巨大V字形UFO出現「フェニックスライト事件」の謎/羽仁礼・ムーペディア
毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。今回は、アメリカ・アリゾナ州フェニックスを中心に、数万人もの人々が謎の光体を目撃したというUFO事
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空飛ぶ円盤という言葉が世に飛び出して約80年。数々の遭遇の中から忘れられない――忘れたくない事例を振り返る。 今回はメキシコシティで集団目撃された空飛ぶ円盤について。同じく都市部での集団目撃となったフェニックスライト事件と合わせて振り返ろう。
1997年はアメリカやメキシコで活発なUFOの活動が見られた年であった。
3月にはUFO事件史に残る「フェニックスライト事件」が起きている。3月13日にアメリカのアリゾナ州フェニックスからメキシコのソノラ州までの広範囲で、飛行する謎の発光体が複数目撃され、多くの映像や写真が残されたという事件だ。
最初の目撃者はアメリカのネバダ州に住む男性で、米国太平洋標準時18時55分ごろ、V字形に連なった6つのライトを備えた物体が上空を飛んでいるのを発見したという。UFOは巨大で、ライトひとつひとつが旅客機ほどのサイズがあったと証言している。それらは北西から南東に向かって横断していき、人密集地のフェニックス上空を人目もはばからずに飛行した。そのため、このUFOの目撃者数は異例といえるほど多く、数千人から1万人に上るともいう。ある目撃者は「ボールを投げたら当たる距離だった」と語るほど、低空で至近距離を通過したと語った。
目撃の場所により詳細は異なるが、「5個以上の光点を備えたV字形の巨大な飛行物体を見た」という証言で概ね一致している。懐疑派たちはアメリカ空軍の演習で使われた照明弾という説を主張するが、ともかく大きく報道された。
これ以後、アメリカとメキシコではUFOへの関心が高まり、いわゆる「ウェーブ」と呼ばれる目撃例の増加が起こっていく。
1997年の夏、首都メキシコシティで撮影されたというUFO映像が公開された。通称ラス・ロマスのUFO (Las Lomas) と呼ばれるこのビデオには、高層ビルの上空を飛ぶ銀色の円盤形の物体がハッキリと映っている。それまでのUFOビデオにありがちな不鮮明さや、夜空を通過するだけの単なる光点とは明らかに違う。

このビデオは1997年9月26日、メキシコの有名なUFO研究家のハイメ・マウサンのもとに匿名で送られてきたものらしい。同封されていたメモには「このようなことを公表したらどうなるか、われわれは知っている」と意味深長なメッセージが書かれていた。マウサンはこのビデオをあえてテレビで放送することで情報を集めようと考えた。9月27日と28日に自身が出演する番組で放送すると大きな評判を呼び、すぐに撮影場所がわかった。
後日、寄せられた情報をもとにボスケ・デ・ラス・ロマスという地区に赴いたマウサンは、現場で目撃者を捜した。近くでタコス屋台をやっていた男性は、自分は見ていないが自身の12歳の娘が目撃したらしいと話した。娘のカサンドラはビデオと矛盾のない証言をしたが、一方で家族はその話を信じていなかったという。
マウサンは近くのプールで撮影をしていたカメラマンとモデルにも話を聞いた。カメラマンのアニーはUFOを目撃し、放射線の影響なのか、腕と顔に強い日焼けを負って1か月は治らなかったと語った。肝心のUFOの写真を撮ってはいなかったという。
また、マウサンはビデオが撮影された建物の住人にも話を聞いたが、だれも話そうとしなかったようだ。
この事件は結局、問題のビデオ以外に写真や証拠といえる物はいっさい見つかっていない。
当時、日本テレビ系列で放送された「木曜スペシャル 緊急報告!! UFO最新極秘情報」の冒頭で放映されたこの映像を見て、私は驚愕した。すぐに偽物だと判断したが、それまでのUFO映像とはひと目見て別物だったのである。
パソコンが一般的になり、画像編集やCGでの動画制作も身近な物となりつつあった時代だ。今後はコンピューターによる加工が使われた、真贋の判定が難しいUFO映像が増えていくのかと戦慄したものだ。その感覚は現在の生成AIによる映像の氾濫の衝撃に近い。
事実、このビデオはさまざまな理由でフェイクを指摘されている。アメリカのUFO研究団体MUFONに所属していた映像解析の専門家ジェフリー・セイニオは「ビル群を映した映像に、別で撮影された模型の映像を合成したもの」だという。コマ送りで見るとビル群とUFOとで手ブレによる揺れ方が違うのだ。
ただ、メキシコでは2025年末にもベラクルス州オリサバで似たような物体が目撃され、騒動となった。アメリカ軍の試験機やミサイルが目撃されやすいメキシコでは、当時も今もV字形や三角形のUFOの目撃談は多い。
そのためUFOやUAPへの関心が高いメキシコなのだが、残念なことに偽物も多い。明らかに照明弾や渡り鳥などの誤認があることも間違いないのだ。目撃事例もフェイクも多いという、ややこしい状況である。
なお2025年の夏にはこの日本国内でもフェニックスライトと同様のUFOが目撃され、われわれを興奮させたことを付記しておこう。目撃者は漫画家のラクトいちご氏で、母親と盆踊りを見ていた際に遭遇したV字形のUFOについて詳細なイラストを残している。
UFO好きの間では「UFOや異星人は絵が上手な人の前には現れない」という定説があるが、絵の本職の方の前に現れたことは喜ばしい。次は氏の前にUFOが降り立ち、乗組員との接近遭遇が果たされることを望んでやまない。その際には後世に残る美麗な異星人のイラストが描かれるはずだ。



● 参考
Lamat Realidad Alterna https://lamat-realidad-alterna.blogspot.com/2018/03/the-UFO-las-lomas-mexico-city-august-6.html
UFO事件簿 https://UFOjikenbo.blogspot.com/2017/04/phoenixLights.html
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=QvfdXTjB2NI
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=n0Q4J8_IahA
Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Phoenix_Lights
(月刊ムー 2026年04月号)
オオタケン
イーグルリバー事件のパンケーキを自作したこともあるユーフォロジスト。2005年に発足したUFOサークル「Spファイル友の会」が年一回発行している同人誌『UFO手帖』の寄稿者。
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