サタンを相棒に自分捜し! 世にも奇怪な修道女アドベンチャーゲーム『INDIKA』

文=藤川Q

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     世にさまざまなアドベンチャーゲームはあれど、この『INDIKA』ほど奇怪な作品に出会うことは稀だろう。本作はロシア正教のうら若き修道女INDIKAとなって、修道院で神に身を捧げて暮らしながら自分捜しをするアドベンチャー作品だが、異常な点は、この少女が知り合いになったのは……かの教会最大の敵対者たる"魔王サタン"。
     彼女は、サタンとのあまりにも奇怪な縁により、やがて秩序と静謐に満ちた修道院での生活から、"塀の外"へと誘われていく。そこでINDIKAが目の当たりにする世界は、清濁や悲喜こもごもがいびつにまじりあった、感情むき出しの規制なき人間世界。
     あなたはINDIKAを操作して、模範的な修道院生活から外れ、彼女の人生を定義する冒険を進めていくことになるが、そのなかでは、さまざまな悩ましい選択肢や問いに直面する。神の家には悩めるものが導かれ集うもの。

    ゲーム制作における業界の既成概念に挑戦

     本作は、公式の説明によると、まさにロシア文学の巨匠ドストエフスキーやブルガーコフの小説のごとくといった"喜劇と悲劇の荒唐無稽な組み合わせ"だという。開発を手がけるカザフスタンのスタジオOdd Meterは、美学を最重要視し、なんと倫理規範の境界線を常に模索しているそうで、これまた公式の言を引用するならば、本作は"ゲーム制作における業界の既成概念に対する公然とした挑戦"だと豪語する。
     おお! まさに神をも畏れぬなんという反骨精神であろうか!
     奇しくもINDIKAの相棒となる魔王サタンこそは、かつては天使であり、その神から与えられた役目は"敵対して抗うこと"であったことに思いを馳せつつ、うら若きINDIKAが修道院の塀の外で目にする、宗教と権威、そして人間存在の滑稽かつ薄汚くも哀れな悲喜劇にいまから期待してやまないところである(本作の発売は2024年第2四半期を予定)。

    (本作のムー民度  ★★★★☆)

    Steamほか ※現在デモ版が無料配信中

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    (月刊ムー2024年5月号)

    藤川Q

    ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。

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