封印されたフィラデルフィア計画の真相とニコラ・テスラ/並木伸一郎・フォーティアンFILE
世界に存在する謎に並木伸一郎が鋭く切り込む。今回は、多数の犠牲者を出した恐るべき実験「フィラデルフィア計画」の真相に迫る。
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時間に翻弄され、最終的に”現在”に閉じ込められてしまった天涯孤独のタイムトラベラーがいる。そして彼によれば、あと2年以内にこの世界はほぼ壊滅するというのだ――。
1943年、あの悪名高い「フィラデルフィア実験」に参加したことで時間に翻弄されたタイムトラベラーがいる。彼は最初に2137年に転送され、2025年に起きた全面核戦争後の世界を見てきたというのだ。
1927年にアメリカで生まれたアル・ビエレクは知育の発達が早く周囲から「奇妙な子供」として知られており、最初の記憶は生後9か月の時であったという。家族のクリスマスパーティーが行われた際、彼は周囲の大人たちの会話を完全に理解できていたのだ。
ビエレクはわずか16歳のとき、ナチスとの戦いの一助となるために米海軍に入隊した(彼の知能に興味を抱いた軍に半ば強引に連れ去られたという説もあるようだ)。ちなみにビエレクの兄はすでに海軍に入隊していた。
そして、入隊してすぐのビエレクは兄と共に「フィラデルフィア実験」に駆り出されたのであった。フィラデルフィア実験とは第二次世界大戦中に米ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われたとされる米海軍による艦船の隠蔽技術実験であり、アインシュタインの統一場の理論を応用して艦船を不可視化することを目論む計画であったとされる。
しかし、ビエレクはフィラデルフィア実験の真の目的について、実際にはタイムトラベルだったと主張しており、実際にこの実験に参加した当人がタイムトラベルさせられたというのである。
さらにビエレクによれば、この時代からアメリカは地球外由来の先進技術をいくつか獲得しており、その中にはUFOの推進装置や優れた洗脳技術なども含まれているという。
秘密裏に行われたフィラデルフィア実験だが、開始から失敗の連続であったようだ。
最初の実験では艦艇は首尾よく姿を消したものの、乗組員の一部は原因不明の病気になった。2回目の実験では、艦艇が短い距離をテレポーテーションで移動したのだが、多くの乗組員が壁や甲板にめり込んだり、体の一部が溶けるなどの異様な状態で死亡し、助かった乗組員もほとんどが精神に異常をきたしていたのだった。
そして1943年8月13日、ビエレクと兄のダンカンはフィラデルフィア実験が行われる海軍艦艇「USSエルドリッジ」に乗船した。
艦船に搭載された周囲の光を歪曲させる装置が起動すると、発生した奇妙な光に身の危険を感じたビエレクとダンカンは甲板から海に飛び込んだのだった。
1990年代に撮影した解説ビデオの中でビエレクはこの時を振り返っている。
「ダンカンと私がエルドリッジ号から海へと飛び降りたとき、何が起こっているのか、どこへ行くのか、あるいはどうなるのかもわかりませんでした。私たちは湾内の海に落ちて泳いで岸に上がることを期待していました。しかし海はありませんでした。決して海面に当たることはありませんでした。かなり長い間、落ち続けました」(ビエレク)
目覚めるとそこは病院のベッドであった。病院のスタッフから重度の放射線熱傷を負ったのだと説明され、もう少し入院しなければならないと告げられた。
しばらくは大人しく入院しているしかないビエレクであったが、よく見ると部屋には壁掛けのカラーテレビがあったのだった。実に鮮明に映る薄型のカラーテレビがこの世に存在することをビエレクはこの時初めて知った。
入院中であり時間もあったため、手すきの病院スタッフをつかまえていろいろな話を聞いてみたビエレクは、なんと今いるこの世界が2137年であることがわかり衝撃を受けた。
何人ものスタッフに聞いた話を総合してみると、1943年とはまるで別の世界であることが判明して愕然とすることになる。
第三次世界大戦で全面核戦争となり多くの人命が失われ、加えて激甚自然災害で無数の人々が犠牲になり、世界の国々のほとんどが2025年までに消滅していたのである。世界の人口はわずか3億人まで激減していたのだ。
2173年の時点の世界地図を見ると、アメリカではカリフォルニアの大部分はサンアンドレアス断層線まで水没しており、ロサンゼルスはほとんど水没していた。
さらにシカゴ、ニューオーリンズ、サンディエゴなどアメリカの多くの主要都市が消滅する一方、海面上昇により五大湖は1つの巨大な水域となり、ミシシッピ川は幅を広げ、最も狭いところでも川幅は50キロにも及んでいた。
欧州ではイングランドの大部分が消滅したが、スコットランド高地とアイルランドの一部が残った。ヨーロッパの大部分とスイスの一部も水没していた。
そしてタイムトラベルはこれだけで終わらなかった。ビエレクがある日、病院の敷地内を歩いていると、さらに未来の2750年へと転送されたのだ。
2750年では「反重力技術」のおかげで海面の上空に浮かぶ都市が存在しており、その中には海抜4キロメートル以上の高さで浮いている都市もあったという。
また各都市は、テレパシーで機能する合成知能コンピューターシステムと呼ばれるAIによって運営されていたようだ。
さらに、人間が特定の領域(ゾーン)から離れることは違法であり、管理するスーパーコンピュータは違反者をその場で“終了”させる能力を持っている。世界がこのようなAIによる超管理社会になったのは西暦2600年頃からであるという。
しかもビエレクは、過去の時代に送り返されるまで、そこに2年間滞在したと語っている。
2750年のAI超管理社会で過ごしたビエレクは、要望が受け入れられて過去へと送られたのだが、それは2173年でもなければ1943年でもなく、なんと1983年8月12日午前2時過ぎであった。
この時代にあっても軍に関係した活動を行っていたビエレクであったが、1990年にこれまで体験してきたことをカメラに向かって説明するビデオを撮影して公開したところ、当局からは解雇されたという。
ビエレクは現在、自分の本名はエドワード・キャメロンであり、100歳近いと主張しているが、タイムトラベルの実験によって現在のタイムラインに閉じ込められているため、政府は彼を特に処分せず放置しているということだ。
今の時代に閉じ込められてしまったというビエレクだが、今後は何か新たな動きを見せるのだろうか。とはいえ2025年までにこの世界は大破局を迎えるとすればもはや為す術はないのかもしれないが……。
【参考】
https://www.thesun.co.uk/news/20652984/time-traveller-2137-nuclear-war-britain-wiped-out/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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