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今回は、神仏と神社をこよなく愛するフリーライター兼編集者の武藤郁子さんに「縄文神社」を案内していただいた。縄文神社とは武藤さんが提唱する概念で、縄文遺跡と神社が重なる場所のこと。1万年以上、人々が祈りを捧げてきた聖地だ。
神仏と神社を愛するフリーライター兼編集者の武藤郁子さんは、縄文遺跡と神社が重なっている場所を「縄文神社」と呼びます。8〜9年前から縄文遺跡と神社が重なる場所をリストアップし、コロナ禍で時間の余裕ができたときに各神社を取材。その集大成として『縄文神社』(飛鳥新社)を出版されました。 そんな武藤さんが関東でおすすめするのが「二宮神社」(東京都あきる野市)。縄文時代の祭祀遺跡も発掘されたそうです。 「高台で日当たりがよく、大河ではない小さい川が近くにあって、縄文時代の人は住みやすかったでしょうね」 この地域の歴史を調べたところ、「ざくざくばあさん」という妖怪っぽい存在の民話が見つかったそうで、どんな内容なのかも気になります。 また、二宮神社の神様にまつわる中世以降の伝承には「片目」が多く登場するとか。 「縄文土器の顔面把手(とって)にも片目が見られますが、中世の人たちが顔面把手を知っていたわけではないので、不思議な偶然です」 境内にある「考古館」には、縄文時代の草創期(1万6000〜1万年前)の石器なども展示されていました。また、約6000年前の土器にはイノシシのモチーフが。ヘビの把手やカエルらしき生き物の飾りがついた土器も。現代の「ゆるキャラ」に通じるものを感じました。 縄文神社の境内で縄文時代の遺物を見ていると心身が癒され、元気になれます。大地からエネルギーを吸収したのか、足もとが熱くなってきたような……。 数多の縄文神社にお参りしている武藤さんに、縄文神社のご利益をうかがいました。 「コロナ禍で孤独を感じていたのですが、縄文時代から同じ場所でお祈りし、暮らしていた人たちとつながったような感覚があって、救われたような気持ちになりました。たくさん歩くので健康にもなれますよ」 多いときは1日で2万歩以上歩くとか。「足神様」と呼ばれるアラハバキ神の健脚パワーもあるのでしょうか。歩く以外には交通手段がなかった縄文人も、足腰が強そうです。 1万年以上も前に生きていた縄文人はもはや神様の域……。悩み事ができたら、心の中で縄文人に相談していきたいです。
辛酸なめ子
漫画家、コラムニスト。芸能界から霊能界、セレブから宇宙人まで独自の視点で切りこむ。
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