古代巨人族の正体はデニソワ人だった!? 海底で発見された大きな大腿骨が示す真実、聖書の記述ともリンク

文=仲田しんじ

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    聖書に登場する巨人、ネフィリムは絶滅したデニソワ人だったのか――。台湾沖の海底から発見された2本の脚の骨から、デニソワ人が巨人族であったことが示唆されている。

    デニソワ人は巨人族だった!?

     旧人類であるデニソワ人は、およそ3〜5万年前に絶滅したと考えられているが、一部の地域では1万4500年前まで生き延びていた可能性を指摘する説もある。

     デニソワ人の化石からは、彼らが大きな脳、強力な顎、そして大きな歯をもっていたことが判明しているが、頭蓋骨より下の骨が不足していたため、科学者たちは彼らの身長や体格を確実に復元することができていなかった。

     しかし台湾の澎湖海峡(ほうこかいきょう)の海底にあった約4万5000年前のものとされるデニソワ人の2本の大腿骨の化石「澎湖2号」と「澎湖3号」によって、彼らがこれまで考えられていた以上に大きな体格をしていたことが浮き彫りになってきたのだ。

    ※画像は「bioRxiv」より

     東京大学、九州大学、台湾大学をはじめとする合同研究チームが今年8月、学術サイト「bioRxiv」で発表した研究によると、大腿骨の分析を通じてデニソワ人たちがそれ以前のホモ・エレクトスや東アジアの後期更新世のホモ・サピエンスより大きな体格であることがわかったという。

     研究チームの分析によると、1体は身長が190センチ、体重約90キロで、もう1体は身長が約180センチ、体重は約83キロと推定されるという。

     体格から判断すると、どちらも恐らく男性だったと思われるが、研究者たちは性別を特定することはできなかった。この2体のデニソワ人は、同時期に東アジアに生息していたホモ・サピエンスと比べてかなり大きかったはずであり、比較対象として、中国の天元で発見された約4万年前の現代人は身長約170センチ、体重約73キログラムだったと言及している。

     今回の研究で、研究者らは2つの大腿骨からタンパク質も抽出して分析。両方の骨にデニソワ人にのみ関連する、(ネアンデルタール人やほとんどすべての現代人には存在しない)コラーゲンタンパク質の一種が含まれていた。

    狩猟による肉食で大型化したのか?

    「ベルクマンの法則」によると、恒温動物(哺乳類や鳥類)の同じ種または近縁な種の間では、寒い地域(高緯度)に住むものほど体が大きく、暖かい地域(低緯度)に住むものほど体が小さくなるはずだが、デニソワ人の身体の大きさはこの法則に反するケースとなる可能性もある。

     澎湖にデニソワ人が生息していた時期、地球は寒冷期(最終氷期)であったが、研究チームは寒さだけでは彼らの大柄な体格を説明することはできないと考えている。

    ※デニソワ人の頭蓋骨 画像は「wikipedia」より

     大腿骨から得られた化学的証拠は、この人物が肉を多く摂取していたことを示唆しており、デニソワ人が山岳地帯に生息するヤギやヒツジから巨大な草食動物や肉食動物まで、幅広い動物を狩猟していたことが示されている。狩猟道具がそれほど洗練されていなくとも、大柄でパワフルな肉体で補っていた可能性があるのだ。

     また、現代人の大腿骨の後部には多くの筋肉がついた太く角張った隆起「粗線(そせん)」があるが、デニソワ人の大腿骨にも粗線があり、広範囲にわたる陸上移動を行っていたことが示唆されている。

     別の可能性としては、デニソワ人がホモ・サピエンスとの異種交配によってその身体的特徴を獲得したことも考えられるという。遺伝学的分析によれば、両グループは南アジアで交配していた可能性も示されている。ただし研究チームによれば、このような大きな体格がデニソワ人全体に広く見られたかどうかを判断するには、さらに多くの化石の分析が必要になるということだ。

    デニソワ人は聖書のネフィリムなのか

     もしもデニソワ人とホモ・サピエンスに接点があったならば、彼らこそが「巨人族」として伝わる存在だったのではないか? 独立研究者のジミー・コルセッティ氏は、デニソワ人こそが聖書に登場する謎の巨人「ネフィリム」のモチーフとなったと考えている。今回デニソワ人の化石が海底から発見されたという事実も、聖書の洪水と巨人の物語に通じるものがあるという。

    「発見された骨は海底で見つかったんです! まるで大洪水が実際に起こったかのようです」(コルセッティ氏)

     しかし、澎湖のケースに限って言えば、洪水によって沈んだのではなく、最終氷期の終了によって海水面が約120センチ上昇したことで沈んだと考えられている。

    ※聖書の巨人「ゴリアテ」 画像は「Wikipedia」より

     旧約聖書において、ネフィリムは2回言及されている。まず『創世記』6章4節(大洪水の記述の直前)に、そして『民数記』13章33節に再び登場する。次に旧約聖書外伝の『エノク書』では『見張りの書』の第6章から第15章にかけて、ネフィリムがより詳しく記述されている。

     それらの記述によると、監視者と呼ばれる堕天使たちが人間の妻を娶り、彼女たちは巨大で凶暴な巨人ネフィリムを産み、それが地球に混乱と流血をもたらしたという。そして、神が最終的に堕天使とネフィリムを断罪し、世界を清めるために大洪水を起こして一掃したとされる。

     聖書のネフィリムのモデルがデニソワ人だとしたら、このような物語にはベースとなる出来事があったのだろうか? そう考えると、考古学的にも新たな視点が得られるかもしれない。

    【参考】
    https://www.dailymail.com/sciencetech/article-16047557/extinct-human-remains-Denisovans-nephilim-bible.html
    https://www.zmescience.com/science/anthropology/denisovans-were-tall/

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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