世界が震えた怪鳥造形から手引き霊柩車まで…呪物に愛された男・相蘇敬介の禍々しき生き様
昨今の「呪物」ブームのはるか昔から「呪物」に魅了され、蒐集してきたひとりの男。あの事件にも巻き込まれてしまったその男の名は……!
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霊視ができてしまう呪物コレクター・由乃夢朗さんのオカルト活動をインタビュー。謎の存在から受け取った石の霊力とは……?
今、怪談イベント界隈などで人気のテーマ「呪物」。都市ボーイズ・はやせやすひろさん、田中俊行さん、そして相蘇敬介さんが現在のブームを牽引しているが、日本にはまだまだ呪物コレクターがいる! 今回は、はやせさんにも何度か呪物を提供しているという由乃夢朗(よしのゆめろう)さんの呪物コレクションを取材した。
ところで、なぜか呪物コレクターには怪現象に無頓着(?)な人が多い。霊障を気にせず収集に奔走する霊的鈍感な向きが多いのだが、夢朗さんは小さい頃から頻繁に霊的な体験をしてきたといういわゆる「視える人」でもある。霊が見えるのに呪物なんて集めて大丈夫なのか? という単純な疑問が頭をよぎるが、果たして視えるコレクターは呪物に悩まされたりしていないのか……?
——夢朗さんは呪物コレクター、また怪談師としても活動されていますが、この世界にはいつ興味をもったんでしょう?
夢朗 怪談を本格的にはじめたのは6年前です。それまではSNSで自分の体験談などをアップしていたんですが、それがテレビ番組制作の方の目にとまって「オカルトオタク同士の合コン」という珍しい番組に呼んでもらったんです。
それをきっかけに少しずつイベントやメディアにもださせてもらうようになって、それまで怖い体験を話しても周りから気味悪がられるだけだったのが、「怪談として語ることで喜んでもらえるんだ!」と気がつきました。それが36歳のときなので、スタートは遅いほうですね。
——小さい頃からずっと怖い体験をしていたんですか?
夢朗 最初の怪談めいた体験は4歳のときでした。といっても自分では覚えていなくて親から聞かされたんですが、ある日突然、僕が異常に泣きじゃくって、親に向かって「俺のイハイもってこい!」と叫びはじめたんだそうです。声が枯れるくらいずっと叫んでたそうで。
4歳でふだん「俺」なんて使ってないですし、「イハイ」の意味もわかるわけありませんよね。それが「位牌」なのか「遺灰」なのかもいまだによくわからないんですが……。お寺に連れてかれて、お経を唱えてもらったり、僕自身も唱えられるようにと覚えさせられました。
他にも、ある施設にいくと宙を赤い足だけがゾロゾロと歩いているのを見たり、といろいろありました。視えるだけでなく被害というか、霊に関わられるようなことが多かったように思います。
そんな怖い思いばかりしていたせいなのか、僕は小学生の頃からいわゆるイマジナリーフレンド的な存在がいたんです。この子があるとき「人形に入りたい」というので、自分で紙粘土の人形を自作してそこに入ってもらったんですが、のちにタイのクマントーンという呪物を知った時、「作った人形に魂をいれる」という部分ではあの人形と同じだなと思ったんです。呪物に興味を持ったのはそれがきっかけでしたね。
——呪物コレクターで視える系の方は珍しいと思いますが、率直に、視えるのにこんな呪物に囲まれていて怖くないんですか?
夢朗 怖さはないんですよ。見えない世界ってなにかレイヤーの違う場所が存在しているということだと思うので、その「視える先」から得られるものがあるんじゃないか、なにか掴みたい、学びたいなと思って呪物を集めているという気持ちもあります。小さい頃から怖い体験はたくさんしてるんですが、呪物収集の過程でそういうのはむしろ少ないですね。
夢朗 一度、すごく不思議な体験したことがありました。
神奈川県に住んでいたときなんですが、当時の家の近所に森林公園があって、湧き水が出ている場所があったんです。その頃はちょっと疲れていた時期で癒されに行ったんですが、その湧き水に手を入れていると……水の中から黒いツヤツヤの手がすーっと出てきたんです。ドラクエのマドハンドっていうモンスターそっくりの姿で、それが僕に何か手渡してくるんですよ。それで受け取ったのがこの石なんですが……
ーー妖怪みたいな存在から受け取った石、ということですか……。
夢朗 ちょっとドクロっぽい模様にみえません? 幽霊は小さい頃からたまに見ることがありましたが、さすがにびっくりしましたね。幽霊はともかく妖怪ばかりは創作だろうと思っていたんですが、この体験以来妖怪もいるのかなあと思うようになりました。
それでこの石を持ち帰ったんですが、なぜか神棚に置いても落ちてきてしまうんですよ。目の前でぽーんと飛ぶように落ちたのを見たこともあります。そんなある晩、不思議な夢をみまして、夢のなかにもうひとりの自分がでてきて「この石の使い方教えてあげる」といってくるんです。
その自分によれば、これはドクロ模様の方を自分の体に向けておくと、悪いものが石の先端から抜けていくんだ、と。
目が覚めて、朝言われた通りにしてみました。そしたらその翌日、石の先端を向けておいたほうの家にものすごい数の警察官が詰め掛けていたんですよ。「何かあったんですか」と聞いても教えてくれませんでしたが、絶対になにかしらあったに違いないお巡りさんの数でした。
またそのすぐ後に、今度はそのお隣の家が古いわけでもないのに屋根が腐ってしまったという話をきいて……もちろんそれが石のせいだと断言なんかできませんが、僕の気持ち的に扱いに困っていたら「先端が外を向かないよう丸い器にいれるといい」とアドバイスをくれた方がいて、今は東南アジアの仏具のお鈴のなかに入れています。
ーー夢で呪物の扱い方を知るというのもなかなかレアな体験ですね。
夢朗 人間がつくったものではないので厳密にいえば呪物の枠からは外れると思うんですが、僕はこういうのを「ナチュラル呪物」と呼んでいます。人間の手によらない呪物もあると思うんですよね。
——すごい体験。そんなにはっきりとみえるんですね。
夢朗 ナチュラル呪物といえばこれもそうです。実家近くの川で拾ったものですが、「木の化石」なんです。その川はかつて仙台藩の処刑場があった場所を流れていて、昔は罪人を処刑したらそのまま流していたという話もあり、「出る」という噂もある場所です。
実家を出るときにこの石も持っていったんですが、アパートではベランダに置いておきました。それである晩、仕事から帰って部屋で休んでいると、ふと気づいたら部屋のなかに川のような青い流れが漂っているんですよ。それが窓の外から流れ込んでいる。なんだこれと思っておおもとをたどったら、流れはこの石から出ているんです。近づいてみると、すーっとお地蔵さんのようなものが浮かんで、ひゅっと消えてしまった。
ただ、そのとき自分の視界のなかに寝ている自分がみえたんです。だから全て夢のなかのできごとだったのか、あるいは自分の魂が体外離脱していたのか、なんともいえないんですが、そんな経験をしたことがあります。
その川は今でも地元の方が慰霊塔を立てたりして手厚い供養がされています。そんな川底の石なので、もしかしたら処刑された人たちの念が染み込んでいたのかもしれません。同じくこの川の木の化石を拾ってきたら、家で怪現象やお遍路さんのような恰好の霊が出るようになったという体験談も寄せられてます。
インタビューののっけから、ハイペースで続々とすごい話をぶちこんでくれる夢朗さん(実際に伺った体験談はこの2〜3倍)。想像以上に「視える」日々を送るなか、そのお眼鏡にかなった呪物とはいったいどんなものなのだろう。
後半では棚を埋め尽くす呪物のなかから、厳選した5点を紹介。
webムー編集部
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