凶宅が転じて福となる?「事故物件の日本史」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    事故物件の日本史

    大塚ひかり 著

    遙か昔から存在する事故物件を縦横無尽に紹介

     事故物件……といえば、昨今ではWeb上の専門のマップが人気を博すわ、わざわざ住んでそれを売りにする芸人の著書は立てつづけにベストセラーとなるわ、映画化までされてこれまたヒットするわと、ちょっとしたブームの様相を呈している。

     そこで何となくこれを「イマドキの話題」だと思っている人が多いのではないか。

     だが実際には、事故物件は遙か昔から存在していた。住む者に災いをもたらす曰くつきの物件(漢籍にいう「凶宅」)は、『源氏物語』の舞台となっていたり、『今昔物語集』など、有名古典にも登場するばかりか、江戸期や明治期に至ってもなお、何かと取沙汰されたのである。実際、あの江戸の天才・平賀源内もまた、凶宅に関わったがために、最終的には獄死する運命となったというのだ。
     それよりも何よりも、そもそも日本の神社仏閣の多くが、元を正せば事故物件であったのだ、といわれてしまえば、もはやぐうの音も出ない。
     本書では、このように和漢の古典等々で語られる事故物件に関する四方山話が縦横無尽に紹介されている。中でも興味深いのは、住む人の創意工夫によって凶宅の「凶」を「福」に転じてしまうという話だろうか。
     そしてそのためのヒントのひとつが、「断捨離」にあるというのだから、これは居住まいを正して謹聴するしかない。住まいだけに。
     古文嫌いの学生諸君が、古典に親しむきっかけともなる良書だと思う。

    祥伝社/1045円(税込)

    (月刊ムー 2026年09月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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