呪具との間に生まれた絆「呪物紀行 由乃夢朗編」/ムー民のためのブックガイド
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加須屋誠 著
呪術行為と美術作品を精査し、実相を読み解く
著者によれば「呪術」とは「幸せのための技術」であり、「美術」とは「視覚的な感動(美)のための技術」である。そしてこの両者は「双生児の姉妹」であるという(ちなみに、「科学」はこの双子姉妹の末の弟であるらしい)。
ことほどさように、「呪術」と「美術」は、その黎明期より密接不可分な技術であり、「どちらも不合理なもの」であった。
だが、はたしてそれだけだろうか。呪術と美術の不合理性、その本質を突き詰めていったとき、そこには「合理性の残滓」が見出される、と著者はいうのだ。
本書は、具体的な「文献資料・美術作品・儀礼の構造や所作など」を駆使して、過去に日本人が実践してきた呪術と美術の諸相を精査することにより、呪術と美術の不合理と合理、そして「現実とはなにか」、その実相を明らかにせんとする試みである。
著者である加須屋誠氏は、現在、京都市立芸術大学客員研究員を務める文学博士で、専門は日本仏教美術史。著書も多数。1991年には日本および東洋の美術についての優れた研究に贈られる「國華賞」を受賞されている。そんなわけで、本書の内容は学術的に極めて正確かつ厳密であるが、文体は広く一般読者を想定されているようで、非常に読みやすい。
ぜひ手に取って、多様な呪術と美術の世界を、読者自らの感性で体感していただきたい。

(月刊ムー 2026年06月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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