南さつま「宮ノ山遺跡」は鳥人王の神殿だった!? 衝撃の日向王朝・ムー大陸説!
日向神話と南方神話の共通点を探ると、翼を備えた鳥人の伝説がつながる。イースター島と日向を結ぶ「ムー大陸」の外形がそこに見えてくるが……?
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「三種の神器 」に次ぐ神宝ともいわれる霊矛の衝撃の真実を三上編集長がMUTubeで解説。
天浮橋に立ったイザナキとイザナミが天沼矛を下界に指し下ろし、コオロコオロと音を鳴らせながら海水をかき回す。そうしてから引き上げると、矛先から滴り落ちた塩が積もり重なって島ができた。そこで2神はこの島に降り立った……。
これは『古事記』『日本書紀』に記されているイザナキ・イザナミ神話の冒頭で、2神が造った謎めいた島はオノゴロ島と呼ばれる。そして彼らはこの島で正式に夫婦となり、次々に国土や神々を生み成してゆくのだ。
イザナキ・イザナミが手にした天沼矛はもちろん神話上のアイテムである。だが、日本のとある場所には、天沼矛そのものとして伝えられてきた古物が厳然と存在している。それが、南九州は霧島連山の高千穂峰の山頂に屹立する「天逆矛」だ。
山頂にある、岩塊が敷き詰められた円錐形の丘に立つ天逆矛は、その周囲を鎖で遮られてはいるものの、頂上まで来ればだれもが直接拝することができる。その意味では、きわめてオープンな神宝である。
しかし、謎が多い。
まず、神代に由来するものという話は措くとして、いったいいつ、だれが、なぜこの宝器を高千穂峰に建てたのか。
そもそも、現状の天逆矛は、鍔のようなものの上に穂先のようなものが3本立ち、全体を太い棒状のものが支え、その棒には天狗の鼻のような突起物が1対ついているという、じつに奇っ怪な形状をしているのだが、これがなぜ「逆矛」と呼ばれるのか。三叉の矛が穂先を上に向けて立っているようにも見えるが、この見方は正しいのか。
現在の逆矛はオリジナルではなくレプリカだという話も聞かれるが、本当にそうなのか。
三叉の矛のような形状から、「矛ではなく、じつは密教法具の三鈷杵をかたどったものなのでは」という見方もあるのだが、真実はどうなのか。
一方で、こんな話も伝えられている。
「かつて火山の大噴火で天逆矛の刃片が吹き飛んだことがあった。それはのちに麓の神社に奉納されて御神体になったのだが、昭和終戦後に行方不明になってしまったらしい」
この件については、今回筆者が取材を進めたところ、なんと、この「天逆矛の刃片」を捜し当てることができた。そしてこれを手がかりとして、天逆矛の深層に迫ることもできたのである。
取材の成果を披露する前に、天逆矛に関する基本情報を整理しておこう。
天逆矛が所在する霧島連山(たんに霧島山、霧島ともいう)は鹿児島県と宮崎県にまたがる活火山群の総称で、その東端にそびえるのが標高1574メートルの高千穂峰である。
古来高千穂峰は、宮崎県北部の高千穂峡付近とともに、天孫ニニギが高天原から降臨した場所「高千穂」の伝承地の有力候補に挙げられてきた。尖頭円錐形で左右均衡の山容をもち、晴天であれば山頂から360度のパノラマで南九州全体を見渡すことができる。その雄大な眺望は、天孫降臨の地にまことにふさわしい。
そして麓には、霧島神宮、霧島東神社など、高千穂峰を霊山と仰ぐ数々の古社が鎮座している。
その山頂に、なぜ天逆矛が立っているのか。
まず神話レベルの説明では、おもにつぎの2説が語られてきた。
ひとつは、「天浮橋からイザナキ・イザナミが下界を見下ろすと、霧の海に浮かぶ島のようなものが見えたので、天沼矛でかきさぐってそこに降り、矛を逆さまに立てた。その場所が高千穂峰であった」というもので、本居宣長の『古事記伝』(1798年完成)に紹介されている。
もうひとつは、「天孫ニニギが高千穂峰に天降りしたとき、携えていた矛を逆様に立てた」というものだ。こちらは薩摩藩が編纂した地誌『三国名勝図会』(1843年成立)に載っている。
その矛は、ふつうはイザナキ・イザナミが用いた天沼矛と同一視されるが、これをオオクニヌシが国作りに用いた広矛とする伝承もある。オオクニヌシは国譲り後、広矛をニニギに授けていたというのだ。
天逆矛に関するこのような伝承は記紀には書かれておらず、そもそも「天逆矛」という言葉すら登場しない。
ただし、北畠親房の『神皇正統記』(1339年成立)には、天沼矛の異称のひとつに天逆矛(天逆戈)が挙げられている。
つまり中世には、それが高千穂峰に立っているという認識が人々のあいだにあったかどうかは不明ながら、天沼矛=天逆矛とする見方が成立していたらしい。
(文=古川順弘 イラストレーション=坂之王道)
続きは本誌(電子版)で。
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