ギリシャで出土した「ペトラロナ人」の頭蓋骨が人類の「アフリカ単一起源説」を覆す!? 研究者が襲撃被害も… 人類史のタブー「多地域進化説」の陰謀

文=仲田しんじ

関連キーワード:

    ギリシャでその頭蓋骨が発見されたペトラロナ人とは何者だったのか――。ある研究者によればペトラロナ人はヨーロッパで独自に進化したヒト属であることが主張されている。

    ペトラロナ洞窟で発見された70万年前の頭蓋骨

     1959年、ギリシャ北部ハルキディキ半島にあるペトラロナ村で、地元の羊飼いが小さな洞窟の入口を発見した。年を越して厚い雪が溶け始めた頃、村人たちは内部の探索に乗り出した。洞窟の中には鍾乳石や石筍が豊富にあり、化石化した木材や石器などと共に、人間のものらしき頭蓋骨が発見された。

     その頭蓋骨は、村長によって研究のため同国テッサロニキ大学へ送られ、返還を前提に貸与された。

     ユネスコの国際人類学・民族学連合(IUAES)の会員であり、後にギリシャ人類学会の創設者となるアリス・プーリアノス博士は、当時モスクワ大学で研究を行っていた人類学者であったが、ギリシャに帰国後すぐにペトラロナの洞窟と頭蓋骨の研究に着手した。

    アリス・プーリアノス博士 画像はYouTubeチャンネル「Balkan Eye」より 

    「ペトラロナ人」あるいは後に「アルカントロプス」と呼ばれるようになったこの化石は、プーリアノス博士によれば70万年前のもので、ヨーロッパで独自に進化したヒト属であり、アフリカから来たホモ・サピエンスでもなければネアンデルタール人でもないという。

     70万年前の頭蓋骨が現生人類の祖先に通じるヒト属ものであるとすれば、人類進化の「アフリカ単一起源説」と真っ向から矛盾することになる。

    ※画像は「Wikimedia Commons」より

    頭蓋骨の年代は30万年前!?

     その後、12か国46人もの専門家からなる国際的研究チームによる発掘調査が続けられ、プーリアノス博士の主張を裏付けるさらなる証拠が得られた。化石化した木片、オークの葉、動物の毛、糞石などの注目すべき発見があり、これらによって正確な年代測定も可能になった。また、洞窟内の堆積物の下層(75万年前)から上層(55万年前)にかけて、年代順の石器や骨器なども見つかったという。

    ※画像はYouTubeチャンネル「Balkan Eye」より

     当時の独裁政権の命令による中断を経て、調査は1983年まで続けられた。しかしその後、政府は当初の考古学チームを含む全ての関係者に対し、遺跡の発掘を禁止する命令を下し、誰も遺跡や発見物にアクセスすることができなくなった。理由が一切説明されなかったこの立ち入り禁止措置はいったい何のためだったのか、今も真相は不明である。

     ギリシャ人類学会が国を相手取る訴訟を起こしてから15年後、研究者らは再び洞窟への立ち入りを許可されたが、文化省は今でも裁判所の判決を覆そうとあらゆる手段を講じているといわれており、さらなる裁判の可能性は依然として残されているという。

     海外歴史メディアによれば、プーリアノス博士の研究結果は、人類進化に関する従来の考え方と完全に矛盾するものだったため封殺された可能性があるという。しかも2012年、プーリアノス博士夫妻は自宅で何者かによる暴行を受け負傷したが、犯人は未だに見つかっていない。彼と研究チームは、依然としてペトラロナ洞窟への立ち入りを拒否されている。

     現在、ペトラロナ洞窟の外には、洞窟で発見された頭蓋骨が30万年前のものであることを示す看板が立てられており、主要言説では頭蓋骨の年代を35万年〜16万年前というレンジに収めようとする記述が主流となっている。そして英ロンドン自然史博物館のクリス・ストリンガー博士らによる2025年の研究で、ペトラロナ洞窟の頭蓋骨は約30万年前のものであると結論づけられた。

     しかし2012年に英ケンブリッジ大学のニコラス・マシー=テイラー教授は、ギリシャ文化省に書簡を送り、この頭蓋骨の正確な年代は30万年前ではなく70万年前であると指摘している。彼はまた、この驚くべき発見に関する情報を政府が隠蔽していることにも異議を唱えている。

    ※画像はYouTubeチャンネル「Balkan Eye」より

    「多地域進化説」は嫌われている!?

     海外歴史メディアによると、プーリアノス博士の研究で最も重要な結論は、主要な人類学的タイプ(ホモ・エレクトス、北京原人、ネアンデルタール人、ペトラロナ人)がほぼ同時期に共存していたという点だという。

     プーリアノス博士の研究は、これらのヒト科が各地域でホモ・サピエンスに進化していったとする「多地域進化説」を支持するものになる。

     現在主流のサイエンスでは「多地域進化説」は否定され、アフリカで生まれた人間が世界に広がったとする「アフリカ単一起源説」が正しいとされている。しかし「多地域進化説」の可能性がゼロになったわけではないだろう。

     もしもペトラロナ人が70万年前に遡るとすれば、「多地域進化説」の可能性が高まるため、それを嫌う何らかの勢力があるのかもしれない。しかし、なんの根拠もなくそれを言い出せば“陰謀論”ということにもなる。

     2018年12月31日、プーリアノス博士は海外メディア「Ancient Origins」に書簡を送り、残念ながらペトラロナの頭蓋骨に関する情報の隠蔽が続いていると訴えている。

    「上記のような経験から、私の研究が禁止されているのは、真実の暴露を阻止しようとする政治的理由によるものだと考えます」(プーリアノス博士)

    「Ancient Origins」の共同創設者のジョン・ブラック氏は、人類史に関する知識が“管理”されていると主張している。

    「世界中のさまざまな大学とその提携機関は、あらゆる小規模な機関に影響力を行使する力を持っている。これはおそらく、今回のような研究を権威ある人物のみに独占させるためだろう。人類史の章を書き換えることは、彼らだけの“権利”なのだ。こうした組織やフォーラムに属さない者は、あらゆる手段を用いて阻止される。たとえ十分に立証された証拠があったとしても」(ブラック氏)

     はたしてプーリアノス博士らの研究は再開できるのだろうか。そして「多地域進化説」が今以上の説得力をもつことがあるのか。さらには人類史の分野において、なんらかの政治的力学が働いているのだろうか。今後も関連する情報をチェックしていきたい。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「Balkan Eye」より

    【参考】
    https://www.ancient-origins.net/human-origins-science/human-skull-challenges-out-africa-theory-001283

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

    関連記事

    おすすめ記事