日本で行なわれてきた呪法の全体像を概観! 「呪術・呪法事典」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    呪術・呪法事典

    藤巻一保 著

    呪法の最高権威者による「呪術・呪法」の集大成

     何とも凄まじいまでの労作である。
     何しろ密教を中心に、神道、陰陽道、修験道、神仙道、道教、日蓮宗、曹洞宗、浄土宗、禅宗、さらには民間呪術に至るまで、「日本で行なわれてきた呪法の全体像」を概観するという難業に挑み、期待をはるかに超える完成度で結実させているのだ。

     著者によれば呪術とは、「霊的な存在に働きかけることにより、自然界や人間社会を動かそうとする思想と技術の総体」。すなわち、「この苦に満ちた理不尽な現世」を生きるための、人間の根源的な営為である。本書には、「調伏・魔除け」「死者召喚・三世知悉」「穢祓い・滅罪」「縁切り・縁結び」「財福」「延命長寿」「病気封じ・安産」そして「成仏」と目的別に、ざっと数えて85種もの呪法が収録されている。

     著者の藤巻一保氏は、「呪法」の最高権威者。本欄で紹介した著書は数知れず、そのすべてが傑作・労作という稀有な著述家である。
     なお、本書は『日本呪法大全』(学研パブリッシング・2013年)を全面的に修訂し、増補したものだが、この新版には、旧版刊行後に著者自身の身に起った「大きな変化」が色濃く反映されている。その意味で、旧版の読者にとっても必読といえる。

    「紹介した呪法にはすべてしかるべき経典・聖教・伝書等の出典がある」というだけでも、他の追随を寄せつけぬ。本誌読者なら迷わず購入、常に座右に置いて、終生の愛読書とすべき大著である。

    二見書房/4950円(税込)

    (月刊ムー 2026年04月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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