この宇宙は8次元!「虚数iと量子現象で解く 霊界の科学」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

関連キーワード:

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    虚数iと量子現象で解く 霊界の科学

    李嗣涔(リー・スーツン)博士 著

    「霊界」の存在は科学的実験によって証明し得る

     本誌においては決してそんなことはないのだが、世間一般では(というか正統派の科学界隈では)、やれ「霊」だの「超能力」だのといえば、端からうさん臭い眉唾物として一蹴されている。だがそもそも、そうした現象自体、科学的な反復実験や観測には馴染まぬものでもあるから、そうした扱いもある意味、当然ではある。
     ところが、である。何と本書によれば、霊界の存在は科学的実験によって証明し得るし、そのための理論的裏づけも提唱することができる、というのだ。
     ここまで明解に断言されてしまえば、これはもう、刮目せざるを得ないではないか(実際、本文中でも、懐疑派の物理学者を集めて超能力の公開実験を敢行し、成功させるエピソードが紹介されている)。

     本書における著者の主張の根幹は、以下のふたつ。

     ①この宇宙は8次元からなる複数時空によって構成されている。その内の4次元は実数時空、すなわち物質世界であり、残りの4次元は虚数時空で、これは一般には「霊界」と呼ばれる領域である。

     ②複数量子状態における虚数iは意識を表している。すなわち意識とは「量子現象」に他ならない。

     このふたつの仮説のうち、①については、もうすでに他の学者チームによっても確認されており、②についても、ノーベル賞物理学者ロジャー・ペンローズらの提唱する「意識の物理」と、大枠においてほぼ一致しているというのである。

     本書は、これらの理論によって、この宇宙のあらゆる謎――暗黒物質、暗黒エネルギー、超光速的な量子もつれ、人体の特異な能力、意識の本質――を説明しようとする、何とも壮大な試みである。
     著者によれば、「意識は重ね合わせの量子状態が形成されるときに生じ」る。しかもその意識は「複数量子状態に入ったあらゆる物体に」現れるという。いいかえれば、量子状態に入るかぎり、「万物に霊性が宿る」というのだ。まさに目から鱗の知見である。

     著者の李嗣涔(リー・スーツン)博士は、スタンフォード大学で学位を取得した電気工学博士で、国立台湾大学学長や台湾国防部参事などの要職を歴任した、まさに台湾科学界の重鎮である。
     その重鎮が、学長の地位を退いた後に、ようやく科学界の主流に反する本を出せるときが来たと判断し、満を持して世に問うたのが、本書である。
     一部難解な部分もあるが、本誌の読者なら、積年の疑問が晴れたように感じられるのではないか。

    田村田佳子 訳/ヒカルランド/3300円(税込)

    (月刊ムー 2026年09月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

    関連記事

    おすすめ記事