに、山頂付近から湧きでた〝赤い雲〞が龍を思わせる姿をなし、やがて雲間に隠れていく様子が見てとれた。

    ケーブルテレビ河口湖のYouTubeより。 https://www.youtube.com/watch?v=1zG3sVZAHpE

     常識的にいえば、山頂付近から立ち昇るガスや水蒸気が雲をなし、折からの西日を受けて赤く輝いた現象にすぎないのだろう。

     しかしそれは、あまりに龍のビジュアルを想起させるものだった。
     そのため、「静止画見たときはフェイク画像かと思ったが違うようですね」「本当だ…いよいよ噴火するかな…」「そろそろ南海トラフ! 富士山の爆発ですかもね!」「きっと龍神が撮らせた。このままでは日本は危ないという警告」「これから、日本国の、大掃除がはじまる合図かな」「吉兆だと思いたい」……などのコメントが噴きあがったのである。

     なお、出回ったスチール写真(静止画)のなかには、龍頭部のディテールはもとより、九頭龍のごとき多頭を併せもつ(と思しき)姿を写したものもあった。コメントの冒頭にあるように、これ単体ではフェイクを疑わせるものの、動画を参照することで、結果的に説得力を増すことになったともいえる。

    「龍の子が生まれた」

     凶兆か、吉兆か。この現象はわれわれに何を指し示しているのか。

    「地霊詠み」のプロ、占呪術師のき りん氏(嶽啓道杜頭)に聞いてみた。
     き りん師は、そのとき「あっ、生まれた!」と直感したのだという。

     どういうことか。師の話に耳を傾けてみたい。

    「前日の26日の朝、いつも早朝から鳴いているスズメのさえずりがぱったりとありませんでした。そして申酉の刻(午後5時前後)ごろ、地下の浅い部分で静かにバイブレーションが起きていました。深いところが動くときは地震の前ぶれだったりするのですが、(龍の)〝子ども〞が生まれるときは、それより浅いところで振動が起こる。あくまで自分の体感としてですが、ようやく〝開く〞ときが来るのかという予感があったんですね。
     そして27日、胎動というのか、前日からのバイブレーションは周期的に上がってきていました。その日、都内で打ち合わせをしたあと神奈川方面に移動。多摩川べりで富士山を見ていました。午後2時ぐらいから、空(雲)の動きは独特で、地鳴りのような体感はずっとつづいていましたが、それがピークに達したのが、やはり同日夕刻の時間帯。空の赤みがふだんとまるでちがっていました」

     もともと、き りん師が教えを受けた「洞」の口承では、富士山は地龍が火を吐く場所で、その龍は、関ヶ原以東の東日本を管轄するように動くという。つまり、東日本の地龍は、富士山を中心としたエリアをダイナミックに展開しているというのだ。
     その動きを観測するためには、「空を見ろ」が鉄則だとき りん師はいう。
    「大地の中は見えないが、空の気配に必ずそれが写しとなって鏡が現れている」──と。
     結果として、地龍の胎動と富士山上空の観天望気によって、師は「龍の子の誕生」を感得したわけである。

     重要なことは、地龍の顕著な動きは人の先天の気と相関することだ。つまり師にいわせれば、11月27日にどこかで「龍の子」が生まれているのである。

    「旧年は辰年だから、龍のところに届きやすいうえに、この前後で生まれた子には『辰巳空亡』も入っている。だからいろいろ面白い」とき りん師。

    「空亡」とは、年や日の十干(天の気)と十二支(地の気)を組み合わせたときにできる余りの二支のことで、27日の前後はそれが「辰・巳」。つまり、辰巳に天の塞ぎがない状態をあらわし、辰(龍)と巳(蛇)が一気に解き放たれるタイミングなのだと師はいう。

    「ある意味、今回の現象も辰巳から引っぱり上げられたともいえますね」

     尋常ではない気象現象が不吉な予感を抱かせるのは、昔も今も世の常だろう。しかし、富士山の龍雲が「龍の子の誕生」のシグナルだったとすれば、混迷を深めるこの国の将来に、ひとつの明るい兆しとなるのかもしれない。

    北斎の最晩年に描かれた「富士越龍」。南東側山腹の宝永噴火口のあたりから天に上る龍が描かれている。富士山と龍は昔も今も定番のモチーフだ。

    (月刊ムー 2025年2月号)

    本田不二雄

    ノンフィクションライター、神仏探偵あるいは神木探偵の異名でも知られる。神社や仏像など、日本の神仏世界の魅力を伝える書籍・雑誌の編集制作に携わる。

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