コロナ禍に100年前へタイムスリップした男! 過去の世界線にウイルスを持ち込んだ可能性を告白
過去あるいは未来の別の時空を訪れた場合、時間軸を越えたウイルス感染は起こり得るのだろうか。世界を混乱に陥れたコロナ禍の2020年に100年以上前の時代にタイムスリップしてしまったホームレス男性の逸話が
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のどかな田舎道をドライブしていた男性は、過激な人々が集うコロニーを目撃する。しかし彼らは、現実には存在しない人々であった。男性は幻を見たのか。それとも少し先の未来を垣間見たのだろうか?
1970年4月初旬のよく晴れた夕方、64歳の現役の大工、ピーター・ジョーンズはイングランド・マージーサイドを車を走らせて家路に就いていた。
日常的に利用しているポールトン・ホール・ロードの狭い車線は緑豊かな生け垣に囲まれているのだが、数日見ないうちに途中から生け垣はなくなり、殺伐とした見た目の近代的な住居が道路の北側にいくつか建っていた。
建物は目障りだった。 派手な色と奇妙な幾何学的なスタイルで塗装された窓も鼻につくし、近未来的なドーム型の建築物も周囲の景観にそぐわず、周辺一帯は調和を失っているように思えてピーターは少しいらだちを覚えた。
ピーターは「クラッター・ブルック・メドウズ(Clatter Brook Meadows)」と書かれた見慣れない標識をゆっくりと通り過ぎた。その標識の下には、一種の曼荼羅に似た円形のロゴの隣に「ジェミニ党によって建設された」という文字があった。
次の瞬間、彼の目にショッキングな光景が飛び込んできた。 遠くに見える敷地内に、全裸で佇んでいるグループが見えたのだ。過激な裸体主義者たちが集う施設が、いつの間にか「ジェミニ党」という謎の政党によってこの地に作られていたということなのか。
地方自治体は、農地や森林エリアにあの品のない施設を建設する許可を与えただけでなく、極端な思想をもつ人々の居住も許可したことになる。ピーターはこの件について国会議員に話を持ち込もうと心に決めた。
帰宅後、ピーターは妻のメアリーにこの一件を話したが、彼女は2週間前にその付近を車で通ったが、そんな建物はなかったと夫の話を否定した。
この時、家に滞在していた娘夫婦がピーターの話を興味深く聞いており、本当にそんな施設があるなら見てみたいという話になり、急遽、家族全員で現地に向かってみることになった。
結局、一家7人が車2台かがりでポールトン・ホール・ロードへと向かった。
現場とおぼしき場所にたどり着いた一行だったが、運転していたピーターの顔色は変わった。道の脇の生け垣は途切れることなく続いていたのである。ピーターは困惑し、メアリーはそれ見たことかと鼻を高くする結果となり、一行は道を引き返すことにした。
後味の悪い思いをしながら帰路の車を走らせていたピーターだが、引き返し始めてそれほど経たないうちにちょっとしたアクシデントに見舞われた。突然、路上に現れた(マネキンに似た)白い人形が車に当たったのだ。
車を停めてピーターは周辺を見回した。ところが、路上に現れたはずの人形は消えており、車のボディには擦ったような傷だけが残されていた。ピーターの義理の息子であるジャックは、その人形がある種のロボットのように思えたと主張し、他の家族は人形が熊手や緑色のジョウロなどの園芸用具を運んでいたと訴えた。
この奇妙な事故の後、状況が一変する。再び車を走らせていると、ピーターが運転する車の後部座席に乗っていた娘が、ポールトン・ホール・ロードの外れの野原に「おかしな見た目の家」があることに気づき、後続の車に乗っていた者たちも「未来的な家」や「クラッター・ブルック・メドウズ」の看板や「ジェミニ党」の文字、そして「屋外でゴルフを楽しむ全裸の人々」を見つけたというのだ。
そして、ついには家族全員でその光景を目の当たりにすることになったのだが、一家が見守る中、奇妙な光景は蜃気楼のようにゆらめき、溶けるように消えていったという。不可解な看板に記載されていた「ジェミニ党」とは何だったのか。未来の政治団体なのだろうか。だとしたら一家は、ほんのわずかの間、未来を垣間見ていたのだろうか。
都市計画に詳しい人によれば、ポールトン・ホール・ロードの北側の農地と森林は保護・保全された土地であり、同エリアに建物が建設される可能性は低いという。はたして、彼らが見た光景が現実のものとなる未来がこの先やってくるのだろうか?
さて、未来へのタイムスリップが推察されるピーターの件とは反対に、過去への移動が疑われてくるケースもある。
1969年、マルとアンブローズという2人の若いミュージシャンのヒッピ―が豪雨の中、イングランド・マージーサイドの村、サースタストンの道を車で走っていたところ、運悪くガス欠になり停車を余儀なくされた。
しかし、窓から明かりが漏れ、ジャズの音色が聞こえてくる大きな邸宅が近くにあることに気づいた彼らは、もしかしたらガソリンを無心できないものかと携行缶を抱えて屋敷を訪ねてみたのだ。
玄関の大きな扉が開き、執事らしき燕尾服を着た男性と、酒に酔っているのかずっとクスクス笑い続けているドレス姿の女性が中から出てきた。
執事は若いヒッピー2人に今すぐこの敷地から立ち去るように命じたが、ほろ酔いで上機嫌な女性はマルとアンブローズの手を掴んで屋内へと引きずり込んだ。屋敷の広間ではパーティーが真っ盛りで、人々は泡立つシャンパンを傾け、麻薬にも耽っていた。ホーンのついた古い蓄音機からはジャズが流れており、部屋には幾種類ものドリンク、あらゆる種類のカナッペやオードブル、豪華なサラダやデザート、冷製シーフードなどが用意されており、招かれた2人は首尾よくご馳走になった。
パーティーの参加者は皆、前時代の衣装に身を包んでおり、マルは1920年代をテーマにした仮装パーティーが行われているのだと思ったが、アンブローズは状況に一抹の不安を感じていた。
やがてマルは車に戻ると、ギターを持ってきて腕前を披露することにした。そしてアーサー・ブラウンの1968年のヒット曲『ファイアー』を披露したところ参加者は大いに盛り上がり、パーティーのクライマックスを飾ったかのように思えた。
そこで「うまくいったよ」とアンブローズが言うと、マルは(人々が前時代の衣装であったことから)「そうだね、タイタニック号(で行われていた演奏会)みたいにね!」と返した。
ところが、マルが悲劇的な最期を遂げた豪華客船の名前を口した瞬間、パーティーの客たちは激怒し、2人の若者に「出て行け!」と怒鳴り、彼らの腕を引いて力づくで屋敷から追い出したのである。
この束の間の滞在で運良くお腹を満たすことができた2人だったが、結局肝心のガソリンは手に入れられず、ガソリンスタンドを見つけるために何マイルも歩かなければならなかった。そして、ようやくガソリンを手に入れて車に戻ると、なんと邸宅は跡形もなく消えていたのだ。
後に2人は、あの邸宅が1927年に取り壊された「ドープール・ホール」だったことを知る。それはタイタニック号が所属していた海運会社「ホワイト・スター・ライン」の創設者である船主、トーマス・ヘンリー・イズメイの本拠地だったのだ。それだけに悲惨な事故で沈没したタイタニック号は禁句であったのか。ともあれ2人はこの日、40年以上前の過去にタイムスリップしていたのかもしれない。
【参考】
https://anomalien.com/the-mystery-of-clatter-brook-meadows/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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