人間の脳細胞を組み込んだコンピュータが点字の解読に成功! 急速に進歩するバイオハイブリッド技術

文=webムー編集部

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    コンピュータの定義が変わるかもしれない。脳細胞を用いた驚異の技術は、人類の未来をどう変えていくのか――!?

    人間の脳細胞を用いたバイオハイブリッド・コンピュータ

     英ブリストル大学の研究チームが、人間の脳細胞で作られた「バイオハイブリッド・コンピュータ」に関する研究結果を発表した。この論文は10月15日に、学術誌『Frontiers in Artificial Intelligence』に掲載されている。

     データセンターなどにおける莫大な電力消費が世界的な課題となっている今、注目されているのが従来のコンピュータよりもエネルギー効率が高い「人間の脳」だ。研究チームは有機的な脳細胞をコンピューティングに活用すべく、人間の前脳を再現した「オルガノイド」と呼ばれる微小な脳組織を開発した。

     作製されたオルガノイドは約1万個のニューロンとそれを支持する細胞から構成される。これらを電極に接続することで研究者たちは電気信号を送り、神経活動のモニタリングを可能にしている。

    画像は「Frontiers in Artificial Intelligence」より引用

     チームはシステムが情報を実際に処理できるか検証するため、点字を用いたテストを実施。触覚センサーが物理的な点字を読み取り、そのデータを電気的パターンに変換してオルガノイドへ入力。生じた反応を大規模言語モデル(LLM)などを用いて分類した結果、特定の点字に対して明確な反応が確認されたのである。

    3つの脳を繋ぐことで精度が劇的向上

     この実験で興味深いのは、複数のオルガノイドを組み合わせることで劇的な性能向上が見られたことだ。単一のオルガノイドを用いた分類精度は61%だったが、3つ組み合わせることで83%にまで跳ね上がったという。

     なぜ複数を組み合わせることで精度が向上したのか。正確な理由は不明だが、研究者は「各オルガノイドはネットワーク接続や発達状態が異なるため、同じ入力でも似て非なる反応を示す。それらを組み合わせることで、単一からは得られない補完的な情報が得られる」と説明する。

    画像は「Frontiers in Artificial Intelligence」より引用

     さらに、入力データに意図的なノイズ(干渉)を加えた厳しい条件下でのテストも実施。このとき、触覚センサーが読み取っただけの「生のセンサーデータ」をそのままAIで分類するよりも、一度オルガノイドを経由して生じた「神経活動の反応データ」を分類した方が、より正確に点字を識別できたと報告されている。これは生物学的な神経ネットワークがノイズをうまく処理し、厳しい状況下でも有用な情報を維持、あるいは変換する能力を具えている可能性を示唆している。

     ただし今回の研究は情報が処理・解読できることを示した段階であり、オルガノイドが経験を通じて適応・学習したわけではない。今後の課題は、質感やエッジなど異なる種類の触覚へと対象を広げ、最終的には自らの行動に対するフィードバックを受け取って適応できるかを問う、「クローズドループ」のタスクに移行することだという。

     はたして経験を通じて自律的に学習していく“生きているコンピュータ”が誕生する日は来るのだろうか。今後の研究次第では、われわれの知る「コンピュータ」の定義そのものが根底から覆るかもしれない。

    【参考】
    https://thedebrief.org/scientists-built-a-computer-using-living-human-brain-cells-now-it-can-decode-braille/

    webムー編集部

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