「今度は落とさないでね」の転生怪奇譚をさかのぼると…/朝里樹の都市伝説タイムトリップ
都市伝説には元ネタがあった。お母さん。なあに? 振り返るとそこには……。
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世界中に存在するテーブルマウンテン。われわれはこれらを山と認識しているが、本当は巨大な樹木の切り株だとしたら? そして、それが大がかりな環境破壊の痕跡だとしたら? ただの冗談ではない。 それを最もよく表しているのが、アメリカにあるデビルズタワーなのだ!
アメリカのワイオミング州にデビルズタワーと呼ばれる奇岩がある。スティーブン・スピルバーグの代表作『未知との遭遇』の舞台になった場所で、この映画を通じて初めてその存在を知ったという読者も多いだろう。そういう筆者も、その中のひとりである。
デビルスタワーの独特のフォルムは、一度見たら忘れることがないだろう。UFOとのコンタクト場所として、強烈に脳裏に焼きついている。
しかし、いったいどのようにしてこの奇岩が形成されたのか? 定説では、地下の溶岩が冷えて固まり、浸食により形成されたという。
デビルスタワーで特徴的なのが、縦に引っかいたような割れ目で、柱状節理(ちゅうじょうせつり)と呼ばれている。柱状節理の多くは、基本的に断面が六角形の柱状の石で、この柱状の石の寄せ集まりが、デビルスタワーであり、上から見るといわゆるハニカム構造をしている。この構造は、地下で溶岩が冷え固まるときに、六角柱状に割れ目が入り固まったためだという。
世界中には、多くの場所で柱状節理が見られる。これらはすべて、溶岩が冷え固まった跡だとされているが、感覚的にはそうは思えない。
デビルスタワーの写真をよく見てほしい。これが溶岩に見えるだろうか。溶岩といえば、黒くてごつごつしたイメージではないだろうか? われわれがよく目にする溶岩とは、まったくテクスチャーが違うのだ。
だからといって、凡人には溶岩の冷却以外の仮説も思いつかないのが事実だ。ところが、このデビルスタワーの正体に関する驚愕の仮説が存在した。なんと、デビルスタワーは、溶岩ではなく、生物の化石だというのである。
現在、ネットメディア「Eden Media」を中心に広がりつつある「この地球に山や森は存在しない」と称する仮説である。YouTubeの動画の説明によれば、ある無名のロシア人研究家によるドキュメンタリーだとされている。それによれば、デビルスタワーは、古代に大繁栄を遂げた巨大な木の切り株だというのだ。
確かに切り株だといわれれば、切り株に見えてしまう。大きさゆえに、だれも気づくことはなかったが、サイズを無視すれば、まさに切り株そのものである。
もちろん、「Eden Media」は外観が似ているという理由だけで切り株だと主張しているのではない。それなりに証拠も挙げている。そのひとつが柱状節理の形そのものである。その形状は、木材の導管(どうかん)そのものの形だという。
導管とは、被子(ひし)植物の木部に見られる主要な器官のひとつで、細長い細胞が上下に連なり、仕切りが消失し管状になったものだ。水分とともに養分を吸い上げる機能を持っている。切断面の形状は一定ではないが、円か多角形で、中でも六角形は最も一般的に見られるパターンである。
つまり、柱状節理は冷え固まるときに入ったヒビではなく、もともと柱状の形のものが化石化しただけだという。感覚的には、この仮説のほうが溶岩よりはるかにしっくりくる。
そしてもうひとつの重要な証拠が、裾野の広がりだという。デビルスタワーは、まさに木の切り株よろしく、裾野がスカート状に広がっているのである。
このカーブを描く広がりは、冷え固まるときにできるひび割れでは説明ができない。もともと、そのような形をしていたから、裾野がカーブを描き広がっているのだ。このような理由から、「Eden Media」は、デビルスタワーは巨大な木の切り株だとする仮説を主張している。
もちろん、巨大な木の切り株はデビルスタワーだけではない。世界中に点在する「メサ」と呼ばれるテーブルマウンテンは、実は、どれも巨大な木の切り株だという。
いやテーブルマウンテンだけではなく、身近に見られる山々も、その多くは、切り株が浸食されたものだという。過去の地球において、世界中に想像を絶する規模の巨樹の大森林が広がっていたというわけだ。
一見、常識を疑う荒唐無稽な説のように聞こえるが、ほんの少し視点を変えるだけで、にわかに現実味を帯びてくる。さらには、現在の世界を非常にうまく説明できるのだ。
では、デビルスタワーが切り株だったとして、どんな木だったのか? 想像を絶する大きさの木であることだけは、間違いない。木の高さは、切り株の直径に20をかけて計算できるという。この法則により試算すると、デビルスタワーが木だった場合、高さは直径300メートルの20倍で、6000メートルにも達するそうだ。
キロを超える高さの木々が生い茂っていたとすると、古代において、地球の生態系は現在よりはるかに豊かで、大繁栄を誇っていたことになる。実際にその証拠は残されている。石炭紀と呼ばれる地質年代の存在である。
石炭紀とは、古生代を区切る6つの地質時代区分の5番目で、文字通り、世界で産出する石炭のほとんどが形成された時期である。この時代、地球全体が温暖湿潤で高酸素濃度のもと、リンボクなど、シダ類の巨木が生い茂っていたとされる。
この時代の特徴として、巨大な節足動物の存在が挙げられるだろう。節足動物とは、昆虫やクモ類、甲殻類など、外骨格を持つ生物群である。現在では比較的小さな生き物であるが、石炭紀の節足動物は桁違いな大きさだった。
たとえば、現在のムカデやヤスデの仲間であるアースロプレウラは、最大で3メートルほど、ウミサソリが最大2.5メートル、トンボの仲間メガネウラが翼開長70センチと、現在からは想像もできない大きさだった。
虫がこれだけ大きいのだから、木も巨大だったことは容易に想像できる。この時代、30メートル級のリンボクの森が存在したことは確認されているが、実際は、木として認識されていないだけで、地上は数キロの高さの巨木に覆いつくされていた可能性もある。
このような世界は、なかなか想像しづらいかもしれないが、『風の谷のナウシカ』や『アバター』の世界が、まさにこの状況である。
石炭層は地域的な隔たりが少なく、すべての大陸にまんべんなく分布している。この時代の植物が、石炭層として世界中に残されているのはなぜか?
通説では、まだ木を分解できる菌類が繁栄していなかったため、木が分解されずに石炭化したとされる。しかし、こんなことを考えずとも、単にとんでもない規模の巨樹の森に覆われていたからだと考えれば、全世界から石炭が産出する理由は明らかだろう。
古代に、巨木や巨大生物が存在したのはなぜか? アカデミズムの指摘する通り、酸素濃度の問題は大きかったと思われる。しかし、それだけでは説明は難しい。ほかにも理由があるはずだ。
その理由とは、ずばり重力である。当時の地球の重力は現在と比べ、はるかに小さかったのだ。
古生代末の生物大絶滅の後、再び、恐竜類という超巨大生物が現れたことを考えると、巨大化の理由が酸素濃度だけではないことが明確である。なぜなら、恐竜出現時の酸素濃度は非常に低かったからだ。重力が影響を与えていたことは、確実である。
さて、時間軸を元に戻してみよう。多くの人は、現在の地球を生物が大繁栄した豊かな惑星と捉えていることだろう。しかし、それは、太陽系のほかの惑星と比較してのことである。
ここで過去の地球と比較してみよう。高さ数キロの巨樹が地球全体を覆っていた時代と比べると、現在の巨木はたかが知れている。ジャイアントセコイアと呼ばれる種類の木が唯一、100メートルを超える木である。
ところが、実際には存在しないにもかかわらず、世界中には巨樹伝説が存在する。最も有名なのは、北欧神話であろう。北欧神話では、世界は9つに分かれ、ユグドラシルと呼ばれる巨樹に支えられている。
巨樹の最上位には、アスガルドと呼ばれるアース神族の世界があり、われわれ人間は、ミッドガルドに住むとされる。日本語で世界樹と呼ばれる世界観であるが、世界中の伝説に出てくる。ザクセン人もイルミンスルと呼ばれる世界樹を、崇拝していたことが知られている。
中国神話でも扶桑樹(ふそうじゅ)と呼ばれる巨木が、東方の果てにあるとされている。扶桑樹のある東方の果てとは日本のことだとも考えられ、扶桑国が日本の異称ともなっている。
もちろん日本自体にも、巨樹伝説は存在する。『日本書紀』や『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』、『今昔物語』などに、高さが1キロをも超す巨樹に関する記述が見られる。
世界中に、巨樹に関する伝説が見られるのはなぜだろうか? 実際に過去に存在したと考えれば、辻褄が合う。だが、巨樹の森は失われてしまった。周りを見渡せば、頂上まですぐ登れてしまえそうな木々ばかりなのだ。
しかし、木々が生い茂っていれば、まだいいほうだ。大陸内陸部の多くは不毛の砂漠地帯である。グーグル・アースで、地球を俯瞰(ふかん)してみればすぐわかるが、茶色い部分はすべて乾燥地帯なのだ。
乾燥地帯が大陸のかなりの部分を占めているのは一目瞭然だ。オーストラリア大陸のように、そのほぼすべてが乾燥地帯という大陸も存在する。地球は死に瀕(ひん)した惑星といっても過言ではないかもしれない。
なぜ地球上の生態系は、貧弱になってしまったのか? それは、人為的な破壊によるという。順を追って見ていくことにしよう。
デビルスタワーの上部が平らなのはなぜか? 世界中にデビルスタワーと同じように上部が平らなテーブルマウンテンが存在するのはなぜか? それは、人為的に巨樹が切り倒されたからにほかならない。そう! テーブルマウンテンはまさに、切り倒された切り株なのである。
にわかには信じられないだろうが、現在の地球上に見られる光景は、いずれも大規模な資源採掘で、破壊され尽くした跡だという。
「この地球に山や森は存在しない」とは、こういう意味だったのだ。
地球上に自然の山はほとんど存在しないし、現在の森などは、過去の大森林の下生えに過ぎない。いや、下生えどころか、コケ程度かもしれない。つまり、本当の意味での森林は存在しないという理論である。
雄大な景観を誇るアメリカの国立公園グランドキャニオンも、自然の産物どころか、大規模な露天掘りの跡なのだという。規模が大きすぎて、簡単には気づかないが、その形態は、まさに環境破壊の典型らしい。
グランドキャニオンは典型的だが、世界には、巨大マシーンにより露天掘りされた痕跡が、至るところに残されている。それに、デビルスタワーに見られるような柱状節理も世界中に見られる。
有名なところでは、イギリスのジャイアンツコーズウェイ、日本でも高千穂峡などに見られる。これらの柱状節理は、溶岩が固まったものではなく、巨樹の導管化石である。
つまり、過去に栄えた巨樹の森は、何者かに切り倒され、至るところに荒涼とした大地が広がる現在の地球ができあがった。重力が増大したこともあり、一度失われた生態系が元に戻ることはなかった。
さて、ここで問題になるのは、いったいだれが資源採掘を行ったのかということだろう。もちろん人類に資源採掘の長い歴史があることは間違いないが、果たして、古代人に地球規模の採掘を行うことが可能だったのだろうか?
残念ながら、正統とされる人類の歴史上では、世界規模の採掘の様子などは記録されていない。だが、世界最古とされるシュメール文明の粘土板を読み解き、おもしろい仮説を主張していた人物がいる。ジャーナリストであり古代史研究家の故ゼカリア・シッチン氏である。
古代シュメール語を含む言語学に精通したシッチンは、古代シュメール文明の粘土板の解読を進めるうちに驚愕の事実に気づいたのだ。古代シュメール人は、太陽系の惑星と地球の位置関係を正確に知っていたのだ。そして、シュメールの粘土板には、未知の惑星が描かれていた。
シュメール人は、なぜ太陽系の知識を有していたのか? シッチンによると、シュメール人に知識を与えたのは、天空からやってきた神々アヌンナキであるという。さらに、アヌンナキが地球にやってきた目的は、なんと資源の採掘のためだという。しかも、彼らの最も欲したものは金である。
シッチンによると、アヌンナキとは太陽系を約3600年という長周期軌道で公転する未発見の惑星ニビルからやってきた、高度な文明を持つ異星人だという。彼らは、戦争などでニビルの大気を汚染させ、大気の修復の触媒として使う金が大量に必要だったのだ。
アヌンナキたちは、約45万年前に地球に降り立ったらしい。最初に入植した場所は、現在のアラビア半島付近で、エンキと呼ばれる指導者のもと、金の採掘を開始したという。
シッチンの仮説は、シュメールの粘土板に書かれたことがすべてで、実際に採掘などを行った証拠はないと思われていた。ところが、ほんの少し、視点を変えて見回してみると、地球には採掘された痕跡が至るところにあったのだ。こう考えてみると、アヌンナキ仮説と「Eden Media」の仮説が見事に融合することがわかるだろう。
ただし、賢明な読者の中には、年代の矛盾に気づいた人がいるかもしれない。石炭紀は何億年も前のことなのに、アヌンナキがやってきたのは、わずか45万年前ではないかと! しかし、地質年代というものは、科学者が仮定をもとに主張しているだけであって、実は何の根拠もない。本当の年代は、数十万年前かもしれないのだ。
シッチンによると、アヌンナキたちによる金の採掘には大量の労働力が必要だった。初めは、ニビルからやってきた労働者階級のアヌンナキ自らが採掘を行っていた。だが、やがて地球の生物を使って労働力とすることを思いつく。さまざまな伝説や証拠が示すところにより、アヌンナキたちが奴隷として使用した最初の人類は巨人だったと思われる。聖書にはネフィリムと呼ばれる巨人が出てくる。
シッチン自身は、アヌンナキが聖書に出てくるネフィリムそのものだと考えていたが、筆者はむしろ、アヌンナキたちが生みだした奴隷がネフィリムだと考えている。
いずれにせよ、ネフィリムを創造したことで、労働力の問題は解決した。アヌンナキたちは、ネフィリムを酷使し、金の採掘を世界中で推し進めた。その結果、金は採掘され尽くされ、最も高価で貴重な金属となってしまった。
そして、ニビルの大気を修復するという目的を達成したアヌンナキたちは、不要になった人類を置き去りにし、故郷へと帰還した。地球はアヌンナキたちにより破壊され尽くされ、資源は搾り取られた。
だが、アヌンナキたちが作りだした人類ネフィリムは、巨人だったはずだ。なぜ巨人もいなくなってしまったのだろうか? ネフィリムの中にも、アヌンナキの命令を伝え労働者階級を指導する支配者階級がいたはずだ。
彼ら支配者階級のネフィリムは、不毛となってしまった地上を捨て、地下へと生活圏を移したのだ。地球の地下には、アヌンナキの高い科学技術に支えられた生活圏が存在し、今でもネフィリムが生活している。
では、地上に残されたネフィリムはどうなったか。地上は、環境を破壊され尽くされ、植物さえまばらになってしまった。しかも、巨樹が繁栄したころと比べ、重力が増えてしまった。
そんな場所で繁栄するには、環境に合わせて進化するしかない。地上に残されたネフィリムは、淘汰圧によって矮小化し、現代人へと進化したのだ。
世界中で、異星人や巨人の目撃は絶えないのに、彼らが人類の前に公然と現れないのは、なぜなのか?
それは、人類が打ち捨てられた廃坑でしぶとく生き抜いている害虫に過ぎないからなのかもしれない。
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