「天地創造」ムー2023年3月号のカバーアート/zalartworks
「ムー」2023年3月号カバーアート解説
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取材・文・写真=嘉山正太
メキシコ最高学府で開催されたUFO展示会に潜入取材! 講演会では「謎の火星計画」も発覚、その真意を直撃すると……!
※ メキシコ最高学府の教授がメキシコ人のUFO観を語る前編はこちら!
前回に引き続き、今回もメキシコの最高学府UNAMで行われたUFO展覧会の様子をレポートしていきたいと思います! それでは、「バモ、バモ(レッツゴー)」!
無事にUNAM教授のお話も聞けたところで、今回は実際にどんな展示だったのかレポートしていきたいと思います。
教授も言っていたのですが、幅広い年代の記事が展示されているんですよね。一番古いのは、19世紀末の記事です。もう今から125年も前の記事になります。
特に気になったのは、こちらの2つの記事です。一つめは1965年の記事で、メキシコの航空機がOVNI、つまりUFOに追いかけられたと書かれています。
そして、もう一つは1978年の記事で、こちらも航空機が追いかけられたと記述されています。
年代は違う2つの記事ですが、同じような現象が書かれています。飛んでいた飛行機が見知らぬ物体に追いかけ回される――なんだか1960~70年代のテレビドラマの中に登場しそうなニュースだと思いませんか?
また、もう一つの記事は1973年の「UFOの集団目撃が相次ぐ」というニュースです。3名の若者と女性が、メキシコシティの同じ場所で同じ時間にUFOを目撃したと報じられています。メキシコでは本当に集団目撃が多いのです。
しばらく展示されている記事を眺めていると、にわかに国立図書館の地下が騒がしくなっているのを感じました。虫の知らせでしょうか。そう、前回もお伝えしましたが、なんとこの図書館の地下では、UFOに関するプレス発表が行われるというのです!
UFOを「科学と芸術から」見るというところが最高学府っぽくていいですね。マジです、メキシコ。
登壇者は全部で4名。科学者サイドから2名、そして芸術家サイドからSF作家と(スペイン語圏ではかなりの大家)もう一人が火星計画の専門家…… うん? なんだ、火星計画?
まずは科学者2名がこれまでの宇宙探索の歴史、人類がどのように到達したかを語ります。語り尽くします。
そして、次に登場したのがマルセラさん。彼女はゆっくりとした口調で火星移住計画について語り始めます。
「私たちの目的は、火星にメキシコのテノチティトランを建設することです。メキシコシティの地下に未だに眠る失われた都市、テノチティトラン(Tenochititlan)を火星に復活させるのです。その計画の名は、Martenochititlan(火星を意味するMarteとTenochititlanを組み合わせた造語)です!」
え?
会場全体から、吐息のような疑問符が漏れる声が響く。ヤバい、なんだ、この人は?
「そのために私たちの団体は、DJパーティーなどのイベントも行っています」
ど、どういうこと? 火星進出が、どう繋がるのだろうか? 大きなクエスチョンマークが頭の中を行ったり来たりする。オレのスペイン語の理解が間違っているのだろうか? それとも、彼女たちのスペイン語? いや、これはスペイン語の問題ではないことは明白だ。だって、すでにスライドで、火星に建設する古代都市のイメージ画像まで提示しているんだから。
だが、すべての悩みは、講演会の後に解決されることになる。
講演会が終わって、残っていた展覧会の写真を撮影していた筆者。そこに、ふと一人の男性が近づいてきた。
「君、外国メディアだろ?」
そうだけど、君は?
「ごめんごめん、オレは、あの火星計画のメンバーなんだ。全員で3人いる中の、一人だよ。」
え? 3人(しか/も)いるの!
「オレ達が火星を目指しているのには、訳があってだな。やっぱり、それは、オレ達こそが、文明の衝突を理解しているからなんだよね」
文明の衝突?
「つまりさ、メキシコでは500年前に大きな文明の衝突があったわけ、西洋スペインとアステカ文明のね。次に、火星の文明と人類が出会ったときに、どうなると思う?」
講演会で専門家陣は、「火星に生命体を見つけた場合は、人類にとって有益な方法で交流する」って言ってたよね。
「そう。でも、それはつまり、火星人と友好を築けなかった場合、争うかもしれないってこと。多分、戦争でね。でも、それじゃ、500年前と一緒だろ。スペイン人が未知の文明を見つけて滅ぼしたように。そうなったときに、オレ達、メキシコ人の経験が生きるんだ」
なるほど! つまり、火星文明とのコンタクトを君たちは人類の新大陸発見と重ねてるってこと?
「そういうこと!」
(じゃあ、勝手に火星に古代都市建設したらマズいんじゃ……)なるほどね!
「なあ、今度、ゆっくりオレ達の話を聞きに来いよ」
え、いいの?
ということで、次回の記事の取材先から逆オファーを受けてしまった筆者。
今回の展覧会と講演会を通じて、またしてもメキシコの新たな一面に触れることができた。メキシコUFOの旅は、まだまだ続く。
~おわり~
嘉山正太
撮影コーディネーター、映像作家、脚本家。
1983年、埼玉県生まれ。横浜国立大学人間科学部卒業。日本の映像制作会社で働いた後、2008年よりメキシコに移住。以降、ラテンアメリカ全域でのテレビ番組・映画・CM・VPなどのコーディネートを行う。
制作業務(企画・演出・撮影・編集)をはじめ、国際映画祭などのイベントの通訳、翻訳、脚本執筆まで幅広い分野の仕事を行う。2022年、初の著書となる『マジカル・ラテンアメリカ・ツアー』(集英社)を上梓。
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