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世界最大のスポーツの祭典にまつわる、ウソのような本当の話。
神々の託宣──。
古来、祭りの儀式には、神々のお告げが欠かせない。もちろんW杯という祭りでも、神々からの託宣は下される。
登場するのは、偉大なる予言者パウルである。
ただし、この予言者、人間ではない。海に棲むあのタコなのである。なんだタコかと、バカにしてはいけない。パウルの予言的中率は、世界最高峰といっていい。
予言者パウルは、ドイツの水族館で飼育される人気者のタコだった。ところが、不思議な占いの力を持っているということで話題になり、ついにはW杯南アフリカ大会におけるドイツ代表の試合を占うことになった。
ただし、方法はいたって簡単だ。水槽の中に国旗をつけた小箱を置き、パウルの好物の餌を入れる。そしてパウルが先に食べた小箱についている国旗の国が勝つというものだ。
すると驚くべきことに、パウルはドイツ代表が出場する7試合の勝敗をすべて、完璧に当てたのである。

それだけではない。決勝戦となったオランダ対スペイン戦でも、見事にスペインの優勝を的中させた。
確率的に見ても、この的中率は尋常ではない。ドイツ代表戦7試合と決勝戦を合わせた8試合の勝敗を正確に当てる確率は256分の1。ラクダが針の穴を通るよりも難しい確率……といったら少々大げさだろうか。
とにかく、もはや神の御業としかいいようがない。かくしてパウルはマスコミから〝引っぱりダコ〟となったが、W杯後には占い稼業を引退。その後は水族館で観客を楽しませながら、2歳9か月の天寿を全うした。
ちなみに英名の〝octopus〟はギリシア語由来で「8本」の「足(あるいは道)」という意味だ。パウルが8つの試合の行く末(道)を当てることができたのは、〝octopus〟ならではの超能力だったのかもしれない。

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