霊を見て、いわくの品々と通じあう! 〝視える〟呪物コレクター・由乃夢朗の霊感半生
霊視ができてしまう呪物コレクター・由乃夢朗さんのオカルト活動をインタビュー。謎の存在から受け取った石の霊力とは……?
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ムー44周年記念「ムー旅SP LIVE」では、名だたる呪物コレクターたちからのムーへの「お祝い呪物」が披露された。呪物でお祝い……いったいどんな品が飛び出したのか?
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去る10月9日に4時間40分にわたって配信された「ムー旅SP LIVE」。
「呪物の旅」と題したコーナーでは、日本を代表するトップ呪物コレクターたちによって、ムー創刊44周年やオカルト界隈の盛り上がりを祈る「お祝い呪物」紹介がおこなわれた。
「祝い」と「呪い」、字面こそよく似てるものの、中身は真逆。
お祝い呪物という無茶振りに、呪物コレクターたちはどんな逸品を披露してくれたのか?
最初に呪物を紹介してくれたコレクターは由乃夢朗さん。お祝い呪物は「金のフンをするメンシーフーハーター」の面。由乃さんが前所有者Aさんから譲り受けたものだという。
もともとは数十年前、Aさんの父が友人から海外のお土産としてもらったもので、もらった当初はAさんも面をかぶっておばけごっこなどをして遊んでいたそうだ。
ところがある時期から、父親はこの面をやたらと慎重に扱うようになった。Aさんは後から知ったことだが、拝み屋のような人が「この面には神が宿っているから粗末に扱うな」と口添えしたのだという。
父親は「宿っている神を戻すため」といって面に苔を貼り付けたり、お経を唱えたりと徐々に様子がおかしくなっていき、最終的には面を蔵にしまい込み、なかば封印するように蔵ごと鍵をかけてしまったのだそうだ。
Aさんが面に再会したのは、数十年経ってご両親が亡くなり、実家を処分することになったとき。久しぶりにこの面をみたAさんはフリマアプリに出品しようかとも思ったのだが、直感的に「換金しないほうがいい」と感じて由乃さんにコンタクトをとり譲ることにしたのという。
海外の土産であり、5つの目があいていることから、由乃さんはこれをタイの「メンシーフーハーター」だと推定した。外見は5つの目を持つ猿のようだが正体は帝釈天の化身で、炭を食べて金のフンをするという精霊だ。
そして入手後にも何度か奇妙な現象を起こしていることから、面にはAさんの父がおそれていた神が宿ったままなのではないか……と由乃さんは感じている。
メンシーフーハーターであれば、宿っているのは帝釈天ということになる。帝釈天といえば勝負の神。ということで、ムーがこの先も勝負に勝ち続けられますようにと今回この面を「お祝い呪物」に選んでくれたのだ。
続いては都市ボーイズ・はやせやすひろさんから、お祝い呪物「歌う日本人形」の披露。
この人形はある田舎の旧家にあったもので、その家の祖母がとても大切にしていたという品。旧家だけあってその家では祖母の権力が絶大で、なにをするにも全ての決定権を握っていたのは祖母だったという。
あるとき、祖母の部屋から誰かとしゃべっているような声が聞こえる。今はおばあちゃんひとりだけのはずだけど……と家のものが部屋をのぞいてみると、それは祖母が人形に向かって「ねえ、いつものように歌って? お話してよ」と語りかけている声だった。
あんな強い人もいよいよ弱ってしまったか、と思ったものの、部屋の外では気丈な様子はかわらない。ところがその三ヶ月後、祖母は急に亡くなってしまったという。
葬儀等々がひと段落して身の回りのものの整理に話が及んだとき、家族のひとりが「そういえばばあさんが人形に話しかけていて……」と話しだす。すると、祖母の部屋から突然軍歌が聞こえてきたのだという。あの人形は、本当に歌うのかもしれない。恐ろしくなった家族は、すぐにその人形を手放した。
これを入手したのはある骨董商で、その店では「いわくつき」の品が入ったときにはまず自宅に引き取って真偽を確かめてみるというルールを決めているのだが、家に置いておいたところ本当に軍歌が聞こえてきてしまったのだという。これは商品にはできない、としまっておいたものを、縁あってはやせさんが譲り受けることになったという経緯だ。
はやせさんは人形を呪物展や番組などで紹介したのだが、あるときには撮影中に「人形がウインクしている」といわれて収録がストップすることもあったという。また別に撮影した動画には、人形のある異変がおさめられているのだが……その様子は「呪物の旅」動画で、ぜひ自らの目で確かめてほしい。
オカルトコレクター田中俊行さんからのお祝い呪物は、タイのある信仰にまつわる品「ピーメーワルジャン3点セット」。
ピーメーワルジャンとはなにか? その説明のためにまずはタイに伝わる「ピーメーナーク」の民話を紹介してくれる田中さん。
今から200年ほど前、タイのある村にナークという村長の娘がいた。ナークはマークという庭師と恋仲だったのだが、父村長は身分違いだとこの関係に大反対。ナークとマークは駆け落ちしてふたりで暮らすことになる。
夫婦のあいだには子も授かりもうすぐ出産となった頃、マークは徴兵に駆り出されることになってしまう。そしてマークが家を空けてまもなく、ナークは難産のすえに母子ともに命を落としてしまった。タイでは、難産で亡くなった妊婦はきちんと祀らないとたいへんな悪霊になると信じられているのだが、残念なことにナークはその恐れられる悪霊へと姿を変えてしまう。
徴兵から帰ったマークは妻が悪霊だとは気づかずにしばらく一緒に暮らすのだが、やがてその正体に気づいて寺に駆け込む。寺の僧侶たちもあまりに強大な悪霊の力になにもできずにいたのだが、最後は謎の少年があらわれてナークを退治する。やがてナークはその強大な霊力から信仰の対象になっていくのだが、田中さんのお祝い呪物「ピーメーワルジャン」は、この近代版なのだそうだ。
タイ語で「ピー」は精霊、化け物、幽霊というような意味で、「メー」は母。「ピーメーナーク」は「ナーク母さんおばけ」の意味で、おなじく「ピーメーワルジャン」は「ワルジャン母さんおばけ」ということになる。
ワルジャンという身寄りのない妊婦が亡くなったのである寺で火葬し散骨したのだが、葬式をおこなった僧侶の夢枕にワルジャンの霊があらわれる。タイではこうした怪異現象がおこった場合は呪物にすることで福をもたらすという信仰があり、ワルジャンも「ピーメーワルジャン」として祀り上げられることになったというものだ。
田中さんのお祝い呪物は、ワルジャンの肖像画ポストカードと、聖なる油として信仰されるワルジャンの体液(ナンマンプライ)、そしてナンマンプライを煮詰めてペースト状にしたものの3点だ。ポストカードも、呪術師が念を込めた歴とした呪物だという。
田中さんはこのワルジャンお母さんに「ムーとオカルト業界がもっと盛り上がっていくように」と毎日お祈りをしてくれるそうだ。ムー、そしてオカルト業界の発展は間違いなしだ!
そして「44周年」にちなんで、各コーナーを4人で揃えているこの企画。
「呪物の旅」にも、もちろんもうひとり、呪物蒐集の長老が登場する。
やつが持ち込んだ呪物は……以下の動画でご確認を。レポートは後編で!
webムー編集部
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