知られざる巨大秘密結社オッド・フェローズとは? 現役メンバーが友愛組織の歴史と儀式を公開
フリーメーソンを凌ぐ世界最大の友愛結社オッド・フェローズについて、現役団員が驚愕の200年史をつまびらかにした。注目の新刊の一部を紹介。
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文=シークエンスはやとも 構成=倉本菜生 イラスト=ネルノダイスキ
霊界と芸能界、そして都市伝説界隈から世界を見る芸人が、気になる噂のヴェールをめくる。今回は「秘密結社」の思想と希望と絶望について。それは、むしろ大衆が求めている。
都市伝説を愛してやまない吉本興業所属の霊能者、シークエンスはやともです。今回は秘密結社について語っていきます。
皆さんは秘密結社にどんな印象を持っていますか?「悪い組織」「陰謀を巡らせている集団」なんて想像している人も多いのではないでしょうか。でも、僕は秘密結社を必ずしも悪いものだとは思っていません。
たとえば、フリーメーソンが掲げている理念は「自由」「平等」「博愛」です。いいことをいっているはずなのに、都市伝説界隈では「悪魔崇拝」などのイメージばかり広がっています。キャッチーで怖い部分だけが独り歩きしているように見えますよね。
実際、僕の友人にもフリーメーソンのメンバーがいます。でも「災害や地震についての計画なんて聞かない。普通に被災地にもメンバーがいるから、極秘の陰謀情報が回ってきているなんてことはないです。社交場に起業家たちで集まって、食事をしながら情報交換しているだけ」といっていました。
聞いた話からは秘密裏に世界を動かす会議を開いているだとか、世界の行く末を操っているといった様子は感じられません。もちろん、陰謀めいた活動については別組織が動いていたり、隠しているだけなのかもしれませんけどね。
では、なぜ人は秘密結社に神秘性を感じてしまうのか。
秘密結社の話題が好きな人には、ふたつのタイプがいます。
ひとつは、「世界中を操る闇の組織があるんだ」と妄信的に信じるタイプ。彼らはフリーメーソンのような組織にスリルやロマンを抱いています。
もうひとつは、「資本主義社会の構造の中で、そういった組織が自然に生まれてしまう」と、現実的な視点で考える人たちです。
このタイプの人たちは、「社会のトップが陰で何かを企んでいて、われわれを奴隷化している」という考えに惹かれる傾向が強い。世代でいうなら、35から55歳を中心とした中高年層に多いんですね。
この世代は、「社会は個人を受け入れる場所」と教えられて育ってきたのに、その期待を時代の転換期で裏切られた人たち。生まれや環境による格差に不満を感じているんです。だからこそ、世界を裏で牛耳るとされる秘密結社の存在が、自分たちの苦境を象徴するものとして映るのでしょう。
逆に、20代以下の若い人たちは、秘密結社のような「権力を持つ集団」への関心が薄い気がします。いわゆるネタバレ世代の彼らは、ネットを通じて人生のシミュレーションができてしまう。だからエイリアンやスピリチュアルといった〝答えのわからない超常現象〞には興味を持つけど、陰謀論めいたものには無関心なのかもしれません。
秘密結社の本質を考えるとき、まず思い浮かぶのは「秘密」そのものが持つ意味です。入会方法や会員情報が秘密になっているフリーメーソンに限らず、大手資産運用会社のブラックロック、日本医師会や経団連のような影響力を持つ組織も、ある意味では「秘密結社」的な要素を持っています。
組織内でトップと下っ端に分かれ、上層部が重要事項を決めて、下の人間がそれを実行する。トップの人間たちがどんな意思決定をしているのか、僕たち一般人にはわからないことが多いですよね。だからこそ、その秘密、つまり「見えない部分」に対して人々は不安を抱き、ときには陰謀論に結びつけてしまう。
ただ、どんな組織でも、意思決定の仕組み自体は意外と普通だったりします。彼らがやっているのは、いわば企業や団体の目標に沿った「業務」です。でも、その結果が社会全体に影響を及ぼすと、人々は「秘密結社的なものが裏で世界を動かしている」と感じてしまいます。
つまり、秘密結社の秘密たるものは、「思想」なんです。トップ側と一般人の間にある「わかりあえない壁」が原因で、思想そのものが秘密化している。
一般人が「なぜこんな決定をしたんだ」と感じた事柄に対し、トップ側は「人々はなぜわかってくれないんだ」と、言語化やコミュニケーションを諦めてしまっている。このすれ違いが秘密結社への疑念を生む原因のひとつなんじゃないでしょうか。構造自体は、世界規模の戦争から家庭内の問題に至るまで同じですよね。
最近では富裕層や経営者層だけでつるむコミュニティができたり、結婚率の低さから「家庭」という組織が限られた人たちの特権になっています。そこで何が行われているのか、どんな意思決定がなされているのか、外部の大衆からは分からない。社会が細かく分断され、今やあちこちで小さな秘密結社が生まれているわけです。
秘密結社を信じたくなる理由をさらに掘っていくと、人間の本能に行きつきます。
われわれは基本的に「統治されたい生き物」です。みんな「働きたくない」「考えたくないけど、贅沢にご飯を食べたい」という感情を持っている。だれかに管理されることで楽になりたい、でも上に文句はいいたい。そんな本能的な欲求を満たす存在として、人々は秘密結社の実在を切に求めているのでしょう。
そして秘密結社のような「見えない存在」こそが、僕たちの可能性を未知数にしてくれる最後の希望でもあります。格差社会を生きる僕たちは、すべての人が繋がり、謎や秘密のない世界を夢見ています。だからこそ、その実現を阻む存在として、秘密結社が物語に登場する。
でも、世界がオープンで透明になり、すべての出来事に理由がつけられるような社会になったら、僕たち人間はその状況に耐えられないでしょう。この世界に何も秘密がなかったら、社会における生きづらさが自分のせいになってしまいますから。それって、個人にとってもっとも絶望的な状況です。
つまり、秘密結社という存在は、「思想であり、希望であり、絶望」なのです。秘密があって、謎があって、それを追いかける余地があるからこそ、僕たちは希望を持てる。完全に解明されない謎や、見えない存在を心の中に抱えているうちは、僕たちはまだ「人間」でいられるんです。
秘密結社はたしかに存在しています。それぞれの組織は決して完全な悪ではなく、庶民とは別の価値観の「思想」を達成しようとしているだけです。
もちろん、秘密結社が掲げる思想がすべての人にとって正しいとは限らないし、ときには大きな誤解や軋轢を生むこともあります。この事実をよい意味で捉え、秘密結社の存在を信じること自体が、人間らしさなんだと思います。
ともあれ、「秘密結社の謎」については、人間社会最後の希望の砦として、謎は謎のまま残しておきましょう。そのほうが僕たちにとって、より自然に生きられるはずですから。
(2025年 月刊ムー3月号)
シークエンスはやとも
1991年7月8日、東京生まれ。吉本興業所属の〝霊が視えすぎる〞芸人。芸能界から実業界、政財界にも通じる交友があり、世相の表も都市伝説も覗いている。主な著書に『近づいてはいけない いい人』(ヨシモトブックス)、『霊視ができるようになる本』(サンマーク出版)など。
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