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工作舎 編
数多の怪異を、発生の年月日順に理路整然と収録
「人間文化の進歩の道程において発明され創作されたいろいろの作品の中でも「化け物」などは最もすぐれた傑作と言わねばなるまい」とは、物理学者にして随筆家であった寺田寅彦の言葉。
一方で「子は怪力乱心を語らず」などと厳に戒められつつも、とかく人は他ならぬ怪力乱心や化け物、すなわち「怪異」に魅了されてきた。いうまでもなく、本誌の愛読者もまた、種々の怪異に魅せられし同好の士と拝察する。
だがしかし、とくに「本朝」には古来、数多の「怪異」があふれ返っている。それは膨大にして雑多であり、常人にはその全貌を把握することはおろか、その一端をつかむことすら不可能に近い。そんなとき、本朝のおおよそ怪異なるものを、整然かつ簡便にまとめ上げたデータベースがあれば、どれほどにありがたいか。
本書はまさに、本朝に汪溢するそれら怪異愛好家たちの飢渇を癒す、文字通りの旱天の慈雨である。
民俗学者・藤澤衛彦『妖怪年表』(1960)や柳田國男の著作をはじめとする民俗学資料や名所図会、とりわけ国際日本文化研究センターの「怪異・妖怪伝承データベース」等に基づき、神代すなわちBC622年から、明治時代すなわち1868年に至る総計2500項目以上におよぶ種々様々な怪異が、発生の年月日順に理路整然と収録されている。愛好家垂涎の基本文献であるとともに、「〈妖怪文化史〉の〈未来〉を想像させる糧となる」一書。まさに必携である。

(月刊ムー 2025年9月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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