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瀧音能之 編/古川順弘 著
飛鳥・藤原の情報が詰まった極上のガイドブック
飛鳥・藤原の宮都。今年(2026年)の7月に、それに関連する遺跡群がユネスコの世界遺産に登録された。何かと話題の場所なので、この機会にある程度の基本知識を押さえておけば、イザというときに役立つだろう。
そんな読者にもってこいの本が登場した。本書である。曰く、「私たちにとって飛鳥・藤原には、古代の日本の歴史の重要なポイントが凝縮されている」。そうまでいわれれば、読んでおくに越したことはない。
全体の構成は、著者である古川順弘氏自らが飛鳥・藤原の各地(とはいえその範囲は狭い)を実際に訪ねつつ、その地にまつわる蘊蓄を縷々語り尽す、というもの。現地リポートあり、文献渉猟ありと、まさに至れり尽くせりの情報の宝庫である。
編者の瀧音能之氏は駒澤大学名誉教授で、専門は日本古代史。著者の古川氏とのコンビとしては、かつての本欄で同じ版元の『聖徳太子に秘められた古寺・伝説の謎』をご紹介した。一方、古川氏は宗教・歴史分野を専門とする文筆家で、著書多数。本欄でご紹介した作品も数知れず。
なお本書では、謎の遺跡としてよく取り沙汰される「酒船石」や「亀形石造物」は、「特異な美意識と信仰をもった女帝(斉明天皇)の独創」であると結論づけられている。どうやら彼女はあのルートヴィヒ2世のような存在であったらしい。
何にせよ、実際に飛鳥・藤原を訪ねる際には、ぜひとも携えていってほしい、極上のガイドブックである。
(月刊ムー 2026年10月号掲載)

星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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