<読者投稿>金縛りの最中、何ものかに首をギュッと絞められた!

イラストレーション=不二本蒼生

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    橋本 忍/静岡県

     霊感なんてないんです。だからこそまわりから聞く不思議な話や都市伝説、妖怪、UMAなどに興味を持つ50代の男性です。
     ただ、その類いの中で、唯一、金縛りに遭ったことがあります。中学時代のことで、今から40年くらい前の出来事です。

     気弱な性格を直すため、親に勧められ、僕は野球部に入部しました。時代的には校内暴力が世の中を賑わせた時期の少しあとのころです。
     練習はハードで、野球部の先生は竹刀を持ち、部員の指導に当たっていました。
     よくは覚えていませんが、土曜日の午後3時くらいだったでしょうか。いつもより部活が早く終わり帰宅。これは自宅での出来事です。
     猛練習に疲れはてた僕は、自宅の2階にある自分の部屋の横の畳の部屋に寝転がっていました。
     窓を開けはなち、空気を巡回させ、ゴロゴロしながらうつらうつらしていたときのことです。
     母は1階で何かをしています。父や弟は家にいません。和室にいるのは僕ひとりだけです。
     部活で疲れきった足を投げだし、窓の外から聞こえてくる公園で遊ぶ子供たちの声をなんとはなしに聞いていました。
     どれくらい時間が経過したころでしょうか。不意に足が攣ってしまいました。

    “痛い! !”

     部活で走りすぎたための筋肉疲労でしょうか。
     次第に片足だけでなく両足までもが攣っています。激痛とともに下半身全体まで重くなってきました。
     しばらくもがきくるしんでいたときのことです。天井からミシミシという謎の音がゆっくり近づいてくることに気づきました。
     そのころには下半身だけでなくお腹や肩といった上半身まで重くなってきました。

    “もしかするとだれかが僕の上に乗っている!?”

     怖くなった僕は母を呼ぼうとしますが、どういうわけかまったく声が出ません。
     体への重みはどんどん増していき、ついに重さは首のあたりまで迫ってきました。

    “まさか首を絞められている!?”

     そんな恐ろしい考えが頭をよぎります。
     恐怖に包まれながらも、いつしかそのまま眠ってしまったようです。起きたときには体じゅうが汗ばんでいました。

     あれは果たしてなんだったのでしょう。考えてもいっこうにわかりません。しかし、わからないままでは不安なので、身体疲労ということにしてどうにか自分自身を納得させることにしました。

     あれから数十年の年月がたち、やはりあの出来事は金縛りだったに違いないと思っています。
     当時、引っ越しをしたばかりで、慣れない環境下にいました。いじめに遭い、ストレスで十二指腸潰瘍を患ったり、それを克服するために強制的に部活に入部したりしました。しかし反論する力のない僕は、弱い自分を責めてばかりいました。そんな自責の念が“何か”を呼んでしまったのではないでしょうか。

     現在、気弱さは姿を消し、一人前の大人になりました。あれ以来、金縛りのような体験もしていません。

    (本投稿は月刊『ムー』2026年9月号より転載したものです)

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