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魔女にして魔術師・ヘイズ中村さんによる開運魔術の第3回。今回は、シンボルを使った魔術儀式の手順と、魔術を成功させるために重要なポイントをお伝えします。月刊ムー2022年10月号の付録とあわせて実践してください。
すでに述べたように、戦闘民族であったヴァイキングたちの魔術は、シンプルですぐに効力を発揮するものが多い。ただし、各地でさまざまに発展してきたことや、カッバーラ魔術のように統合と体系化が行われていないことなどから、現代的な感覚での「魔術」というよりは「呪術」に近く、決まった術式は見当たらない。 とはいえ、重要な共通要素はあるので、まずはそれを挙げ、実践に適した順番で説明していこう。月刊ムー2022年10月号の付録のシールを貼るだけでもある程度の効果は得られるが、さらなる効果を求めるなら、ぜひ実践してほしい。
オーディンは、毎日の礼拝などは求めないが、供物は常に要求する。伝統的には、オーディンへの正当な捧げ物は、彼自身がルーン文字を獲得したときの逸話に従って、動物の首に縄をかけて槍で突き殺したもの、とされてきた。かなり大がかりな供物だが、それだけオーディンへの捧げ物は効力があったという証拠ともいえる。しかし、現代ではとうてい実践不可能だ。 現実的な妥協案としては、付録のシールを使おうと思った時点から、果物や生花などを該当シールのそばにお供えしておくとよいだろう。シールを小物に貼付して使いはじめたら、その小物を使わないときだけ、供物のそばに置いておけばよい。 供物は、一輪の花でもバナナ一本でもかまわないが、必ず生ものを。つまり、そこに含まれる新鮮なエネルギーを捧げるわけだ。色が悪くなったり、しなびたりしたら取り替えること。 仕事が忙しくて、冷蔵庫は空っぽだし、買い物に行く余裕もない、ということもあるだろう。そんな場合は詩歌の神であったオーディンが喜ぶもの――詩や歌――を供物がわりにすればよい。詩歌の種類は問わないが、人間の声がはっきりと聞き取れるものにすること。もちろん、あなた自身が歌ったり、詩を朗読したりすれば、さらにパワーアップできる。
護符の魔力を目覚めさせるためには、血が必要だ。 ヴァイキングの魔術で最もよく使われるのは、祈りでもインセンスでもなく「血」、それも人間の血である。血液には生き物のエネルギーが凝縮されていると考えられ、さまざまな呪術に使われてきた。かつてヴァイキングたちは、オーディンに捧げるシンボルに敵の生き血を注ぎ、加護を願う言葉を叫びながら、戦場に戻っていったという。 時代が下り、室内で魔術が行われるようになっても「血」のパワーが手放されることはなかった。多くの北欧魔術の実践者は、自らの血を護符に垂らすことで、自分と護符の間に強力な絆をつくるとともに、オーディンへの供物としてきた。 だが、これもまた現代ではおすすめできない。血の魔術などといえば響きはカッコいいかもしれないが、北欧よりはるかに高温多湿な日本の気候では、医療器具レベルで清潔な刃物を使わないかぎり、切り傷が化膿しかねない。かといって、病院に通いながら魔術を行うなど、効果も何もあったものではない。 血の魔術が示唆することは、術者の肉体と護符の強い結びつきだ。現代では、このような絆は、生命の維持に必須の「呼吸」でつくるのが一般的だ。 使いたいシールを手に取り、何度か深呼吸して気持ちを落ちつけてから、深く吸った息をシールに吹きかける。これを北欧神話の世界の数である「9」回くり返す。これであなたと護符の間には十分に強い絆ができる。時間と余裕があるときに、この過程をくり返すとよい。
言葉や詩を司るオーディンに祈願するのであれば、ただ心に思うだけではなく、以下に示す例のように、はっきりとした言葉で願いを唱える必要がある。見栄を張ることなく、素直な祈願を9回、くり返して唱えるのが基本だ。 【例1】オーディンよ、われを傷つける○田△夫からわれを守り、勝利をもたらしたまえ。 【例2】オーディンよ、わが労働に正当な報酬を与えたまえ。 こうした祈願の言葉を、シールに触れた状態でくり返そう。シールを使う前はもちろん、息を吹きかけ直すたびに唱えるのがおすすめだ。 なお、願いはボソボソとつぶやくのではなく、人生という戦場に駆けだしていく戦士の雄叫び、といったつもりでしっかり&はっきりと発語すること。
たいていの魔術護符は隠して使うようにつくられているが、オーディンの護符は違う。相手を威嚇し、人生への自分の決意を示すという意味で、しっかりと人の目に入るところに貼りつけて使おう。
「はあ?」と思うかもしれないが、オーディンはごく普通の老人の姿で世界を放浪し、行く先先で人々を試し、親切にした者には幸運を与える神としても知られている。昔からの道徳譚にすぎないかもしれないが、人に優しくして悪いことなどないのだから、実践しよう。 以上5点を押さえておけば、あとは難しいことはない。術を開始する日時に制限はないし、効果が得られ、それが必要な間は好きなだけ使いつづけてもかまわない。 ほかの願望をかなえたくなったら、使っていたシールからいったんパワーを抜いて保管し、新たなシールを使用すればよい。 ひとつ大切なことがある。願望成就を願う弱い人間としてではなく、オーディンお気に入りの戦士として戦場に赴くのだ、という気概をもって毎日を過ごしてほしい。
ヘイズ中村
魔女・魔術師・占い師・翻訳家。中学生頃から本格的に西洋密儀思想の研究を開始。その後、複数の欧米魔術団体に参入し、学習と修行の道に入る。現在はタロットを使った魔術的技法に関する本を執筆しながら、講座などでの身近な人との触れあいを大切に活動中。
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