サッカーの試合中にUFOが飛来し、謎物体エンゼルヘアを散布した!? 1954年の珍事「フィレンツェUFO騒動」の謎
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UFO研究のレジェンド、スタントン・フリードマンは政府のUFO隠蔽工作の核心にどこまで迫っていたのか――。気鋭の研究家がフリードマンを監視していたFBIの文書を検証している。
UFO墜落事件として1947年の「ロズウェル事件」に最初に着目した研究者の1人、スタントン・フリードマン(1934〜2019)は、「アメリカ政府が墜落したUFOの事故機とエイリアンの遺体を所有しており、これが一般に知られるのを防ぐために厳重な隠蔽を図っている」と主張し、生前はその秘密に迫る活動を行っていた。
フリードマンは米ニュージャージー州で生まれ、ラトガース大学に通った後、1950年代にシカゴ大学で物理学の修士を取得した。FBIの記録によると、彼は防衛産業で働き、国防総省の機密許可とエネルギー省の国家機密情報にアクセスするために必要とされる権限「Qクリアランス(Q clearance)」を与えられている。
その後、フリードマンはUFO研究に専心するようになり、1947年の「ロズウェル事件」や1961年のエイリアン・アブダクション「ヒル夫妻誘拐事件」などに特に着目し、多くの記事と著書を執筆すると共に全米各地で講演を行っている。
フリードマンは目撃されているUFOのうちの一部は、別の惑星からやって来たエイリアン種族の乗り物であり、彼らは地球を観察に来ているという見解に至ったとされている。ちなみに、UFOは現在の地球人の技術レベルを超えたものではあるものの、フリードマンは我々にも理解できる物理学と技術で設計製造されたものであると考えていたという。
アメリカ政府に対して数々の機密資料の開示を要求していたフリードマンは、FBIの調査・監視対象人物であったことでも知られている。FBIはフリードマンの活動のどこに注目していたのか。そしてフリードマンは政府の隠蔽にどこまで肉薄していたのか。
編集者でライターのジャック・ブルーワーは2019年、情報公開法(FOIA)に基づき、フリードマンに関するFBIの記録を請求した。FBIはすぐに文書を開示したものの、その内容はすでに公開されているものをまとめたに過ぎず、新しい情報は得られなかった。しかし、文書を改めて検証することで浮かび上がった不可解な点を、自身のブログ記事で解説している。
実はこの時、提供されたFBI文書は57ページだったが、本来の総ページ数は99ページあることをフリードマンは突き止めた。そして、この事実を指摘したところ、FBIも認めた。なんと残りの42ページは、情報公開およびプライバシー保護法の下で完全に開示対象から除外されていたのだ。では、この42ページにはいったい何が記されているのか。
ブルーワーが文書の検証を進めると、フリードマンを調査していたFBIの拠点がすぐにわかったという。それは、ボストンにあるFBI事務所だった。
ボストンのエージェントが1985年4月に当時のフーバーFBI長官に送ったメモには、フリードマンが特定のFBIファイルをどのようにして知ったのか「不明である」と記されている。特定のファイルとは、FBIと空軍との会議録や、空飛ぶ円盤の研究機関の設立案に関するものだった。
この記述が示唆しているのは、政府関係者の中にフリードマンのような民間の研究者に情報をリークしている者がいた可能性だ。したがって、FBIがフリードマンを監視していた主な理由の1つは、政府関係者との接点を探ることだったのかもしれない。
また、1985年5月28日のFBIメモは、文字列のかなりの箇所が空白のボックスで伏せらているのだが、これは(FBIにとっての)秘密の情報提供者について言及しているものと思われる。同メモでは、もし情報がFBIの外部に漏れた場合には、情報源を保護する必要があるとも言及されている。これはつまり、ボストンのFBIもまた外部の情報提供者を活用していたことを示している。
さらに、1985年3月27日のメモにも、FBIが秘密の情報提供者からフリードマンに関する情報を得ていたことを伺わせる記述がある。
フリードマンのようなUFO研究者たちが政府関係者から機密情報を引き出そうとした一方、FBI側もさまざまな外部の情報提供者に接触していた。これまつまり、両者が鋭く対立し、両者の間で情報戦が行われていたことを意味する。
1980年代半ばのUFOシーンは、フリードマンのほかにもリチャード・ドーティ、ビル・ムーア、リンダ・モールトン・ハウなどの超常現象研究者が多く活躍し、「ロズウェル事件」をはじめ「エリア51」、「マジェスティック12」、「キャトルミューティレーション」などのトピックについて、政府への情報開示要求が声高に叫ばれた時代だ。
著名なUFO研究家はともかく、そうしたUFO界隈の中にFBI側になびいた者がいたとしても不思議はない。もちろん、その逆もまた然りである。そのように考えると、政府関係者がフリードマンにもたらしたUFO情報のタレコミとは、当局が故意に広めようと画策した情報だった可能性も生じてくる。
いずれにしても、ボストンのFBI事務所はフリードマンらUFO研究家を監視し、牽制する任務の最前線を担っていたのかもしれない。そしてこの監視と対立関係は、現在のサブカルチャーとしてのUFO界隈と、捜査機関の間で今日も続いているのかもしれない。
トランプ政権の発足で今後さまざまな政府機密文書が公開されることが見込まれているが、現在も機密指定が解かれていないフリードマンに関する機密文書42ページ分もまた、白日の下に晒されることを期待したい。
【参考】
https://www.expandingfrontiersresearch.org/post/fbi-continues-to-withhold-stanton-friedman-records
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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