UFO研究家フリードマンの資料をFBIが隠し続ける理由は!? 捜査機関とUFO追求者たちの知られざる対立構造
UFO研究のレジェンド、スタントン・フリードマンは政府のUFO隠蔽工作の核心にどこまで迫っていたのか――。気鋭の研究家がフリードマンを監視していたFBIの文書を検証している。
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新たに公開された機密文書で、アメリカ政府はUFO現象に関する情報を隠蔽し、国民に対して印象操作を行っていたことが改めて浮き彫りになった。そこには、いったいどのような思惑があったのか――。
オーストラリア国立公文書館が公開した58ページにわたるアメリカ政府文書で、1953年にアメリカがUFOに関する情報を意図的に隠蔽していたことが判明した。
「US Official Attitude to UFOs(UFOに対するアメリカ当局の姿勢)」というセクションには、1952年の夏、UFOの目撃事件が通常の20倍以上あったと記されている。
空軍の一部からはUFOが「惑星間宇宙船」だとする声が上がる一方、CIAは軍に「プロジェクト・ブルーブック」を通じて事態に対処するよう要請していた。
1948〜1969年にかけて実施された米空軍のUFO研究プロジェクト「プロジェクト・ブルーブック」では、不可解な航空現象の分析と、それが国家安全保障に対する脅威となるかどうか精査されていた。
その後、CIAはUFO目撃の大半は気象観測気球、航空機のライト、自然現象の誤認によるものだとテレビ番組や新聞を使って広めたことが記されている。つまり、UFOはバカげた作り話であり嘲笑の対象であるとの印象操作を行っていたのである。
「アメリカは国民の不安を和らげるとともに、UFOの大量目撃がソ連との心理戦に利用されるリスクを減らそうとした」と文書は述べている。
つまり、当時のアメリカ政府はUFO現象がソ連の謀略である可能性を捨てていなかったことになる。その一方で、米空軍の一部はUFOは地球外起源の存在であり、国民に広く知らせる必要があるとの姿勢を見せていたのだ。
「米空軍の情報機関による分析では、アメリカの航空機よりはるかに進んだUFOの飛行特性が判明しており、地球外起源としか考えられません」(レポートより)
1952年にUFOの目撃が急増したことを受けて、政府は対策に乗り出している。
「(地球外からのコンタクトに)国民が心構えできるよう、1952年8月から1953年2月にかけて、機密扱いだった41件の報告書が公開された」(レポートより)
さらに、ハワード・P・ロバートソンが議長を務める科学委員会は、この41件の報告書の公開を受けて、1953年1月中旬に「UFO問題に関する今後の行動」を策定するための会合を開いた。
同会合では当時機密扱いだったUFOの2本のフィルムが上映され、一般国民にUFO現象をどのように伝えられるかが話し合われたが、結局のところ一部の情報は隠蔽したままにし、メディアを使ってUFO現象は自然現象の誤認であり、真剣にUFO分析に取り組む者を嘲笑する印象操作を行う方針が採用されたのである。
「このようなプログラムは、巧妙な敵対的プロパガンダに対する彼らの感受性を低下させることにもつながるはずです」と委員会は結論づけている。
さらに、この時期にCIAが妙な動きを見せていたことも明らかになっている。
1953年2月16日、CIAはUFO調査が中止されたかのように見せかけ、その裏ではプロジェクト・ブルーブックのチームを有能な人員10名にまで絞って調査を続けていたのである。さらに、CIAは内部情報を漏洩した者に対して最高10年の懲役と1万ドルの罰金を科すよう厳罰化した。
報告書には、プロジェクト・ブルーブックの主要メンバーが当時どのような心境であったのかを示す記述もある。
「D・フォーネット少佐、E・ルッペルト大尉、ヒレンコッター提督ら、UFO問題に関係する多くの諜報員は、アメリカ政府はUFOが地球外起源であることを知っているにもかかわらず、この事実を国民に隠していたと述べている」(レポートより)
その後もプロジェクト・ブルーブックは活動を継続し、最終的には物体を浮かせたり動かしたりする反重力装置など、UFOの性能を模倣した航空機の開発が可能になったという。
さらに、カナダで開発されていた円盤型軍用機「アブロ・カナダ VZ-9 アブロカー(Avro Canada VZ-9 Avrocar)」には、アメリカ政府が重力制御などの面で支援していたことまで記されている。
この円盤型軍用機が、地球外の先進技術を模したリバースエンジニアリングで設計されたものであるかどうかは文書からはわからない。それでも今回の一連のレポートは、当時のアメリカ政府がUFOをどう認識していたのか、その一端を垣間見せてくれる貴重な文献資料であることは間違いない。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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