中国のスパイ気球か地球外のUFOか? 重要人物の証言から読む「真相を明かせない理由」/宇佐和通
謎の「気球」が飛来し、米軍戦闘機が撃墜したーー。一連の出来事は米中の主張を通じて情報戦で着地しようとしている。だが、本当に……? 重要人物の証言をまとめ、真相を考察する。
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月面にUFOが墜落した! と騒がれた「ダブルクレーター」事件。そもそも「墜落」ではなく、資源開発を目的とした「爆破」だったとしたら……? 米中で月面の資源争いが始まっているのか?
2022年6月。NASAが「月面に謎の二重クレーターができていた」ことを発表し、話題を呼んだ。
これは2022年5月、観測衛星LROが撮影した月の裏側の画像から発見されたもの。NASAによると、東側が直径18メートル、西側が直径16メートル程と推測されており、2つ重なったような形のダブルクレーターであるということだ。
だが、ダブルクレーター自体はそう珍しいものではない。小惑星の衝突などでよく見られる現象だというが、なぜここまで話題になったのか——。
焦点となったのが、“何が衝突したか”、である。
クレーターの形状から「両端に大きな質量があるロケット」であることが推測されているが、具体的な原因は今のところ不明だ。墜落UFOではないか、という説も当然のように囁かれた。
NASAの発表によると、2014年に打ち上げられた中国の嫦娥(じょうが)5号T1ミッションのロケットブースターである可能性が高いというが、中国側はもちろんこの見解に真っ向から反論。「ロケットから切り離された残骸は大気圏に突入し、完全に燃え尽きた」と主張している。
だが、ペンタゴンのスペースデブリ追跡宇宙司令部によると、中国のロケットの残骸は2022年3月までまだ宇宙にあることが確認されており、「大量の証拠を前に、この物体が中国由来のものではないと異論を唱えるのは非常に厳しい」と強い姿勢だ。
発見されたクレーターの形状から、「中国船は上部に重い機材を搭載し、月面着陸をシミュレートしていた」と推測されているが、米国側はなぜここまで中国を警戒するのだろうか。
2019年1月、中国の無人探査機が世界で初めて月の裏側にある南極エイトケン盆地の着陸に成功。さらに同年、中国とロシアが2026年までに月の南極に到達するという共同計画を発表したのは記憶に新しい。まさに中国の宇宙技術を世界へ知らしめる結果となったが、NASAのネルソン長官は、「中国が何らかの形で月の所有権を主張してくるのではないか」と、懸念の色を隠せないようだ。
事実、これまでは発生後3年以上経ってから発見されていたという月面クレーターが、今回はわずか1ヶ月あまりで発見されている。このことからもNASAがどれだけ注意深く月の裏面を観察していたかが分かるだろう。
ダブルクレーターができた原因について、米中の見解に口をはさむ宇宙船保有国はいない。しかし、これがNASAの主張通り、中国側のシミュレーションだとしたら月の裏側にはいったい何が衝突したのだろうか。
中国が積極的に月面探査を行っているのが月の南極・エイトケン盆地だ。エイトケン盆地には大量の氷の存在が確認されていることから、宇宙飛行士の飲み水や、ロケットの燃料など月面基地の活用が期待されている場所である。さらに、地下にはハワイ島の5倍と言われる超巨大な金属塊が埋まっていることが明らかになり、その構成も含め世界中が注目しているのだ。
NASA側の危惧が事実だとすれば、今回発見されたダブルクレーターは中国ロケットの“衝突”ではなく、もしかしたら月面採掘のための発破であった可能性もなくはないだろう。宇宙開発戦争が激化する中、月面ではすでに資源争いが起きているのかもしれない。地球からは見ることのできない月の裏側。そこにはいったい何があるのだろうか。
(2022年7月18日記事を再編集)
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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