昭和「秘境」ブームの盛衰…80年代に消えた「彼方」への憧憬/初見健一の昭和こどもオカルト回顧録
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昭和キッズに衝撃を与えたあの「イルカ」がお守りになった! その想定外な“ご利益”と意外な誕生のきっかけとは?
長い人生、何が起こるかわからないもの。急な病気や事故、自然災害はもちろんのことながら、もしも今、世界が人類より優れた知性体から突然攻撃を受けたら、あなたはどう対処するだろう?
世界規模のパンデミックも、ありえないといわれていた海峡封鎖もある日突然ほんとうに起こってしまう先の読めない時代、上位存在からの攻撃だって絶対に「ない」とはいいきれないかもしれないこのご時世に、「想定外の事態」に対応するお守りが登場して話題を呼んでいる。
そのお守りは、千葉県の柏市に鎮座するご当地の鎮守、柏神社で授与されているもの。その名も「想定外厄除守」とは……なんと、今から50年ほど前、昭和キッズたちに衝撃を与え現在まで語り継がれている伝説的なイラスト「イルカがせめてきたぞっ」が、ディテールも鮮やかにお守りになっているのだ!

この記事に注目してくれるようなムー的感度の高い方はとうにご存じかもしれないが、あらためて説明をすると、「イルカがせめてきたぞっ」とは、1970年代に大ヒットした小学館の児童向け図鑑『なぜなに学習図鑑』シリーズの一冊に掲載された一枚のイラストだ。
「人間より、いるかのほうが頭がよいのですか」との質問に対して、イルカは言葉を使っている可能性もある知的な生き物で、もしイルカが陸上生物だったら知能的には人類を負かしていたかもしれない……と解説されたページに描かれたもので、ボンベを背負ったイルカたちが地上に攻め入り、人間に謎の怪光線を浴びせかけているその描写は今でもなお斬新なインパクトを放ち続けている。詳細はよく知らなくても「ネットでみたことある!」という人も多いのでは?
この衝撃的なイラストが神社の公式お守りになるなんてまさに想定外だが、なぜこんなユニークな企画が実現したのか、柏神社宮司の友野立さんにお話をきかせてもらった。
そもそも気になるのは、柏神社とイルカのイラストにどんな関係性が? というところ。
実は、このイラストの作者であるイラストレーター・小松崎茂さんが長く柏市を拠点に活動していたことがお守り誕生のきっかけになったのだという。
小松崎茂さんといえば近未来的なモチーフの作品を数多く生み出した伝説的クリエイターで、あの「サンダーバード」シリーズのプラモデル箱絵の画家としてもよく知られている。
そんな小松崎さんは生前、長く柏市を拠点として活動していた。
柏神社では神社と地域の活性化を目的に地元ゆかりのアーティストとコラボした授与品を製作しているのだが、そうした活動のなかで現在小松崎作品の版権管理をしている孫の小松崎憲子さんに企画を打診したところ、快諾を得て今回のお守りが実現したのだ。
イルカの提案は小松崎さんサイドからだったそうで、打ち合わせのなかで「このイラストが人気あるんですよ」と提示してもらったのが件のイルカだったそう。
友野さんたちは一目でそのインパクトに打たれ「ぜひお守りにしましょう!」と話が進む。とはいえ人間を攻めるイルカなんてある意味お守りの概念とは正反対ともいえそうだが、そこで降りてきたのが、イラストのシチュエーションを逆手にとって「想定外の厄除けってどうだろう」というアイディアだった。確かに、この不確実な災害多発時代でも、イルカの攻撃までカバーしていれば大抵の「想定外」には効果がありそうだ。
そうしてとんとんと企画が進み、柏神社では「想定外厄除」をはじめ、小松崎茂さんの代名詞ともいえるサンダーバードと、これも人気の近未来的な宇宙コロニーのイラストを使った御朱印、そしてノアの方舟を宇宙船に見立てたこれまたインパクト絶大な「地球大脱出」イラストのご朱印帳と、計4点のコラボアイテムが誕生した。



こうして誕生した小松崎茂お守り&御朱印は、7月に授与を開始するとはやくもSNSなどで評判が評判をよぶ状態に。古くからの小松崎ファンにはサンダーバードの御朱印が一番人気で、また純粋に「サンダーバードのイラストがかっこいいから」という理由でこの御朱印を目当てに訪れる若い参拝者もいるそう。
そして想定外厄除もまさに想定外の人気で、老若男女を問わず、さまざまな年齢層の方が求めていくそうだ。これまで御朱印収集で参拝していた層と想定外厄除を求める層はだいぶ違うとのことで、「そうした今までにない方に神社に興味をもってもらえるのもうれしいことです」と友野さん。
ちなみにノアの方舟イラストも小松崎さんから「思い入れのある作品」ということで提案があったそうだが、考えてみれば神社のご朱印帳にノアの方舟というのもかなりユニークなコラボレーションだ。こちらも未来への希望に満ちたモチーフということでぜひにと採用したそうで、柏神社さん、懐が深い。


もちろんこれらはただのノベルティグッズではなく、社殿にあげて修祓を行っている歴とした授与品だ。「悪いことが起きないように」との願いをこめてお祓いをされているとのことなので、そのご神徳は一般のお守りとかわりない。
しかも、なんとあまりの人気のため想定外厄除は授与開始から3ヶ月たたない9月末時点で当初製作分のストックが終了してしまったそう。現在はあらたに追加分を準備していて、10月中旬からの授与を再開する予定だ。
持っていたらまさにどんな想定外な危険も跳ね返してくれそうなこのお守り、混沌とした時代のマストアイテムになるかもしれない。それにしても、宇宙船から夢の未来都市までさまざまな胸踊る世界を想像してきた小松崎さんご本人も、このイルカがお守りになるとはまったく想定外だったのでは……!?
ちなみに柏神社のアーティストコラボには、小松崎茂作品のほか、こちらも長く柏市に在住されていたレジェンド漫画家・池田理代子さんの「ベルサイユのばら御朱印」と、同じく柏市ゆかりの高木ブーさんコラボ御朱印がある。
人口や社会構造の変化していく時代、神社も変化をせまられる。柏神社ではこれらをきっかけにしてぜひ若い方やこれまで興味のなかった方にも訪ねてもらい、境内を憩いの場として活用してもらいたいとのこと。想定外の出会いを求めて、ぜひ足を運んでみては?


想定外厄除御守
初穂料1000円、柏神社(千葉県柏市)にて授与中
御朱印は各1000円、「地球大脱出」御朱印帳は4,500円
神社サイトからの郵送も可(別途送料) https://www.kashiwajinja.com/goshuin
webムー編集部
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