オールカラー、図版多数!「ビジュアル図鑑 錬金術の歴史」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    ビジュアル図鑑 錬金術の歴史 フィリップ・ボール 著 錬金術に関する必要にして十分な内容が網羅  一般的には、卑金属から貴金属(主として黄金)を錬成する技術として知られる錬金術は、著者によれば「人間の想像力が生み出した最 […]

    ビジュアル図鑑 錬金術の歴史

    フィリップ・ボール 著

    錬金術に関する必要にして十分な内容が網羅

     一般的には、卑金属から貴金属(主として黄金)を錬成する技術として知られる錬金術は、著者によれば「人間の想像力が生み出した最も汎用的で、暗示的で、豊かな産物の一つ」であり、それは「現代科学の基礎の一部を築き、あらゆる分野の芸術家にインスピレーションを与えてきた」という。
     そのように魅力的なテーマゆえに、古来、本邦でも錬金術を扱った著作物は、それこそ枚挙に暇がなく、一般向けの概説書から、古代の原典の邦訳などのマニア向け、心理学や化学史などの観点からこれを論じた学術的なもの、さらには純然たる娯楽作品まで、まさに百花繚乱、多士済々、玉石混淆の趣を呈している。

     そんな中で、錬金術に関してただ一冊を選ぶとすれば、文字通りあらゆる意味で圧巻というべき文献が登場した。本書がそれである。
     本書は、錬金術の「正しい」語源に始まり(何と通説であるエジプト語のkhemiaではないというのだ!)、煉丹術から「ヘルメスの術」、寓意に満ちた「秘伝書」から「クリソポエイア」、かつての錬金術師たちによる実際の作業から哲学的考察、そして世界の文化における錬金術まで、およそ錬金術に関する必要にして十分な内容が網羅されている。しかもほぼ全ページにフルカラーの美しくも珍しい図版が満載されているから、眺めているだけでも楽しい。
     これから錬金術でも勉強してみるかという人なら、選択すべき決定版である。

    辻元よしふみ・辻元玲子 訳/河出書房新社/6490円(税込)

    (月刊ムー 2026年07月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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