アンティキティラ装置が甦る! 世界最古の非プログラム式コンピューターを復元図解/宇佐和通
120年前に、沈没船から発見された機械装置。「古代のコンピューター」と目されながら、これまで多くの謎に包まれていたオーパーツの実態がついに明らかになった!
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怪談芸人ナナフシギの新刊「列島怪談」から恐怖エピソードを特別公開! かくれんぼをしていたら、鬼はとんでもない形で触れてきた……?
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これは、ある工場の経営者が「従業員から聞いた、あまりにも不思議な話が忘れられない」として、僕に送ってきてくれた話だ。
1960年代。中国地方のある地域で暮らしていた高田少年(仮名)が、小学生の時のことだ。高田少年は、学校帰りによく友達と鬼ごっこやかくれんぼをして遊んでいたという。そして、遊ぶ前にはみんなで近所の駄菓子屋に寄り道をしてお菓子を買うのがお決まりのコースだった。
その日も、高田少年は友人たちと駄菓子屋に向かったのだが、道すがらいつも考えることがあった。「今日は、どっちなのかなぁ」と。というのも、その駄菓子屋さんは、昔はおばあさんが1人で店を切り盛りしていたのだが、最近はその家に嫁いできた若いお姉さんが店頭に立つことも多かったのだ。高田少年は、何かと小うるさいおばあさんよりも、気さくに話せるお姉さんのほうが好きだった。おばあさんは、「そんなにたくさん買ったらあかん」「宿題はやっているのか」「しゃんとしなさい」など、いつも気持ちがなえることを言ってくるので、みんなも煙たく思っていたのだ。
しかし、その日はおばあさんが店番だった。普段通り「川とか行ったら気をつけないと駄目だよ」などとアレコレ言ってきたので、うざったくなった高田少年たちは、お菓子を買うと一斉に「うるせーな!」と捨て台詞を吐いて店を出たそうだ。そして、いつもの遊び場に向かった。
そこは、大きな川が勢いよく流れる、周囲を山々に囲まれた場所だった。石ころが一面に広がる川岸のところどころに、高田少年たちよりもずっと背の高い草がこんもり生えているが、足場も悪いことから「その草むらには入っては駄目だ」と、親にもきつく言われていたそうだ。
川岸に集まった少年たちは、かくれんぼをして遊ぶことになった。だが、高田少年はかくれんぼが苦手で、いつもすぐに見つかってしまう。だから「今日こそは見つからないぞ」と、意気込んで、背の高い草むらに隠れてみようとした。もちろん、ほかの子たちも親から「あそこには行くな」と釘を刺されていたので、暗黙の了解で〝草むらに行くのはタブー〟となっていたため、いつものようにやすやすと見つからないのは明白だった。
草をかき分けてどんどん前に進んでいく高田少年。足元もよく見えないし、怖いなと思いながらも、好奇心なのか、そのまま奥のほうへ行ってしまった。背後から聞こえる、「も~いいかぁ~い」の声も心持ち小さくなってきた。怖いけれども、引き返せばまたすぐに見つかってしまう……。高田少年は少し迷ったものの、「これはもう進むしかない」と決めて進んでいったそうだ。
しばらく歩くと、突然、草のない、ちょっとした空間に出たという。地面もそこだけ普通の土で、よくよく周りを眺めてみると、直径3メートルくらいの円形になっていた。それはまるで、誰かが草を刈り取って人工的につくったような空間だったという。「あれ、こんな場所あったんだ」と思った高田少年は、ここなら誰にも見つからないだろうと思って、腰を下ろして息をひそめていた。サワサワと山の木々が風に揺れる音や、川のせせらぎが聞こえるなか、遠くのほうで友達が「も~ういいか~い」と言っている声が聞こえた。
高田少年がドキドキしながらじっとしていると、何か声が聞こえてきた。それも、友達の声ではない、誰か知らない人の話し声のようだった。
なんだろうと耳を澄まして聞いてみると、どうやら自分の居場所からそう遠くないところで声がしている。耳に手を当てて、会話の内容を聞いてみようとすると、少しずつ、その内容が入ってくるようになった。
「いれ……のか? 入れる……か? 入れるのか?」
徐々に、誰かが「入れるのか?」と言っていることがわかった。と同時に、その声は草むらの先ではなく、自分の足元から聞こえていることに気がついた。
高田少年は、自分の足元にラジオが埋まっているのだと思い、かねてより自分用のラジオが欲しかった彼は、そこを掘り返すことにした。近くにあった石や木の枝を使って、声がするほうの土を掘り返す高田少年。そんなことをしているうちに、5分くらいたったのだろうか……、高田少年は急にパタンと意識を失ってしまったという。
目を覚ますと、見知らぬ布団に寝かされていた。
ここはどこだろうと思っていると、まず視界に入ってきたのは駄菓子屋のおばあさんだった。その後ろでは、自分の両親や友達たちが心配そうに高田少年を見つめていた。
「イテッ」
何が起きたのか状況が把握できない高田少年が起き上がろうとすると、自分の手がひどく痛いことに気がついた。見ると、腕が傷だらけだったのだ。
後で知ったことだが、実はそのおばあさんは、この土地の拝み屋さんで、近所の人に頼まれては、お祓いや祈祷をする人だったという。
友達に何が起きたのか聞いてみると、かくれんぼでほかの全員が皆捕まった後、なかなか高田少年が見つからないものだから、みんなで探していたのだそうだ。すると、草むらから「もういいよ~、もういいよ~」と延々繰り返す高田少年の声が聞こえてきた。「あ、あそこにいるんだ!」となり、みんなで草むらに分け入ったそうだ。
そして、円形に開けた場所へ皆が出ると、そこには異常な光景が広がっていた。
高田少年が「もういいよ~、もういいよ~」と言いながらずっと地面を素手で掘り返していたというのだ。爪も剥がれ、土の中の石で腕が擦れていたのか、高田少年の腕は血まみれだった。「何やってるんだ!」と叫んでも手を止めず、「もういいよ~、もういいよ~」と呪文のように繰り返すばかり。全員で力ずくで土堀りをやめさせ、おばあさんが拝み屋だということを知っていた少年が、「駄菓子屋に連れて行こう」と提案し、事なきを得たそうだ。結局、高田少年は「狐にでも憑かれたのだろう」ということで、この話は終わった。それにしても、あの空間は一体なんだったのだろうか……。
ここからは、僕(吉田)の考察になる。低級霊に取り憑かれた際、藁人形などの呪具にそれを移して捨てるという習わしは全国各地に点在しているのだが、特に水と大地の境界である〝川岸〟に捨てるのは浄化が早いとされているそうだ。そんなこともあり、地域によっては悪いものを吸い取らせた呪具をまとめて捨てる場所が川岸にあったらしい。四国だと、藁で作った「みてぐら」と呼ばれる器に悪いものを集めて土の中に埋めて捨てることがあったそうなので、高田少年はそこにたどり着いてしまった可能性がある。
こうした、普通の人が近づいてはいけない場所のことを四国では「すそ林」と呼んだそうだが、すそ林の「すそ」は呪詛から転化した言葉だといわれている。そのすそを土の中に埋めることでいわゆる〝すそ封じ〟が行われていたそうだ。
また、高田少年が聞いた「入れるか? 入れるのか?」という言葉は、おそらく土中に埋められた怨念または、埋めた人々の怨念が「少年の中に(ケガレを)入れるのか?」と話しあっていた声なのではないのだろうか。その結果「入れよう」 という結論に至り、高田少年によくわからない悪霊が取り憑いた可能性があると考えられる。
吉田 最後は僕なりの考察なので……正しいかどうかはわかりません。ただ、普通に生きているだけで降りかかる底知れない恐怖が、自然の中には隠されているのがポイントだと思います。
ちなみに、「みてぐら」を使ったすそ封じは密教の考え方なのですが、陰陽道にも似たようなものがあり、木や金属で作った「なでもの」という人形に呪いを移す習わしがあるそうです。
大赤見 代表的なのは鬼ごっこですが、子どもの遊びには疫病や災害などをもたらす“鬼”から逃れる儀式的な要素が発祥となっているものが多い。
かくれんぼも“鬼”を決めるゲームだし、夕方にかくれんぼをすると、神隠しに遭うという伝説もいまだに残っていたりする。コックリさんに次ぐ降霊術として“ひとりかくれんぼ”も有名だしね。
「ナナフシギの最恐ベストセレクション 列島怪談 あなたの地域の一番怖い話」(宝島社)より
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