都市部で集団目撃された飛行物体騒動! メキシコ「ラス・ロマスのUFO」/忘れじのUFO事件史
空飛ぶ円盤という言葉が世に飛び出して約80年。数々の遭遇の中から忘れられない――忘れたくない事例を振り返る。 今回はメキシコシティで集団目撃された空飛ぶ円盤について。同じく都市部での集団目撃となったフ
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空飛ぶ円盤という言葉が世に飛び出して約80年。 数々の遭遇の中から忘れられない―― 忘れたくない事例を振り返る。 今回のテーマは米軍からの情報提供で制作されたドキュメンタリー映像!! 決定的な映像はなぜ直前で公開不可になったのか?
2025年、ドキュメンタリー映画『The Age of Disclosure』が公開された。内容はといえば、恰幅のいい中年男性たちが延々とUFOと情報公開について語りつづけるという、決して娯楽性の高い映画ではない。――にもかかわらず本作が大きな話題を集めた背景には、近年高まりつつあるUFO情報公開、いわゆる「ディスクロージャー運動」の機運がある。
その映画の中で注目を集めたひとつが、物理学者エリック・W・デイヴィスの証言である。彼は、米国の元大統領ジョージ・H・W・ブッシュと会談した際、1964年にニューメキシコ州ホロマン空軍基地で起きた「異星人との接触」についてブッシュ本人から直接聞いたと劇中で証言している。このひと言によって、いつしか忘れ去られていた「ホロマン空軍基地事件」が再び脚光を浴びることになった。
さて、ここで少し想像してみてほしい。もしあなたが映像制作に関わる仕事をしていて、ある日、米国防総省(DoD)や空軍の高官たちから「空軍基地にUFOが着陸した映像がある。ぜひ、それをもとに映画を一本作ってほしい」と依頼されたら、どうするだろうか。
眉に唾をつけつつも、内心では興奮を抑えきれない、というのが正直なところではないだろうか。
しかし常識的に考えれば、そんな話が現実にあるはずがない。
だがこれから語るのは、その「あり得ない話」が、実際に起きたとされる出来事なのである。
その依頼を受けたのは、広告業界出身の映像制作者ロバート・エメネガーと、共同制作者のアラン・サンドラー。ふたりは国防総省や空軍の協力のもと、ドキュメンタリー映画『UFOs:Past, Present & Future』を制作し、1974年に公開する。作品は、聖書のUFOに始まり、第2次世界大戦後から70年代初頭までの著名なUFO事件を網羅的に扱った意欲作で、ジャック・ヴァレ博士やJ・アレン・ハイネック博士といった、当時を代表するUFO研究者たちも登場する。UFOファンであれば、これだけでも十分に見応えのある作品だ。
いやいやいやいや、肝心なのは「空軍基地にUFOが着陸した映像」である。
そんな映像がもし本当に米政府機関のお墨付きで公開されていたとしたら、UFOを取り巻く状況は、今とはまったく違うものとなっていなければおかしい。つまりは、その映像は公開されなかったのである。
実はこの映画の完成直前になって、空軍側から「その映像は提供できない」と通告され、結果、本来使用されるはずだった実写フィルムの代わりに、再現ドラマとイラストによる想定シーンを挿入することを余儀なくされた、というのだ。うーん。この経緯が、後年まで語り草となる最大の不可解な点である。
この映画が米政府機関の協力の元に作られたことは間違いない。いったい政府は何がしたかったのか。なぜ、わざわざ民間の映像制作者に依頼し、期待を持たせたうえで、直前にすべてを引き上げたのか。いたずらにしてはあまりに手が込んでいるし、国防総省や空軍にそんな悪意はないだろう。考えれば考えるほどわからなくなる。

エメネガーの証言によれば、問題のフィルムは「ニューメキシコ州ホロマン空軍基地で実際に起きたとされる異星人着陸・接触事件を記録した16ミリ映像」で、総延長は約3200フィート、時間にして20分以上に及ぶという。彼らはその存在を信じ、実際に着陸地点とされる場所や、異星人が移送されたとされる施設にまで案内されたと話している。
その後、エメネガー自身の証言や、映画制作に関わった関係者、さらには別ルートでその映像を見聞きしたという人々の口から、「幻のホロマン着陸映像」の中身が、断片的に語られるようになっていく。
それらを総合すると、映像は早朝のホロマン空軍基地内で撮影されたものらしい。レーダーに複数の未確認飛行物体が映り、基地は即座に警戒態勢に入る。やがて3機の円盤状飛行物体が上空に現れ、そのうち1機が滑走路付近に静かに降下する。機体は3本の着陸脚を展開し、着地した――という映像だという。
さらに驚くべきことに、その着陸した円盤の側面が開き、中から3体の異星人が姿を現したというのだ。身長は人間とほぼ同じ。全身を密着したスーツのようなものに包み、肌は灰色がかった色調。目は大きく、猫のように縦長の瞳孔を持ち、頭部には帯状、あるいはロープ状の装飾が施された「古代エジプト風(またはシュメール風)」のいで立ちだった。



だが、映画制作後、当の空軍は完全に口を閉ざしてしまう。真実は闇の中に沈み、その不可解な顚末だけが、UFO史の水面を浮いたり沈んだりしながら、今日まで消えずに残っている。
さて、もう一度エメネガーらの映画に目を向けてみよう。問題の再現シーンで描かれた異星人は、証言の通り「古代エジプト風」な姿で登場する。地球人との差を出そうとした結果なのだろう、どこかエキゾチックな「とりあえず異国風にしてみました」といった趣が、いささか安っぽい。正直、なんともいえない。
もっとも、時は1974年。まだ映画『未知との遭遇』も公開されておらず、「異星人といえばグレイタイプ」という定型のない時代である。手探りで「異星人らしさ」を造形しようとすれば、あのような姿になるのも無理はないのかもしれない。
しかし、ここで改めて立ち止まらざるを得ない。米政府はいったい、何をしたかったのか。本当に基地で異星人との会見は行われたのか。そして、問題の16ミリフィルムは、今もどこかの保管庫に眠っているのだろうか……。


●参考=ロバート・エメネガー著ほか『UFO大襲来 : 人類への挑戦』(1975) https://deadline.com/2025/12/he-age-of-disclosure-uap-documentary-vodcharts-
1236642653/
(月刊ムー 2026年05月号)
秋月朗芳
2005年に発足したUFOサークル「Spファイル友の会」代表。同会で年一回発行している同人誌『UFO手帖』の編集長を務める。また最近『日曜版』という、オカルト/ポップカルチャー/テックを扱うニュースサイトの運営も始めている。
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