1979年「ムー」誕生とオカルトポップ王仁三郎の発見/ムー前夜譚(4・完)
70年代の大衆的オカルトブーム最後の花火として1979年に打ち上げられた「ムー」。ではそもそも70年代に日本でオカルトがブームとなった背景は? 近代合理主義への対抗が精神世界という言葉以前の現実問題だ
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文=大槻ケンヂ 挿絵=チビル松村

78年末から79年、それは突如、日本全国に出現した。 全国の下校時間を恐怖に彩った「口裂け女」は、当然、大槻家のそばにも迫り……。 医者によって「オカルトという病」を宣告された男・大槻ケンヂが、その半生を、反省交じりに振り返る。まさかの連載コラム。 オーケン VS 口裂け女、その顚末やいかに!
先日、岐阜でライブをやってきた。会場は最寄り駅から歩いて30分はかかるところにポツンとあって、駅への最終バスはライブ中に出てしまう。
「これ、お客さんどうやって帰ってるんですか?」
現地のお店の方に尋ねると
「え? あ、バスのダイヤ変わったんですね? 知らなかった」
地元のお客さんは多くが自車で来ているので、特に指摘もなかったのだそうだ。
『東京とは距離感が違うのだな』と妙に感心したものである。
岐阜といえば昭和オカルト・ファンにとっては「口裂け女」だ。70年代の後半に小学生を中心に大流行した都市伝説で、ウワサの発祥をたどると岐阜県本巣郡で起こった小さな事件が元になったらしい(諸説あり)。農家のお婆さんが無気味な雰囲気の女を目撃したという記事が岐阜の地方新聞に載った。これがなぜか口裂け女の伝説と化して一挙に全国へ広まったというのだ(諸説あり)。
もちろん僕の住んでいた東京都中野区野方にまで、だ。
「賢ちゃん、口裂け女が出たわよ!」
わが家のオカルト速報番である母からその情報を聞いたのは小学校高学年のころ、79年だったかと思う。岐阜の地方新聞も79年だからその拡散の速さには驚くしかない。
「マスクをした髪の長い女が『私きれい?』と聞いてきて、きれいというとマスクを外して口が耳まで裂けているのよ」
すでに話の形もできあがっていた。
「『きれいじゃない』と答えると包丁で刺されるそうよ」
いろんなバリエーションがあったが、中野のあたりではそんな恐ろしいことになっていた。さらに、最も恐ろしいのは口裂け女の“距離感”であった。
「もう沼袋まで来ているらしいわよ!」
沼袋、とは僕が住んでいた西武新宿線野方の一つ新宿寄りの隣の町のことだ。
「近っ‼」
沼袋→野方間は西武線なら3分、チャリでもすっ飛ばせば10分で着く距離であった。
ーー今、目前まで来ている死の危機。
これが当時の子供たちの共有した口裂け女への恐怖感であった。
★この続きは二見書房から発売の書籍「医者にオカルトを止められた男」でお楽しみください。
https://www.futami.co.jp/book/6281

大槻ケンヂ
1966年生まれ。ロックミュージシャン、筋肉少女帯、特撮、オケミスなどで活動。超常現象ビリーバーの沼からエンタメ派に這い上がり、UFOを愛した過去を抱く。
筋肉少女帯最新アルバム『君だけが憶えている映画』特撮ライブBlu-ray「TOKUSATSUリベンジャーズ」発売中。
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