ハワイ神話の小人族メネフネはムー大陸の末裔か? ポリネシア各地の遺跡と小さな人類の謎
南洋に伝わる、小さきものの神話。それは伝説のムー大陸と、消えた古代人類を結ぶ存在かもしれない。
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世界中の伝説や童話などに登場する小さな人々だが、ハワイの伝説では島の深い森に住んでいた小柄な人々であるメネフネに関する多くのストーリーが語り伝えられている――。
ハワイ神話に登場する伝説の小人族「メネフネ」は手先が器用で働き者。人目を避けながらダムや道路、神殿などの優れた石造建築を一晩で完成させたといわれる。彼らはエルフのようだったという話や、身長約60センチのずんぐりした体格だったという話もある。
メネフネたちが造り上げたものの一つに養魚池があり、1000年前のとある月明かりの夜、やはり一晩にして作られたと伝わっている。この時、メネフネたちはマカウェリ村から約40キロにわたって列を成し、建材となる石を手渡しで運びながら、この驚くべき偉業を成し遂げたそうだ。こうして完成した養魚池は長さ270メートル、高さ1.5メートルの石壁で囲まれた当時としては驚異的な土木技術の結晶だ。
メネフネに関するさまざまな神話を語り伝えているカウアイ博物館の学芸員、チャッキー・ボーイ・チョック氏はこう語る。
「その養魚池は、アレココという人物の依頼で造られたと言われています。彼は自分用に一つ、妹のハハルア用に一つ、計2つの池を希望しました。メネフネはこれに同意しましたが、彼らの慣習に従い、作業中はその光景を誰にも見られたくないと強く訴えました。ところがその夜、アレココは我慢できず、養魚池の建設状況を見に行ってしまいました。すると、メネフネはすぐに作業を中断し、血に染まった手を川で洗っていたというのです」(チョック氏)
メネフネたちが作業を切り上げてしまったため、結局2つめの池は完成しなかった。
「常に問われるのは『メネフネは本当にいたのか?』という点ですが、実話だということを裏付ける証拠はいくつもあるのです」(チャッキー・ボーイ・チョック氏)
メネフネが神話上の存在ではなく実在する人々であったことを示す証拠として、彼らが人口調査の対象となっていたことを示す公的文書が残されているという。ハワイ大学マノア校図書館には次のような記録がある。
「西暦1500年頃、ハワイ島(ビッグアイランド)の王ウミは、自らの領地の人口調査を行った。フアラライ近郊の平原にすべての住民を集め、各自の居住区を表す場所に石を置くよう指示したところ、2000人以上の住民が確認され、そのうち65人がメネフネであるとわかった」
また別の情報によると、1820年の国勢調査ではメネフネとして同じく65人がカウントされたという。島全体では一時期、何十万人ものメネフネが済んでいたという話もあるようだ。
ではメネフネたちのルーツはどこにあるのか? 実は、彼らが使用していたとされる独特な石器「ポイ・パウンダー」と同様のものが、カウアイ島から約3650キロメートル離れたフランス領ポリネシアのウア・フカ島で発見されている。
また、発音や文字もフランス領ポリネシアとメネフネとのつながりを示唆しているという。フランス領ポリネシア最大の島であるタヒチ島の言葉で、社会的地位が低い平民や奴隷のことを「マナフネ」というが、メネフネと響きが驚くほど近い。つまり、フランス領ポリネシアで蔑まれていた人々がハワイへと渡っていった可能性があるのだ。
しかし、移住先であるハワイも、メネフネにとっては決して安心できる場所とはならなかったようだ。伝承によれば、カウアイ島のメネフネたちは迫害を受け、岩が剥き出しの不毛の火山島であるネッカー島へとさらに移り住むしかなかったという。現在このネッカー島は無人島だが、文字が刻まれた石や、石像のような遺物が残されており、これらはメネフネたちが儀式や宗教的な目的で使っていた可能性があるという。
ちなみに、ネッカー島への移住はハワイ諸島の主要な島々に人々が定住してから数百年後に始まり、ヨーロッパ人との接触が起こる数百年前には終わっていたという。
ハワイの歴史に詳しく、自身がメネフネの子孫であると信じているアレサ・カオヒ氏は、メネフネは間違いなく実在した人々であり、自身を含めてその子孫は今でもハワイに住んでいる可能性がきわめて高いと訴える。しかし、そのことを示す決定的証拠はなく、実像はなかなかハッキリと見えてこない。
ハワイ神話学者のジョン・リドゲードに至っては、メネフネが幻の大陸「ムー」の住民の末裔であるとの説まで唱えているが、真相は不明だ。
とはいえ、メネフネに関するさまざまな物語は、今日でもたしかにハワイ諸島全体で人気を博している。子どもたちは「メネフネが夜中に壁を建設している音に耳を澄ませておくように」と親たちから教えられるほどだ。メネフネが実在したという何よりの証拠は、人々の記憶の中で生き続けていることにあるのかもしれない。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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