「におい」で魔除け、開運、願望成就…無意識から自分を変えるアロママジックの実践法

文=小栗素子

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    目には見えないが、強烈な存在感を放つ〝におい〟は、気づかないうちに人間の感情や行動を変化させる効果がある。英国IFA認定アロマセラピストであり、西洋占星術研究家でもある登石麻恭子さんに、においの魔術的効果の実践テクニックをうかがった。

    においの効果で「魔除け」は基本

    ーー前回はにおいと神、においと魔術などの関係について伺いました。今回は実践的な、目的別での「においの使い方」を教えてください

    登石 魔除け・厄除けからいきましょうか。アロマテラピーの基本となった使い方です。古い時代、たとえば傷ができると、傷から悪魔や悪霊が入ってくるとされていました。当時は、一見治ったように見えても、腐って腕を落とさなきゃいけない羽目になるのは、悪いものが入ってしまったからと考えたのです。そこで、悪いものを追い出すために、においが強く、抗菌作用や収れん作用の高いハーブが使われました。
     易などの筮竹に使われるヤロウ(セイヨウノコギリソウ)は、傷を癒し、悪魔を追い払うハーブ。フェンネル、ブラックペッパー、クローブも魔除けです。オレンジポマンダー(オレンジにクローブを刺しシナモンをまぶした飾り)は、風邪除けでもありました。病気や傷の治癒効果のあるにおいが、病気除けから魔除けになったケースが多いですね。

    ヤロウ(セイヨウノコギリソウ)は古くから薬草として用いられてきた。

    ーー魔除けや浄化といえばセージ、というイメージもあります。

    登石 魔術儀式でよく使われるセージは、ネイティブインディアンの文化としてアメリカから広まり、魔除けのハーブとして有名になりました。セージも抗菌作用が高いし、浄化作用も高いです。
     浄化といえば、アロマテラピーでよく使われるのがジュニパー。腎臓を刺激して排尿を促す働きがあります。古代メソポタミアでも使われていました。ラベンダーも浄化作用があります。ラベンダーの語源は、ラテン語のラヴァレ(洗う)。空気をキレイにするから、心も洗われてキレイになるとなりました。
     レモン、ライム、グレープフルーツなど、柑橘類で甘味の少ないものは、スッキリしたにおいがリフレッシュと浄化につながります。実際に、レモンに入っているリモネンという成分は、空気中にあるカビに結びついて分解する働きがあります。

    ーー実際に抗菌などの効果があって、アロマテラピーの用法に取り入れられていったわけですね。

    登石 強いにおいや臭いにおいで悪霊を追い払うという方法もあります。メソポタミアでは、動物の糞尿とかを使ってやっていたとか。日本でいうと、節分のときにやる鰯の頭みたいなものですね。何か臭いものを玄関先に置くと、悪いものが入ってこないとされます。

    浄化でおなじみのセージ。

    バラの香りは素敵な出会いのサイン

    ーー対人の場面で「におい」も大きく印象を変えますが、恋愛や出会いに有効なにおいも知りたいです!

    登石 恋愛運を上げるのは、バラ、ジャスミン、カルダモン、サンダルウッド。恋愛といえばバラ! アロマテラピー界隈でも特別待遇ですね。バラのにおいがどこかから香ってきたら、恋愛でも仕事でもよい出会いがある暗示といいます。人とつながるとか、心が通じ合うとかいうサインなのかもしれません。何か超越的な存在が近くにいる可能性もあります。
     ジャスミンは、東南アジアや南インドで愛の神さまと関連しているにおいとされます。アロマテラピーでも性欲を回復させるにおいとされています。カルダモンはスパイスの女王。甘い香りで若干ユーフォニック系、幸せのハーブともいわれています。この多幸感が人を惹きつけるのかもしれません。
     恋愛運をアップさせるにおいは、女性ホルモンを活性化させるものが多いです。そのにおいに内面からきれいになるという働きがあって、においをかぐことで自分の心と体が「キレイになる」にセットされます。そして、キレイになるための行動様式を取って、恋愛運も上がるのです。

    バラ=恋愛・出会いは鉄板として、カルダモン=多幸感も取り入れたい。

    金運、仕事運、ボケ防止に効く「におい」

    ーー外部要因の大きそうな金運なんかも上げることもできますか?

    登石 金運をアップさせるにおいは、地に足をつけた上で積極的に行動をうながす、つまり手堅く稼ぐように「土」に働きかけるものですね。インドの布を買うとにおうパチュリーは土っぽいです。あと、欲はお金につながるので、バジルやシナモンなど食欲増進につながるにおいが金運につながっていきます。
     仕事運なら前向きさが必要となるので、オレンジやベルガモット。シナモンと一緒に使うと、ビジネス運が上がりそうです。よいと思われることをちょっとずつ重ねていくと、効果も高く出ると思います。
     また、ボケ防止になるにおい、というのもあります。朝はローズマリーとレモン。夜はラベンダーとオレンジ。それぞれをその時間帯にかぐと、昼と夜の自立神経の交換を促すのだそうです。大学の研究で「ボケ防止によい」と発表されて、そのときはアロマショップで欠品が出るくらい、ものすごく売れたんですよ。

    柑橘+シナモンでビジネス運アップ!

    占いと組み合わせる「におい」魔術

    ーー前回で、医療占星術の歴史も伺いましたが、たとえば出生時の太陽星座ごとにおすすめのにおい、なんていうのもあるのでしょうか。

    登石 占星術と香りは結び付けられていますので、各星座別に、運気を上げるにおいを紹介しますね。マイアロマとして、日常的に使ってみてください。

    牡羊座 ローズマリー
    牡牛座 ローズ
    双子座 ペパーミント
    蟹座 カモミール
    獅子座 オレンジ
    乙女座 ラベンダー
    天秤座 ゼラニウム
    蠍座 サンダルウッド
    射手座 グレープフルーツ
    山羊座 シダーウッド
    水瓶座 ユーカリ
    魚座 ジャスミン

    ――詳しくは先生の講座などで…ということで。「においの効果」をもっと魔術的に使ってみたい場合、自宅でできる方法はありますか?

    登石 もっと魔術的に活用するなら、惑星の日&惑星の時間(プラネタリータイム)を使うことができます。占星魔術の応用ですね。惑星にはそれぞれ「支配する日時」があります。惑星の時間を調べるのは大変ですが、日の出前の1時間は必ずその曜日と合致するんです。
     具体的には、自分の目的と合致している惑星のタイミング(その曜日の日の出前1時間)に、そのにおいをかぐといいでしょう。また、目的に合ったアロマのスプレーをその曜日に作ると効果が高まります。

    日曜日は太陽。仕事とか生き方に関連するにおいとか。あとは厄除けに関連すること。
    月曜日は月。不安解消とか健康に関すること。
    火曜日は火星。勝負に関すること。コンペ勝つ、行動力を高める。
    水曜日は水星。仕事のスキルアップとか成績をアップ。
    木曜日は木星。これは開運全般にパワーあり。
    金曜は金星。恋愛と金運を上げる。
    土曜日は土星。目標や仕事を形にしたい。完成祈願、成就祈願、苦手克服に。

     アロマや花などを枕元に置いて、寝る前にちょっとよい香りを嗅ぐだけでも、肩の力が抜けて心身が調います。睡眠中の無意識に働きかけるので、効果も高いです。お風呂に入れるのもおすすめです。リラックスしているときなので、においの魔術的効果入りやすいです。
     

    日の出前の「におい」で効果アップ!

    「におい」は超越世界からのメッセージ

    ーー寝ている間、リラックスしているとき……無意識に近い状態でも効果を高めるんですね。

    登石 そうです。無意識にかいでも、においの効果をわかっていなくても、内面を変える作用があります。けれども、においの意味を知っていれば「こうなりたい」「これがしたい」と意識のセッティングができます。その方が自分のエネルギーの持って行き方が明確になりますよ。
     恋愛運アップのバラのにおいを使うにしても、モテたいからなのか、本当に愛し合える人と出会いたいのか、どういう目的設定が大事です。どっちの目的に持って行くかをはっきりしないと、自分の内面も変わってしまいます。

    ーー偶然のにおいを意識のセッティングに使うこともできますね。もしくは、何かからのメッセージということも……

    登石 何かにおいがしたら、それはメッセージ、という考えがアロマ界隈で密かに伝わっています。この場ではそのにおいがするわけがないのに、たとえば花のにおいがしたら、神さまのような目に見えない存在が降りてきている、とか。
     キリスト教圏の話ですけど、ある宗派の修道士が、過酷な修行を重ねたのち、次第にいいにおいがしてきたという逸話があります。それは神さまが近くにやってきているからとされていたそうです。要するに、そろそろお迎えが……ってことだったりもしますけど、上位存在とつながったときに、いいにおいがするという考え方です。

    高位の聖職者は、神に近い、いいにおいがしてくる……?

    登石 逆に、悪いにおいがしたとき。古代から中世まで「悪い空気が病気を運んできて、それを吸い込むと、体液のバランスが変わって病気になる」というミアズマ(瘴気)説が提唱されました。この悪い空気に何で対抗したかというと、いいにおいのものです。
     ペストが流行した時は「星から悪い空気が落ちてきて病気をはびこらせた」とされたとか。そのため、ペストマスクの先には瘴気から身を守るフィルターとして香りの強いハーブを詰めていたといいます。ほかにも、セージやタイムといったハーブを街中にまいたりしたそうです。実際に抗菌効果もあるので、結果的に実用的でもあったわけですね。
     18~19世紀あたりで病原菌の存在が確立しましたが、いい香りがいいもの、悪いにおいが悪い影響をもたらす、という印象は私たちにしみこんでいるのではないでしょうか。

    ペストマスクはハーブを詰めて瘴気を防いだという。

    日常的にアロマを使って無意識から自分を変える

    ーーハーブなんかは、園芸店とかで買えばいいのでしょうか? 

    登石 園芸店でも売っていますし、ハーブショップなら乾燥ハーブや精製されたアロマオイルも売っています。食材になっているハーブなら、スーパーでも手軽に買えますよ。サシェというのですが、布製の小さな袋にハーブを入れてヒモで縛って、身に付けたり、枕元に置いたり、タンスに入れたり。儀式のときに、サシェを焚いて薫香することもありますね。

    ーー最後に、においの魔術を実践するときの注意点を教えてください。

    登石 アロマは、精製され濃縮されたものなので、大量にかぐと気分が悪くなったり、直に触ると危ないものもあります。寝る前に1~2滴使ってにおわせるくらいなら大丈夫です。日本では、とにかく危なくないようにアロマテラピーは整えられてきていています。安全第一が基本となっていますので、アロマ環境協会などのガイドラインを参考にしながら、安心して使ってください。

    登石麻恭子(といし あきこ)
    西洋占星術研究家、英国IFA認定アロマセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、フラワーエッセンス研究家。ホリスティックなツールとしての西洋占星術と、アロマテラピー・ハーブ・フラワーエッセンスといった植物療法や パワーストーンなどを組み合わせたセラピー占星術を実践。都内にてセッション・講座を開催中。主な著書に「星のアロマセラピー」「月相セラピー」「星が導く花療法」「スピリチュアルアロマテラピー事典」「守護石パワーストーン組み合わせ&相性大事典」など

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