スピルバーグ最新映画『ディスクロージャー・デイ』で観客は“体験者”になる! 未知なる存在と人類の関係は新たな段階に突入した

文=宇佐和通

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    いよいよ日本公開されるスティーブン・スピルバーグ監督の最新作『ディスクロージャー・デイ』。本作が『未知との遭遇』『E.T.』に続く、同監督による“異星人映画”の集大成である理由と、その大いなる意義について紐解く!

    スピルバーグ映画、そしてエイリアン映画の集大成

     ロサンゼルスとニューヨークの人目を惹くビルボードに最初の広告が掲示された瞬間から、世界中のUFOファンの期待を集めてきたスティーブン・スピルバーグ監督の最新作『ディスクロージャー・デイ』。日本では公開日が予定より3か月延期され(10月1日 公開予定)、UFO議連の浅川義治氏が公開質問状を出したことも一部の界隈ではよく知られている。

     そんな中、筆者は配給会社の招待で本作の試写会に参加することができた。

     劇場中央あたりの良席を確保した筆者の脳裏には、すでに予期したイメージがあった。『未知との遭遇』『E.T.』に続く、監督のキャリアにおける「NHI(非人間的知性)三部作」の完結編、そして集大成という位置づけになるだろう、というものだ。

     事実、筆者の予想が裏切られることはなかった。いろいろな意味でUFO現象を愛する人々が長年追い求めてきた夢や願望を決して裏切らない映画――一言で表現するなら、そういう作品だと思う。

     なにかに憑依され、宇宙語めいた未知なる言語を話し始める女性お天気キャスター。どこからともなく現れる鹿やカーディナル(紅冠鳥)。小麦畑らしき場所に佇む男性の周囲に、ゆっくり形成されていくクロップサークル。予告編ですでに公開されているシーンも、実際に本編を見ると違った意味を帯びてくる。

     スピルバーグ映画のファンなら、思わずニヤリとする場面は実に多い。『E.T.』を彷彿させる子役、そしてカーチェイス。『未知との遭遇』の、あのキャラクター。自身の過去作へのオマージュを散りばめながら、本作までの流れが、まるでひとつの長い物語としてつながっているようにも思える。

    © Universal Studios. All Rights Reserved.

     ムー民が思わず身を乗り出すような要素も満載だ。TicTacやGimbalなど、現実に公開されているUAP映像を相当研究したことがうかがわれる描写や、リモートビューワーを連想させる人物。かつて筆者が“奇跡のリンゴ”の木村秋則さんから直接伺った体験を想起させる場面もあった。

    現実世界のUFO議論を先取り

     では今作は、どのようなUFOやエイリアンの存在をディスクローズ(暴露)する展開だったのか? 大きく分けて2種類の存在が描かれている。

     ひとつは墜落UFOや回収物、グレイ、政府や民間企業による情報隠蔽と結びついた、いわば古典的なUFO世界に属する存在。そしてもうひとつは、女性お天気キャスターを介して全人類に語りかけ、動物の姿を通して存在を示唆し、さらに人類が通常の方法では知り得ない知識――アカシックレコードを連想させるメタナレッジ――へとつながる“なにか”だ。

     スピルバーグ監督は『未知との遭遇』の頃から、スピリチュアルな要素を“えぐみ”をまったく感じさせずにストーリーに織り込む手法に長けている。今作も異星人(=別の惑星から宇宙船で飛来した地球外生命体)という枠に囚われることなく、これぞ神あるいは創造主と呼ばれる存在ではないかと感じさせる表現が見られた。

     そして実際、現実世界におけるUAPに関する議論も単なる飛行物体の分析という枠を超え、そもそもNHIとは何なのか、人間の意識とどう関係するのか、という領域にまで広がり始めている。映画と現実の状況がここまで重なったのは偶然か、それともスピルバーグ監督が時代の空気を先取りしているのか。

     願わくば、トランプ大統領が先導する現実のディスクロージャーも、このレベルまで引き上げてほしい――そんなふうに思うのは高望みだろうか。たしかに今、UAP関連の情報公開は進んでいる。だが、これまで公開された資料や映像の多くは、過去数十年にわたり語られてきた枠の範疇に留まるものばかりだ。「ついに秘密の扉が開いた」と興奮するには到底物足りない。スピルバーグ監督が今回、これほど大胆に“その先”に切り込んだのだから、もはや現実の政府にも新たな領域へと踏み込んでもらいたい。現実の「ディスクロージャー・デイ」とはいったいいつになるのか、どうしても意識はそちらに向かってしまう。

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     なお、本作で描かれるディスクロージャーは徹底してアメリカ目線だ。レンデルシャムの森事件や日航貨物機UFO遭遇事件など、UFO史を語る上で欠かせない事件は世界各国で起きているが、本作で提示される情報はあくまでもアメリカが中心である点には注意が必要だ。

    遭遇と交流を超え、人類は体験者になる

     総合すると、本作は「異星人とは何か」を世界に説明する映画であると同時に「アメリカは異星人をどう語ろうとしているのか」を描いた作品とも受け取れる。政府、軍、民間企業を巻き込みながら長い年月をかけて形成され、権力を誇り続けてきたミリタリーコンプレックス=軍産複合体の存在を思えば、特定の思いを形にしたプロパガンダムービーと解釈する人が出ても不思議ではないだろう。

     その一方で、前述の通り、アメリカではほとんど知られていない木村秋則さんの体験を連想させる場面もある。この振れ幅こそ、本作の面白さのひとつだと思うのだ。筆者が特に気になった言葉が「エクスペリエンサー(体験者)」である。考えてみれば、『未知との遭遇』で人間は未知なる存在と「遭遇」した。『E.T.』では、その存在と「交流」した。そして『ディスクロージャー・デイ』で、ついに人間自身が現象の「体験者」になっていく。遭遇から交流、そして体験へ――。もしこの三作品をひとつの流れとして見るなら、スピルバーグ監督が半世紀近い時間をかけて描いてきた「人間と未知なる存在との関係」は、ここで新しい段階に入ったことになる。

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     筆者が最も気に入ったのは、なんといってもラストシーンだ。観客に解釈を委ねるリドルストーリー的な趣でありながら、ディストピア的な結末に陥らない。女性お天気キャスターが発する最後の台詞は、UAPの謎を追い続け、現実世界で訪れるかもしれない「ディスクロージャー・デイ」を心待ちにしているわれわれに向けられた言葉として響く。

     この映画が本当の意味でディスクローズしようとしているものは、政府が隠してきたUFOの秘密なのか。NHIの存在なのか。いや、人類が「われわれとは何者なのか」を知り、思考を巡らせること自体が本当のディスクロージャーではないか。答えは、この映画を体験した観客各々の中で紡がれていくはずだ。

    ●映画『ディスクロージャーデイ』
    10月1日(木)全国公開
    公式サイト: http://disclosureday.jp

    宇佐和通

    翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。

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