怪異を体験と考察する芸人が語る! 「ナナフシギ」/ムー的YouTuberの世界
お笑い芸人のナナフシギがオカルトや怪談に特化したチャンネルで自由に語る。実際に心霊体験のある大赤見ノヴは体験者が語る臨場感を大切にする一方で、心霊体験のない吉田猛々は見たことがない視点での考察や探求心
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都内某所に、飲みながら怪談の生配信が観られる「怪談バー」が誕生。いったいどんな店なのか……訪ねてみるとそこは予想外の空間だった。
今をさることひと月前、昨年12月の半ば頃、ムー編集部に妙な情報がもたらされた。
「錦糸町に、不思議な読めない看板の店がある」
錦糸町といえば東京でも有数の歓楽街としてしられる街だが、看板なのに読めない、とはどういうことなのか。忘年会にむかう人々で駅前もにぎわう20時前後、ムー編集部は現場の偵察にいってみた。
これがその看板。ニンニクと札束とカモの絵文字が描かれている。なにかの暗号なのだろうか? 店は2Fと書いてある。階段をあがってみると、壁には数枚のイラストが飾られている。どこかでみたことあるような……。
お店に入ってみると、内部はふつうに落ち着いたバーという印象だ。まだ新しい雰囲気で内装もきれいだが、コンクリートうちっぱなしの壁にはずらっとサインがならんでいる。これもまたなんだか見覚えのある名前のような……。
田中俊行、響洋平、夜馬裕、大島てるetc. ……天井近くに小さく書かれているのは、島田秀平!? オカルト・怪談界のおなじみのメンバーばかりである。
ネタばらしをしてしまえば、ここは大赤見ノヴさん、吉田猛々さんのふたりからなる怪談ユニット・ナナフシギが運営する「怪談バー」なのだ。あの奇妙な看板「???」は店名をかいたもので、この絵文字3つで「ガーリック・マネー・かも〜」と読むそう。正式な店名が絵文字って、それはそれでなかなか不思議だ。絵文字なので、この記事を読んでいる端末や環境によって見え方が異なるかもしれないが、以下の画像のような絵文字が正式名称だそうだ。
ナナフシギを中心に運営する「怪談バー???」は、まだオープンから数か月の新しいお店。現在の営業スタイルは一部会員制となっていて、だれでも自由に入店できる日と、予約した会員だけが利用できる日が曜日でわけられている。じつは、この店舗にはナナフシギの動画配信スタジオが併設されていて、会員になって限定日に入店すれば、ナナフシギが生配信をおこなっているスタジオのすぐ横でお酒が楽しめるというシステムになっているのだ。
しかし、怪談バーとはいうものの、店内は照明がややミステリアスな程度でそこまで「怖い」という雰囲気でもない。
ナナフシギのふたりと一緒にお店の代表をつとめる関口ケントさんによると、「???は怪談バーではあるものの、あえて不気味にしすぎないことをコンセプトにしている」のだそうだ。など怪談を楽しむためには緩急が大切で、怖いのはナナフシギの怪談を聞いているあいだ、それ以外の時間はリラックスできる雰囲気にすることでより怪談のおもしろさを引き立て、堪能できるように、との意図から。なるほど、怖すぎない内装は考え抜かれた設計だったのだ。
メニューも一般的なバーより充実したフード類がならんでいるが、不意打ちのように怪談にフィーチャーしたものがあらわれる。そんななかから「カッパ」「毒水」と名付けられたドリンクと、「タコとホタテの除霊アヒージョ」を注文してみた。
目の前にでてきた、ほんのり毒々しい色味の液体が「カッパ」と「毒水」。名前はおどろおどろしいが、飲みやすい。ムーを信じて、安心してほしい。
除霊アヒージョは、カウンターで「除霊の岩塩」を削りかけて完成となる。岩塩はしっかり「除霊効果が高い」といわれているものを選んでいるという手の込みよう。そしてやっぱりちゃんとおいしい。
ドリンクをつくったり岩塩の除霊をしてくれたりするスタッフは現在5名で、100人をこえる面接から厳選。それぞれ霊感アリ、怪談フリーク、極度のナナフシギマニアなど個性のつきぬけた精鋭揃いとのことだ。
さて、ナナフシギの生配信が行われるのは毎週火曜日と金曜日で、編集部が潜入した火曜日は視聴者から届いた投稿怪談の紹介をする日。当日は生配信前に別の動画収録もおこなわれており、ゲストとして怪談師のうえまつそうさんが招かれていた。そんなこともあって店内にはうえまつファンという人も多く、配信スタートの21時に向けひとりまたひとりとお客さんが増えていく。
そして生配信がスタート。お客さんはかたずを飲んで配信に食い入っている……のかと思いきや、意外にも店内モニターに流れる動画をながめつつ、それぞれに雑談を楽しんでいる様子。せっかくなので何人かお話を聞いてみた。
テーブル席で5人ほどで談笑していたのは、うえまつさんのファンだという女性グループ。一緒に来店したわけではなく、たまたまお店で合流したのだそうだ。会話の中心は怪談よりも他愛ない話のほうが多く、怪談バーなのにそんな雰囲気でいられることや、フードがおいしいのがお店の好きなところだそう。
スマホで配信を眺めながらカウンターで飲んでいた男性は、怪談に勇気をもらったのだという。以前から心霊現象を体験することがあり、人に話してもわかってもらえず相談する相手もいない、とひとり悩む時期があったが、怪談に出会ったことで「視える」ことのへ価値観がかわり、ナナフシギのファンにもなった。怪談は人を救うこともあるのだ。
他にも、もとはUFOが好きでそこから怪談にハマったという人や、お笑いライブが好きで怪談とお笑いを相互に観ることでどちらもより楽しめているという人など、怪談を聞く理由、店に足を運ぶ理由もさまざま。店での会話を楽しみつつ配信を視聴し、各自のスマホからコメントを投稿したり投げ銭をしたり、とマルチに楽しんでいる人が多かった。
また、収録に引き続き生配信にもゲスト出演したうえまつさんは、出番までバーでお客さんと歓談、時間になったら徒歩0分のスタジオに移動し、出番が終わったら再びバーに戻って一杯。バーとスタジオが併設されていることで演者側にも意外なメリットが生まれるようだ。
それにしても、バー併設の怪談配信スタジオなんておそらく日本でもここだけだろう。一体どんな仕様になっているのか。配信が終わったところで、専用スタジオ内にてナナフシギのおふたりにも話をきかせてもらった。
こちらが専用スタジオ。壁にはマンガやフィギュアがずらりと並び、まるでプライベートな部屋をそのままもってきたかよう。ナナフシギのふたりがリラックスして収録や配信に臨めるようにと、あえて好きなものをたくさんならべているのだそう。
専用のスタジオを持つことは、大赤見さんの昔からの夢だったという。理由は、怪談師で配信専用のスタジオを持っている人は今のところいないんじゃないか、その第一号を目指そうというのがひとつ。そしてもうひとつの理由が「専用スタジオ持ってるって、なんかかっこいいじゃないですか」という少年のような動機。
収録、生配信はもちろん、スタッフミーティングや視聴状況の解析まで、コンテンツに関する業務のすべてがここで行われている。セカンドハウスであり会議室であり、現在の「ナナフシギ」がつくられる空間といってもいいかもしれない。
ところで、この日の配信は投稿された怪談を紹介するコーナーだったが、ふたりは投稿怪談の読み方にも少々違いがある。吉田さんは投稿を一字一句間違わないようしっかりと読みあげていくが、大赤見さんは読みながら情景を思い浮かべ、初見の話でもその場で擬音などを足して臨場感を加えていくのだとか。
同じ投稿であってもどちらが読むかによって聞き手側の印象もずいぶんかわることになるわけで、別のいいかたをすれば、仮に内容がよく似た話があったとしても、吉田さんが読むか大赤見さんが読むかで全く違う「怪談」ができあがるわけだ。ナナフシギのコンビとしてのバランスのよさは、こんなところにもあるのかもしれない。
「怪談バー ガーリック・マネー・かも〜」はオープン数ヶ月と新しいお店だが、活気と怪奇に満ちた他に類をみないお店になっていた。今はまだあまり広告も打たずPRも控えめに展開している状況だが、今後は少しずつ会員以外のお客さんがフリーで入れる日時もふやしていく予定だという。
怖いけど怖すぎない、配信もして、それを観ることもできる楽しい怪談バーという新スタイル。これからの展開が楽しみなお店だ。
怪談バー ガーリック・マネー・かも〜
営業日 火~土:18時~23時半
※火・金は会員のみ(飲み放題2部制)
営業情報は公式Instagramにて! https://www.instagram.com/bar_g.m.k/
webムー編集部
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