インドネシア・フローレス島に絶滅したはずの猿人が生きている!? 存在を確信した研究者の最新レポート/宇佐和通
インドネシア・フローレス島は、今でも謎の猿人「ホモ・フローレンシエンシス」が生きているのではないかと噂される島だ。数々の目撃証言を集めた男がたどり着いた結論とは?
記事を読む

出雲神話、古代日本神話の主役といえばオオクニヌシ。大国主と大黒様に重なったその姿を辿る。
ワニ、オロチ、ヤタガラスと、神話キャラクターの変遷を外堀から確認したところで、いよいよ本丸、主役級の神の描かれ方がどう変わってきたのかをみてみたい。
『古事記』の一角を占める出雲神話の主役といえば、オオクニヌシをおいて他にはない。ヤチホコ、オオナムジなど多くの名前をもつことでも知られ、出雲や周辺の神々の物語がひとりの神格にまとめられて誕生した英雄神であるとも考えられているが、その後の歴史のなかでも多くの神仏と習合したユニークな来歴の神でもある。
オオクニヌシは漢字で書くと「大国主」となり、大国がダイコクとも読めることから仏教の尊格である大黒天と習合してきたことはよく知られている。幕末に描かれた図(下)では、数多くの神仏が描かれるなかにひときわ大きく置かれた「ダイコクさま」がみえる。

周囲にはサルタヒコ、アメノウズメ、春日明神、毘沙門天などが描かれまさに神仏混淆の状態。この巨大な「ダイコク」が神なのか仏なのか、おそらく絵師本人に質問しても答えられなかっただろう。
神話の「考証」は、こうした状況も変化させていく。ダイコクからは宝珠やエボシといった仏教的、後世的な要素が取り除かれ「純日本」オオクニヌシ像が模索される。現在の絵本などでもみられるトラのようなオオクニヌシの姿が一般化したのは、実は明治以降のことだ。
そうした「大黒」から「大国」への過渡期状態を記録したような貴重な絵をみてみよう。下の2点は文政10年(1827)にまとめられた『神代正語常磐草』。


神代の物語を挿絵つきでまとめた書物なのだが、ここに描かれたオオクニヌシは、神代風の衣装を身にまとった「大国主」スタイルながら、顔はまるきり大黒天である。特徴的な福耳もそのままで、まるで大黒天が烏帽子をぬいで服だけ着替えました、とでもいった出で立ちだ。
興味深いのは、この本を編纂したのが出雲国造の弟を師にもつ細田富延という国学者であるということだ。出雲大社に直接結びつく国学者をしても、大黒天のイメージは簡単に払拭できるものではなかったのである。あるいは大社側にも、福神としての大黒天信仰と出雲を明確に分離したくない、という願望もあったのかもしれない。
明治8年に描かれた国譲りの図(下)はさらにわかりやすく、オオクニヌシというよりほぼ大黒天そのもの。

現在、出雲大社では「大国主とだいこくさまは同じ神だが、大黒天は別の神」と少々難解なインフォメーションをしているが、参拝者で「だいこくさま」から大黒天のイメージを排除できている人はそう多くないのではないだろうか。明治以降の「時代考証」を経てなお、日本人は現在進行形でオオクニヌシ=大黒天説を支持しているのだといえるかもしれない。
オオクニヌシを描いたさらに珍しい絵をひとつ。幕末に書かれた小児科テキスト『愛育茶譚』の扉絵「医道之四祖」である。
西洋のヒポクラテス、中華の神皇、そして日本のオオナムチ(大国主)とスクナヒコナという和漢洋の医療の祖が描かれるが、このオオナムチは頭上に牛の頭を乗せた神、すなわち牛頭天王として描かれているのだ。江戸時代には、牛頭天王はオオナムチの荒御魂である、つまり両神は同一の神だと考える説があり、医療書である『愛育茶譚』は、オオクニヌシをあえて疫病よけの神でもある牛頭天王として描いたのだとも推測できる。

「大きな袋を肩にかけ」のイメージが定着するまで、オオクニヌシにはじつにさまざまなバリエーションがあったのだ。




(画像キャプションに所蔵表記のないものは国立国会図書館デジタルコレクションより)
ランキング
RANKING
おすすめ記事
PICK UP
関連記事
インドネシア・フローレス島に絶滅したはずの猿人が生きている!? 存在を確信した研究者の最新レポート/宇佐和通
インドネシア・フローレス島は、今でも謎の猿人「ホモ・フローレンシエンシス」が生きているのではないかと噂される島だ。数々の目撃証言を集めた男がたどり着いた結論とは?
記事を読む
亡妻との交霊を繰り返した…波田強一の情念/吉田悠軌・怪談解題
戦前、霊魂の不滅を信じた理工系科の学者がいた。死者との交霊をも〝実現〟していた彼の信念は、やがて悲劇的な結末を招く。近代スピリチュアリズム、心霊主義の負の一面を体現してしまった、ひとりの男の物語を追う
記事を読む
赤マントに青ゲット……怪事・怪人はなぜ色をまとうのか/学校の怪談
放課後の静まり返った校舎、薄暗い廊下、そしてだれもいないはずのトイレで子供たちの間にひっそりと語り継がれる恐怖の物語をご存じだろうか。 学校のどこかに潜んでいるかもしれない、7つの物語にぜひ耳を傾けて
記事を読む
黒史郎が案内する川崎の禁足地「開かずの不動」怪談/吉田悠軌・怪談連鎖
怪談師たちが収集した珠玉の怪異を、オカルト探偵・吉田が考察。今回は、神奈川県川崎市に残る「禁足地」にまつわるタブーと信仰の謎を追う!
記事を読む
おすすめ記事