<読者投稿>次々と一族を襲う無気味な市松人形の呪い

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    秋野夕咲 兵庫県宝塚市

     幼なじみのMに聞いた話です。
     30代半ばのころ、Mを含む小学校時代の同級生4人と再会したとき、話が盛りあがり、もうひとりの同級生を加え5人でささやかな同窓会をやることが決まりました。
     その後、5人は居酒屋の座敷に集まり、昔話に花を咲かせました。
     いつしか同じクラスにいた男子のDの話へと。快活な彼はいつも話題が絶えない人物でした。
     Dには少々変わった面がありました。いたずらをするにしても、ふつうの子供では思いつかないようなことをするのです。一風変わった児童だったといえるでしょう。
     その場にいるMが口を開きました。
    「Dのこの話、知っている?」
      Mの口からDの話が続きます。
     3年生の2学期が始まって早々それまで元気だったDのお父さんが急逝。悲嘆に暮れるDとDのお母さんの元に、従弟が交通事故で亡くなったとの知らせが入ります。さらには叔父さんが経営していた会社が業績悪化で倒産。それを苦にした叔父さんが自殺するなど、短期間で親族に次々と凶事が襲いかかりました。
     親戚のひとりは、
    「何かの祟たたりではないか」
     といいましたが、そのときは相手にされませんでした。
     しかし、Dのお母さんが乗っていた車が対向車線をはみだしてきたトラックと正面衝突する大事故が発生。車はバラバラになり、お母さんは即死。しかも漏れたガソリンに火が点き、お母さんの遺体は半分黒焦げだったといいます。
     こうなるとさすがに親族も祟りを疑わざるを得ません。
     一族の菩提寺から霊験あらたかな高僧を紹介してもらい、一連の出来事について相談しました。
     やがて僧の祈禱によりDの家の中に原因があることが示され、家を見てもらうことになったのです。
     家の中に入った僧は数珠を手に、周囲を伺いながら奥に進みます。
     やがてDの部屋に入ると、勉強机の前で立ちどまり、最下段の大きな引きだしを見つめてこういいました。「この中に何かがある」
     引きだしを開けて奥にあるものを取りだそうとしますが、かなりの大きさのため中で引っかかってしまい、出すことができません。
     力いっぱい引っぱったところ、まっ黒な塊が出てきました。よく見れば乱れてもつれた髪の毛でした。
     僧がその髪の毛をかきわけて中のものを取りだすと、出てきたのは背丈20センチほどの、半分、焼け焦げた市松人形でした。
     こちらを睨むように薄く開いた目と伸びた黒髪からは、深い恨みを秘めているように見えたといいます。
     いったいこれはなんなのか? 
     Dを問いつめても口を開きません。しかしやがて観念したのか、泣きながら白状しました。
     Dの家の近くに人形供養で有名な古寺があります。夏休みのある日、Dは供養の夜に寺に忍びこみ、あろうことかお焚きあげで焼けのこった人形を持ちかえったというのです。
     
    Dのお母さんの検視にも立ちあった親戚が思わず口にしました。
    「半分、焼けただれた人形の姿は、お母さんの遺体にそっくりだ」
     人形は寺に返し、ねんごろに供養してもらったといいます。それ以降は親族に不幸は起こらなくなったといいます。

    イラストレーション=不二本蒼生

    (本投稿は月刊『ムー』2026年05月号より転載したものです)
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    webムー編集部