興奮と幻想に包まれるインドネシア・トラジャ族の葬式に潜入! 究極の「死と生の共存」/小嶋独観
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珍スポ巡って25年の古参マニアによる全国屈指の“珍寺”紹介! いざ、今年の干支「辰(龍)」にまつわる珍スポットへ! 宮崎県西都市・観音寺にある「龍王観音」像の秘密とは?
宮崎でのドライブ中、この日の目的地を全部訪問し、あとは宿泊先へ行くだけという状況。珍スポットを巡るような因果な旅をしている方々なら同意いただけると思うが、この「今からひとイベント組むには時間がないけど、宿に行くにはチト早いかな」という時間帯が案外旅の醍醐味タイムだったりする。
……というわけで、この日は日帰り温泉にでも寄ろうかと思い、カーナビで適当に検索した温泉を目的地に設定し、な~んにも考えずにドライブしていた。
と、その時!
何もない田園風景の中に、人型の「何か」が立っているのだ。アレはもしかしてまだ見ぬ大観音では……。
こうなると大仏ジャンキーモード発令! それまで散々「ルート選択が変!」などと悪態をついていたレンタカーのカーナビのお導きに感謝しつつ、その巨大なる人影に近づいて行くのであった……。カーナビって時にはマジカルな魔力を発揮するものですね……。
おおお、日本一の龍王観世音菩薩とな! どなたでもご自由にお参り下さい、とあるぞ。勿論ご自由に参らせていただきますとも!
傾きかけた夏の夕日に、見事な弩逆光の観音様。まあ、それでも結構です。出会えたこと自体が何よりの奇跡ですから。
観音像には龍が巻き付いており、なかなかのサイズだ。建立は平成21年。高さは18メートル。
日本一の龍王観音とあるが、このような形状の観音像は一般的には昇龍観音と呼ばれている。しかし昇龍観音はこれより大きいものが九州だけでも2体あり、日本一どころか九州一すら名乗れない。まあ、ここの観音様はあくまでも昇龍観音ではなく、龍王観音と名乗っているので、それなら日本一と名乗りをあげても問題ないでしょう。つか多分世界一だと思うよ。
大きさの事はさておき……。
ここの観音様、台座が凄くないっすか? 水色の台形の建物の外壁面に何かがうごめいている。最初意味がわからなかったのだが、龍の胴体が水色の水面から出たり入ったりしているんですね。
最初てっきりムカデが這っているんだと思いましたよ。
正面には龍の顔があったので一安心。ムカデじゃなかったんだ~。
四方の壁面にのたうち回る龍。うむー、申し訳ないがやっぱりムカデっぽいような……。
そうこうしているうちに住職さんがお出でになった。台座の中を案内していただく。ありがたや。台座の内部には祭壇があり、右手の階段を下りていくと戒壇巡りになっている。
ついでに四国八十八カ所と西国三十三カ所巡りも兼ねているのだ。
住職の話は続く。観音像は中国で造られたもの。像は1つの巨大な石から切り出されているという。住職さんは如何にこの観音様を台座の上に設置するのが大変だったかを力説されていた。わかります、わかります……これだけ巨大な石像を吊り上げてセッティングするには、相当大きなクレーン車が必要だったでしょう。
その観音様に巻き付く龍は富山県で作られたとの事。石の観音像を設置したのち、龍をセットしたらしい。観音像をグルリと巻き付く様な龍を後から設置するのも相当大変だったのではなかろうか。苦労が偲ばれますよ。
台座にはところどころ龍の胴体が見え隠れしている。その周辺には、雲や天女が配されている。数えてみると壁面に4匹の龍、観音様に巻き付く龍を足して5匹の龍がいる。つまり5匹の龍を従えて屹立する龍王観音、という図式になるのだろう。
しかし、大変申し訳ないが、やっぱり台座でのたうち回る龍にしか目が行かないっす。これだけインパクトが強い観音像が人知れず存在していたとは……日本は広い!
他にも境内にはほほえみ大師やぽっくり地蔵などユニークな石像が点在している。龍王大観音像は東向きなので午前中の参拝をお薦めしたい。
小嶋独観
ウェブサイト「珍寺大道場」道場主。神社仏閣ライター。日本やアジアのユニークな社寺、不思議な信仰、巨大な仏像等々を求めて精力的な取材を続けている。著書に『ヘンな神社&仏閣巡礼』(宝島社)、『珍寺大道場』(イーストプレス)、共著に『お寺に行こう!』(扶桑社)、『考える「珍スポット」知的ワンダーランドを巡る旅』(文芸社)。
珍寺大道場 http://chindera.com/
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