コラム・インタビュー 2024.05.05

馬や騎手を呪わないこと！「占い師競馬会」で16名の占術家が腕試し＆運試し（前振り編）

文＝小栗素子　取材協力＝川崎競馬場

会場は川崎競馬場の貴賓室

「占いって本当に当たるんですか？」ーー非常によくある質問であり、その答えは相談者と占い師の組み合わせの数だけ正しく発生する。
　しかし、結果がその場で判明するテーマであれば、少なくとも「その占い結果が結果的にどうだったのか」は一目瞭然だ。そこで、「占いは当たるのか」というテーマを競馬で検証するという、興味津々すぎる企画、「占い師競馬会」である。なにしろ、その時、その場で、わかってしまう。こんなリスキーな企画に参加する占い師がいるのか？　と思ったら、なんと16人も集まった。はたして、その顛末はいかに！？

ーー去る2024年3月13日。
「ムーpresents 占い師競馬会」は、予告の通りに実施された。残念ながら優芽さんのみ出演がかなわず、代理でひより海さんの登場となったが、16名の占い師が川崎競馬場貴賓室に集合。
　競馬新聞も傍らにするが、参加者のほとんどは競馬未経験に近い状態。基本的には占いのみで馬券を当てに行くという、非日常的な企画である。

　日頃の占い活動の成果を発揮できるとあって、最寄りの駅から占い師たちのテンションも高い。この日は平日で、レース開始前の川崎競馬場は静か。場内の遊具で遊ぶために来た親子連れがいるなど、のどかである。抜けるような青空の下、職業不詳、年齢不詳な服装をして興奮している16人の団体は、なかなか浮いている。

　繰り返すが、予想の手段は占いだ。だがきっちり競馬新聞も必要となる。その理由はのちほど。

　場内に入り、貴賓室へ。大きな窓はゴールの真正面で、さらにテンションアップ。スキップフロアになっていて、下のフロアから専用のテラスに出て、観戦することもできる。快晴なるも、前日の雨のせいか、「馬場は重い」との表示が、電光掲示板で通告されていた。

現場を読む「卜術」が主力！

　占いには、西洋占星術や四柱推命など、誕生時の星回りなどで読む「命術」、易やタロット、ダウジングなど占時や占機を重視する「卜術」、手や顔を観て占う「相術」がある。
　占い師競馬会では、多くの占い師がダウジングやタロットなどの「卜術」を用いて挑んでいた。相談者ではなく競馬場で起きることを占うわけで、「卜術」のほうがその場のなにかしらを読みやすいということだろうか。

　おのおの席に着き、おもむろにタロットカードや筮竹、ダウジングに使うロッドなどの占具を出し始める占い師たち。落ち着いたところで、競馬新聞が登場である。新聞の予想をアテにしようというわけではない。レースの馬番などが書いてあるあたりにダウジングロッドを垂らしたり、タロットカードを置いたりして、閃きを得るのだ。

写真奥から、芳垣宗久さん、ますかた一真さん、篁ヒムカさん、かーりーさん。占い＋予想のスタイルがそれぞれ異なる。

　今回の占い師競馬会でチェックするレースは、１～９レース。馬券の買い方は各自いろいろで、当たり馬券があれば「そのレースは当たった」ということにする。レースごとの当たりハズレとは別に、最後には回収率も計算する。

16名の占い師と占術

　ではここで、参加占い師と、今回の占い方について、紹介しよう。現場はさながら、占い見本市のようであった。

あらいちゅー（田中俊平）
「占い師競馬会」主催で、占いサロン「チャンス」高円寺本店のオーナーであり、競走馬のオーナーでもある、あらいちゅーさん。当然ながら、競馬の玄人である。占術は、もっぱらダウジングとのこと。競馬新聞の上にロッドを垂らし勝ち馬を占う、シンプルなスタイルだ。

CHAZZ
占い師に占いを教える先生であり、競馬に関しては古くからのファンだというCHAZZさん。まず、今日のレースは荒れるのか荒れないのか、大まかな分析を断易で占う。その後、競馬新聞の上でダウジングを行い、騎手はあまり考慮せず、勝ち馬をしぼっていった。勝ち運に絡むのかどうかを、占うという。ダウジングを実施するのは、場内でないとダメだそうだ。やはり「場」が大事のようだ。

きりん
土を占う「土占術」を使う、きりんさん。時間ごとに変わる土の気の流れを読み取り、勝ち馬を当てる。本当は、レース場の土が欲しいところだが、そうもいかないので、この場では、土要素の石である「水晶・瑪瑙・翡翠」を使う。さらに、馬と騎手の名前の「音」を数字化し、運勢を占うという。

一角　
東洋命術の筆頭である四柱推命。16人中唯一、ダウジングなどの卜術を使わず、命術…四柱推命だけでレースに挑んだのが、一角さん。今回は、馬と騎手の生まれ月と出走時刻の干支（年に干支があるように、時刻にも干支がある）、運気のエアポケットである空亡（いわゆる天冲殺）で占う。９レースまでの全馬と騎手の運命と運勢データを３時間かけてそろえてきたという。実直占法で勝負だ。

芳垣宗久
競馬占い歴は長いものの、馬より占いにフォーカスした買い方しかしないという、西洋占術の達人の芳垣さん。今回は、馬が出走するその瞬間のホロスコープ、その名も「出走図」から、勝ち馬を占うという。さらに、出走図ホロスコープで強い力を放つ惑星のイメージに近い名前やエピソードを持つ馬に、狙いを定める。

叶ここ
競馬ファンの魔女占い師、叶ここさん。リソマンシー（石占い）、ダウジング、タロット、ルノルマンカードと、魔女らしい道具が貴賓室のテーブルに並んでいる。基本の占い方は、レースがどんな状況になるか、大きな範囲を占い、ダウジングでどの馬が勝つのかを絞っていく。

順震　
周易歴20数年。競馬については、まったく何も知らない門外漢だという順震さん。各種東洋占術も操るが、周易だけで勝ち馬を当てに来た。馬の番号と名前を思い浮かべた状態で、１頭１頭、筮竹を使い、卦を立てていくという、非常にシンプルな占い法で挑む。

荻原八雲　
多彩な占術を使いこなす八雲さんだが、今回は、当たる相性占いとして有名な宿曜占星術をメインに占う。占い師競馬会開催の2024年３月13日は昴宿の日。この昴宿の運勢や、馬や騎手の生まれ宿など、膨大な組み合わせとなる相性を占い、勝ち運の高い組み合わせから番号を選ぶ。

サトリーヌ・FUJIWARA　
オリジナルの競馬用タロットスプレッドを駆使する、サトリーヌ・FUJIWARAさん。大の競馬ファン。まずチェックするのは、今日の「自分のギャンブル運」。九星気学にて時間帯ごとにギャンブル運の調子を占えるのだという。これに、生まれ持ったギャンブル運を重ねて、今日の運気を占う。さらに、オリジナルのタロットスプレッドで勝ち馬を絞っていくのだ。

かーりー　
実家が牧場という、競馬界との関係がネイタルで深い、かーりーさん。本業はＩＴ企業の経営者とのこと。キホンの当て方は、ＡＩを使っての予想をベースに、ダウジングで決めるスタイルである。競馬新聞を広げ、水晶のロッドを垂らす真剣なまなざしは、占い師ではあるけれども占い師以上の気迫を感じさせる。

ひより海
恵比寿の占いサロン「クラージュ」から、サロンオーナー優芽氏の代打として参戦の、ひより海さん。四柱推命にて、馬と騎手の仕事運を占い、並行して易にて勝つかどうかも占う。このふたつの占いが一致したものを推す戦法。得意のイーチンタロット（易の卦をタロットカードの形にしたもの）も控えさせて、レースに臨む。

山口壹義（津軽のやまちゃん）
とにかく競馬に詳しい風水師である山口さん。今回、主に使う占いは、コインを占具とした断易と、九星気学。レースごとに数字を出し、財運を呼ぶ数字なのか、ライバルをやっつける数字なのか、仕事ができる数字なのかなどを占って、馬番から勝ち馬を絞ってゆく。

五十六謀星もっちぃ　
占い師を育成するプロ中のプロ占い師である、五十六謀星もっちぃさん。今回は、まずジャンヌダルクの秘法であるルーレットのような占具で数字を絞り、「道しるべカード」と「陣中占い」という、たいへんマニアックな占具で、さらに勝ち馬を絞ってゆく。ある程度固まったら、水晶占いで仕上げる。

篁ヒムカ(タカムラヒムカ)
神保町の魔法学校＆占いサロン「アルケミア」を運営する、ヒムカさん。タロットとルーン占いに、オリジナルのオラクルカードという布陣で占う。ルーンを引いて馬と騎手の状態を観つつ、タロットとオラクルカードで補足して絞っていく。

一之瀬水希　
５万人以上の手相を観たという、手相の大名人の一之瀬水希さん。競馬には詳しいとのこと。残念ながら馬の手相は見られないので、今回は、馬券の買い方など、易にて自分を占う戦法。さらに、タロットにて、細かい疑問点を埋めていくという。

ますかた一真　
占い芸人グランプリで優勝した占い芸人である、ますかた一真さん。得意な占いは、西洋占術にタロットでまったく競馬のことはわからないとのこと。今回は、タロットで勝負。競馬新聞を広げ、馬の名前のところに、１枚１枚と置いてゆく。カードをひっくり返し、勝ち運の強いタロットが出たら、それが買い！