21人が参加した最新の体外離脱実験、“まさかの結果”に科学者困惑! その時、3つの部屋でなにが起きていたのか?

文=仲田しんじ

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    今年、米バージニア大学の研究チームによって体外離脱体験の検証実験が行われた。当初、期待された結果は得られなかったように思われたが、学者にも想定外の証言が飛び出して――!

    意識は肉体を離れられるのか

     塩分濃度が極めて高い温水で満たされ、かつ音と光から遮断された「フローティングタンク(別名:アイソレーションタンク)」に浸り、身体を浮かせて瞑想するリラクゼーション法があるが、それは束の間とはいえ自分の肉体を忘れる体験となる。それはまさに、自らの意識のみに集中できる一種の体外離脱体験と言えるかもしれない。

     しかし、そのような機材に頼らずとも体外離脱を体験したと語る者は少なくない。部屋の天井からベッドに横たわる自分自身を見下ろしたり、部屋の外に出て周囲を観察したなど、その程度やバリエーションもさまざまだ。

     そして体外離脱体験は科学研究の対象にもなっている。神経学的要因から生じる解離体験であるという解釈もあれば、死の脅威に対処するために設計された防衛機制であるとの見解もあるのだ。

     そして実際、意識が肉体を離れているのではないかという観点からの検証実験が続けられている。

     1968年、チャールズ・タートは「ミスZ」と呼ばれる被験者と4夜にわたって体外離脱体験(OBE)の実験を行った。被験者は脳波計(EEG)を装着され、5桁の数列が書かれたプレートがベッドから離れた棚の上に置かれた。最初の3晩は「ミスZ」は数字を見たとは主張しなかったが、4晩目には正しく数字を答えたことが報告されている。しかし映像記録などは残されておらず、実験結果を疑問視する声もあるようだ。

    ※画像は「Wikimedia Commons」より

    21人が参加した体外離脱実験

     そして今年8月、米バージニア大学の研究チームが学術誌「EXPLORE」で発表した論文では、経験豊富な体外離脱体験者21名が参加した実験の驚くべき結果が報告されている。

     研究チームは、実験場所として3つの部屋を用意した。

     1つめの部屋は、参加者のための場所だ。全員が脳波計(EEG)に接続されて脳活動を記録された状態で、ベッドや肘掛け椅子などに身を寄せながら、好みの照明や温度条件で思い思いに快適な姿勢をとり、体外離脱のためのコンディションを整えた。

     2つめの部屋には、研究者2人が陣取り、ドアを閉めた。

     3つめの部屋には、開いたノートパソコンが置かれた机がある。そのパソコンの画面には100件のさまざまな被写体の画像がランダムに表示されていた。この3つめ部屋は、参加者たちがいる1つめの部屋から7メートルほど離れており、部屋のドアは開いていたが、パソコンの画面は壁の方を向いており、部屋の外から画面を覗き見ることはできなかった。

     もちろん実験時にパソコンにどの画像が表示されるのか、参加者たちも研究者たちも知り得なかった。

     参加者は60~90分間部屋に留まり、体外離脱(遠隔透視とも言える)によって3番目の部屋にあるパソコンの画面に表示された画像を見ることが求められ、見た場合はその詳細の報告が課された。

     その結果、参加者21人のうち画像に関連していると思われるイメージを報告したのは13人。このうち8人が体外離脱を体験していた。残りの5人は、身体から意識が抜けたような感覚はなかったものの、画像の手がかりが「精神的なスクリーン」あるいは「内なる視覚」のようなものを通じて感知できたと説明した。

     人間の主観的判断を排除するため、研究者たちはAIを用いた。各参加者の説明を、考えられる100枚のターゲット画像すべての説明と比較し、一致度に応じて順位付けを行ったのだ。

     たとえばターゲット画像がリンゴであれば、それを認識した人は「赤くて丸いもの」というような報告すると予想される。参加者が真のターゲットを正確に認識していれば、そのターゲットは顕著に高い順位にランクインするはずだ。しかし実際には、正解した画像とその正確性にはばらつきがあり、総合的な結果は単なる当てずっぽうによるものと大差はなかった。

     つまり、13人の参加者たちが何を見たにせよ、残念ながらそれがノートパソコンに表示された画像だったという証拠はないことが示されたのだ。

    ※画像はYouTubeチャンネル「29News – WVIR Charlottesville, VA」より

    2人の参加者からの予期せぬ証言

     参加者がノートパソコンの画面に映った物体について述べた説明は、残念ながら統計的に見て推測以上のものではないと結論づけられた。

     しかしその後のインタビューで、ある参加者はドアを閉めていたはずの2番目の部屋の中で、「研究者が左側に座ってノートパソコンの画面を見ており、別の研究者がさらに奥で本を読んでいた」と説明した。また別の参加者は、「研究者が右側に座ってメモを取っており、もう1人の研究者が左側のコンピュータの前に座っていた」と証言。2人の言い方は違えど、同じ構図を描写していたのだ。もちろん実験中、参加者が2つめの部屋の中にいる2人の研究者を目撃することは不可能であったはずだ。

    ※画像は「Wikipedia」より

     きわめて興味深い想定外の出来事であったが、あらかじめ決められた実験の設計にはない事態で、自然発生的に得られた結果であり、統計分析も行われていない。そのため、研究者たちはこれらを逸話的なものとして扱い、「興味深いものの意味のある現象とは見なすことはできない」とするしかなかった。

     では、体外離脱(もしくは遠隔透視)実験において、このような現象が発生したことの意義とはいったいなにか?

     それは、研究者が参加者に対して“何を知覚するように求めるか”について再考する必要があることを示しているのかもしれない。つまり、ノートパソコンの静止画像は実験に相応しいものではなかった可能性がある。

     研究チームは、次の研究ではより魅力的なターゲット、より厳格な事前準備、より大規模な参加者グループ、そして予期せぬ観察のための特別な設計が必要になると見込んでいる。今後の研究で、長年の謎に迫ることができるのか、入念に設計されるであろう次の実験に期待しよう。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「29News – WVIR Charlottesville, VA」より

    【参考】
    https://economictimes.indiatimes.com/news/international/global-trends/scientists-in-virginia-asked-21-people-to-see-a-hidden-image-without-leaving-their-roomsnobody-got-it-right-but-two-described-a-scene-they-couldnt-see/articleshow/134141299.cms
    https://www.uvahealth.com/news/trial-testing-out-of-body-experiences-yields-unexpected-twist

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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