国家がタブー視する「タラビッチのクレムナ予言」とは!? コロナやウクライナ情勢、そして絶望的未来を示す
豊かな自然に囲まれた、セルビアの小さな村。19世紀、その村にふたりの予言者が現れた。彼らは自国の未来を正確に語り、ついには国家から危険人物視される。その彼らが残した予言に、現代社会を的確にいい表したも
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オオカミ信仰の特集取材を通じて、謎の「呪物箱」を発見。その中身から察せられる背景を呪術師に聞いた。
月刊「ムー」2024年2月号の「令和オオカミ奇譚」は、ふだん本誌を購読していない層にも多く読まれているようだ。それもひとえに、世に潜在するオオカミ・ラバーの琴線にヒットしたからかもしれない。
オオカミの何が人々を惹きつけるのか。
ほかならぬ筆者もオオカミとその信仰が気になってならないひとりだが、あえて申し上げれば、日本における自然界の王にして、畏怖と憧れをともに抱かせる孤高の存在感のゆえ。さらに、1905年に奈良県で猟師に捕獲されたのを最後に絶滅した(とされる)ことが、追慕の思いをかき立ててやまないのだろう。
もとより、オオカミの名は「大神」に由来し、古くから山の神とみなされていた(鎌倉時代の辞書『名語記』による)。人間社会に組みこまれた神仏とは対極に位置するその野生のちから(霊力)が、令和になってもわれわれを惹きつけるもうひとつの理由かもしれない。
昨年、そんなオオカミ信仰のアイテムが一堂に会した企画展「牙を剥け―東北地方の狼信仰―」(村田町歴史みらい館)が開催された。
そこにはオオカミが満ちみちていた。
木製や石造の御眷属像、おいぬさまの御影やそれらが配された画軸、神札の版木と神札、オオカミが刻まれた石碑の拓本、そのほか信仰を物語る民俗資料の数々……。
そんななか、ひときわミステリアスな〈呪物箱〉があった。
木箱の表書きに「三峯山神社」、裏に「中野村小子内 川崎商店」と記されている。
解説パネルにはこう書かれている。
「岩手県九戸郡洋野町中野字小子内の民家から見つかった。木箱の中には、ニホンオオカミとイヌとの雑種と推測される頭骨、クジラの耳石、縄文時代の石器などが入っていた。用途や伝承などは不明である。頭骨は、眼球や皮などがミイラ化している」
石黒伸一朗館長によれば、令和2年に所有者から八戸市博物館に寄贈されたものという。川崎商店は昆布や海藻を扱った小売商店で、家を解体する際に倉庫の中から発見されたらしい。なお、中野村は明治22年から昭和30年まで存在して名称のため、その間のどこかのタイミングで収納されたのだろう。
それにしても、この頭骨のミイラとクジラの耳石、縄文石器の取り合わせはいったい何なのか。オオカミ(またはヤマイヌ)の頭骨はオオカミ信仰を象徴する呪物として知られる(くわしくは本誌2024年2月号をご参照されたい)が、あえてほか2種とセットで木箱に収納されていたのだとすれば、そこに何らかの意図、用途があると考えるのが自然だろう。だが、このような”セット”は類例がなく、「用途や伝承などは不明」だとすれば、それ以上は詮索のしようがない。謎というほかないものだ。
しかし、自然由来のさまざまな呪物を駆使する術者(民間の呪術祈祷師)であれば、何らかのヒントがあるかもしれない。筆者が懇意にさせてもらっている嶽啓道 杜頭(がっけいどう とず)・まじない屋きりん堂のきりん師に〈呪物箱〉の写真を見てもらった。
きりん師の答えは明確だった。
「人間に降ろさず、オオカミの口にしゃべらせる神降ろしの術法の可能性大ですね。つまり、オオカミ(ヤマイヌ)の頭骨と縄文石を使って行う神降ろしの作法です。ちなみに、鯨の耳骨(耳石)は霊洞の声が聞こえるともいいます。ここから想像できるのは、狼の顔に〃ある手法〃で死んだ人の名前と呪文などを唱えてからこの耳骨に耳を近づけると、狼の頭骨がやがてその故人の顔のように見え、クジラの耳骨からその声が聞こえてくる……。そんなことが行われたのではないでしょうか」
きりん師によれば、一定の作法を伝授されていれば、霊能力がない人でもこのような降神(霊)術が可能だという。
ちなみに、見る人が見ればどうやら上記アイテムも典型的な呪術道具であるようだ。
たとえばオオカミ(ヤマイヌ)の頭骨。
師によれば、これは東北のイタコ必携のイラタカ数珠のメイン・アイテムで、象徴的には山の神と人をつなぐものといわれ、神(御霊)降ろしに用いられるという。クジラの耳石は、水中でも耳の役目を果たす部分の骨で、目の後方にあり、ほかの骨と異なり密度が高いため、長い時間をかけて化石となってあらわれるという。興味深いことに、音に関わるヒーラーにインスピレーションを与え、太古の記憶と繋がるアイテムと言われているらしい。いわば、オオカミの頭骨が山の神の受信機であるならば、クジラの耳石は海の神の受信機といっていいかもしれない。
縄文石器も、呪術祈祷の祭具として転用されることはあったようだ。
「”縄文石”とも呼ばれますが、重要なことは硬くて割れにくい石であること。これを洞(ほら)、嶽啓道では山神の骨とみなして使うんですね。洞のばあちゃん(呪術祈祷者)たちは、握り玉と呼んで呪詛返しなどにも用いてました」(きりん師)
「ただし……」ときりん師は言葉をつづける。
「この術法は、素人が行った場合、ときに悪鬼が惑わすように何か別の言葉を発したり、聴こえてきたりした場合、家に障りがあります。そのときは、この縄文石の鉈(石斧)で音を切り、通信を止めて、頭骨に宿ったものを消し込んで終了させるんですね」
そのうえで、師は〈呪術箱〉の来歴をこう推測している。
「昔は呪術師が、家の施主に家内安寧・一族繁栄のための呪詛を伝授することはあったんですね。ほかの家人は知らせず、主人・跡継ぎのみがその秘法を引き継いでいたという。ですので、この〈箱〉も施主以外は見てはならぬ、ほかの人は触れてはならぬとして伝わったのでしょう。とはいえ、どんな呪法も時代の情勢には逆らえず、家業も衰退のほうに流れることもあります。
ある意味、怖い法でもありますから、自分の子供(跡継ぎ)にこれらを伝えることの意味を考えると、失伝していくのも仕方ないかなとも思います」
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