西洋版コックリさん「ウィジャボード」の誕生と流行/初見健一・昭和こどもオカルト回顧録
霊との交信に用いられる神秘の文字盤「ウィジャボード」。19世紀欧米の心霊ブームを機に普及したスピリチュアル・アイテムだが、商品としての大ヒットの仕掛け人は、意外な業界の人物だった。
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アメリカで発売された謎のボードゲーム「ホーリー・スピリット・ボード」。エクソシストの神父が明かした、その正体とは!?
いま、アメリカで出回る一つのボードゲームが波紋を広げている。アマゾンで販売が始まった約30ドル(4000円)の「ホーリー・スピリット・ボード」(ホーリー・スピリット・ゲームズ社)は、ただのボードゲームではない。なんと、楽しみながらイエス・キリストと直接対話することが可能になるボードゲームだという。
商品の解説を読むと「ホーリー・スピリット・ボード」の対象年齢は8歳以上、最大4人で遊ぶことができ、高級感のある素材で作られているようだ。
動画などで見れば、その遊び方は「こっくりさん」によく似ている。そしてレビューを見ると、「普段なかなか願いが叶わないから、最後の手段で使ってみたら、イエス様に直通でした」「イエス様の存在を実感することができました」など驚くべき使用結果が記された好評価と、星が1つの低評価が並んでおり、消費者の意見は真っ二つに割れている模様。
それもそのはず、アメリカの宗教人口の約25%を占めるカトリックの教義において、神やキリストとは直接つながることができず、教皇や聖職者を通してメッセージを受け取るもの。一方で約48%を占めるプロテスタントは、神と人間の関わりは直接的であるため、このように評価が二分するのも当然なのだが、それだけにとどまらない深刻な問題もあるという。
先週、カトリック系放送局EWTNのニュース番組「EWTN News Nightly」に出演したエルネスト・カロ神父によると、「ホーリー・スピリット・ボード」はキリスト教的な要素の数々をまとっているが、本質的には(降霊術に用いられる)ウィジャボードであり、正体を隠して販売しているのは裏の目的がある――つまり、ユーザーに予期せぬ形で邪悪な力と交信させようとしているというのだ。
ジョークアイテムなのだから目くじらを立てるほどの問題ではないという声について、エクソシストとしても高名な神父は「笑い事ではない」と一蹴。一部のユーザーが無意識のうちに「危険なドアをこじ開けてしまう」可能性を指摘。「神があなたに話しかけてきたと思うかもしれないが、その正体は悪魔です」と訴えた。
すでに「ホーリー・スピリット・ボード」を通して神(に扮した悪魔)と会話した経験があるユーザーは、「悔い改め、(本当の)神に解放を求め」「ボードをすぐに破棄しなさい」と警告している。
しかし、皮肉にも事態は神父の予期せぬ方向へと向かっているようだ。
神父がテレビ番組で大々的に警告した結果、多くの視聴者が「ホーリー・スピリット・ボード」の存在を初めて知ることになり、興味本位で購入する者が後を絶たないという。結果的に神父の行為がどんな宣伝よりも販売に貢献した形となり、有名オカルトラジオ番組Coast to Coast AMからは「神父が悪魔に手を貸しているとしか思えない」と批判される始末。
ユーザーに神とつながることができると勘違いさせて別の霊と交信させようと仕向けているならば、たしかに危険極まりない事態だろう。いったい、そこにどんな目的があるのか。恐ろしい事件につながらないことを願うばかりだ。
webムー編集部
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