明らかな不快になぜ囚われるのか? ヒトコワ映画「胸騒ぎ」で違和感に食われる(試写会イベントあり)

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    幽霊よりも怪物よりも、人間が、人間関係が怖くなる。

    北欧発のヒューマンホラー映画

     怪談、ホラーもので「ヒトコワ(人怖)」がある。心霊現象や妖怪変化に襲われたり、祟りや呪いなどの念に苛まれるわけでもない、ヤバイ人間にそのまま何かされるという「人間が怖い話」のジャンルだ。

     ホラー映画では「シャイニング」「トリハダ」「ゲット・アウト」などなど、名作は数多いが、今回紹介する新作「胸騒ぎ」も、いわゆるヒトコワ映画である。なにしろキャッチフレーズが「北欧デンマーク発の最狂ヒューマンホラー」だ。

    <あらすじ>
     イタリアでの休暇中、デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、オランダ人夫婦のパトリックとカリン、その息子のアーベルと出会い意気投合する。数週間後、パトリック夫婦からの招待状を受け取ったビャアンは、家族を連れて人里離れた彼らの家を訪ねる。再会を喜んだのも束の間、会話のなかで些細な誤解や違和感が生まれていき、それは段々と広がっていく。彼らの「おもてなし」に居心地の悪さと恐怖を覚えるビャアンとルイーセだったが、週末が終わるまでの辛抱だと自分たちに言い聞かせる——。

     ……というストーリーなのだが、家族ぐるみで「やばさ」に絡めとられていく過程は実に緩やかで自然で、現実でもよくある「あそこで引き返せば」「なぜ従ってしまったのか」という場面が生々しく、肌を刺してくる。
     デンマーク人家族がイタリアでオランダ人家族と出会うという状況からして、旅先のフワフワした感覚や母語が異なることによるすれ違いを孕んでいる。ひとつひとつは些細な違和感なのだが、言葉、食事、習慣などでことごとくズレていく不安のジェンガは崩壊の予感でいっぱい。ラスト15分、見事に状況はクラッシュするので、ヒトコワ、サイコホラー好きは期待して鑑賞してほしい。

     ディテールから味わう作品なので、どこがどうという説明は避けるが、英題が「Speak No Evil」というのはイメージのヒントになる。「言わざる」の意図は美徳か逃避か、未必の故意か。宇宙人も幽霊もモンスターも出てこないが、一方的に雄弁な悪魔がいる映画だった。

    トークイベント付き一般試写会

     映画「胸騒ぎ」の公開に向けて、トークイベント付きの一般試写会が開催される。限定数ではあるが、気持ちがぞわぞわした方は以下からご応募を。

    【応募フォーム】
    https://x.gd/scXmH

    【募集人数】10組20名様
    【応募締切】4月10日(水)まで
    <試写会概要>◾日時:4 月 17 日(水)開場18:30 開演19:00(上映時間 97 分)
    上映終了後、アフタートークイベント有。イベント終了21:10頃予定
    ◾会場:ユーロライブ (渋谷区円山町 1-5 KINOHAUS 2F)
    ※当イベント内容やチケットに関してユーロライブへのお問い合わせはご遠慮ください。
    ※当選者のみのご連絡となりますので、予めご了承くださいませ。

    <公開情報>
    『胸騒ぎ』
    2024年5月10日(金) 新宿シネマカリテほか全国公開

    監督:クリスチャン・タフドルップ
    脚本:クリスチャン・タフドルップ、マッズ・タフドルップ
    出演:モルテン・ブリアン、スィセル・スィーム・コク、フェジャ・ファン・フェット、カリーナ・スムルダース
    2022年/デンマーク・オランダ/ カラー/2.39:1/5.1ch/97分/英語・デンマーク語・オランダ語
    英題: Speak No Evil 原題:GÆSTERNE
    PG-12
    配給:シンカ 宣伝:SUNDAE 宣伝協力:OSOREZONE 提供:SUNDAE、シンカ
    公式サイト sundae-films.com/muna-sawagi
    © 2021 Profile Pictures & OAK Motion Pictures

    webムー編集部

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