「平家物語」を鎮魂譚として描いた「耳なし芳一」の妙味解題/小泉八雲と明石覚一
小泉八雲の代表作のひとつ「耳なし芳一」。それは怪談という枠をこえた、鎮魂のための物語だった!
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東 雅夫 著
文豪と画家の「秘めたる関係」を白日の下に暴く
古来、怪奇幻想文学の分野において「挿絵と作品との相性は、ことのほか重要である」と著者は断言する。
何しろ文と絵、それぞれの「〈幻視〉の深度が、誌面で絶妙に重なり合うとき、かつてない、誰も視たことがない、未曾有の光景が、そこに妖しくも燦爛と、たいそう魅力的に、生み出されてゆくことになるのだから!」(この文体よ!)。本書は、そんな幻想文学の担い手である文豪と画家の「秘めたる関係」を白日の下に暴いた、これまでにない研究書。
文豪側として登場するのは、泉鏡花や江戸川乱歩、芥川龍之介に谷崎潤一郎と、いずれも錚々たる面々ばかり(芥川に関しては、「画家側」に入れてもよいかもしれぬ)。
一方の画家側は、鏑木清方や村山槐多といった評者でも知っているビッグネームから、藤牧義夫や水島爾保布のような無名の(失礼)画家まで、まさに多彩。そんな彼らの絢爛たる作品が、フルカラーで豊富に収録されているのだから堪らない。
著者の東雅夫氏は、文芸評論家で、「幻想文学」「幽」などの雑誌の編集長を歴任。半世紀以上、この分野を支えてきた偉人である。と同時に「かなり偏頗な、というか特殊な趣味を有する美術ファン」でもある。本欄でもこれまで『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』(山と渓谷社)や『稲生物怪録』(KADOKAWA)など、多くの作品をご紹介してきた。当然、評者を含めファンも多く、ファンにとっての待望の一冊といえるだろう。

(月刊ムー 2026年04月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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