博物館の「怪異研究所」で働く少女が大活躍! 小説「博物館の少女 騒がしい幽霊」
児童文学作家・富安陽子による「明治の怪異」小説に新作登場。
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酒呑童子伝説を追うなかで遭遇した衝撃の酒呑童子の姿。そしてタニシは確信する。イケメンは、超人だ!
イケメン偉人絵巻は、国上寺の本堂をぐるりととりまくように描かれている。
こちらは良寛さんのひざをかりる酒呑童子。
そして、まるでウォータースライダーのように龍を乗りこなす上杉謙信と、酒呑童子。
この絵巻をめぐっては、本堂への設置以来国上寺と市の教育委員会とのあいだで軋轢が生じているという。しかし国上寺の住職は、寺離れの進んでいるこの時代に、1300年の歴史のある寺を守らなければならない、寺を存続させるためにと考えた結果打ち出したのがこの絵巻なのだと語っているのだそうだ。
日本にも艶やかな天女や女神の古い像があるが、つくられた当時の人からはこのイケメン絵巻のような気持ちでみられていたのかもしれない。そう考えれば「イケメン絵巻があるお寺」もアリだろう。そしてやっぱり、この絵巻も「イケメン」だからこそこれほど人を惹きつけるのだ。
こうして超人・酒呑童子について調査してきた結果、超人になるためのひとつの答えが浮かんできた。
超人には、イケメン要素が必要なのだ。イケメンは超人の必須要素だ。
しかし、これがなかなか難しい。イケメン要素を足そうと前髪を自分で整えてみたのだが、どうでしょうか。
だが、実はタニシ、かつてはイケメンだったのである。その証拠写真がこれだ!
6年前、事故物件に住んでる芸人をイケメン風にしようという企画があり、事故物件に住みながらこうなったのである。頑張ればこうなるわけです。
そして、さらにその昔のタニシをご覧いただこう。
世界の全てを恨んでいた、高校時代の一枚である。つまりタニシ外道丸時代の写真だ。
お分りいただけただろうか。
松原タニシの人生は、外道丸からイケメンへと、逆酒呑童子ルートを歩んでいたのだ。酒呑童子の人生と、ある意味で思わぬシンクロをみせていたのである!
となれば、あとはラブレターをもらって紫の煙を浴びれば、超人=酒呑童子になれるじゃないか。
というわけで呪いのラブレターを募集……しようと思ったのだが、この計画には致命的な欠陥があった。ラブレターを送った子が身投げしなければならないのだ。
ということで計画は中止。ラブレターは募集しません。
しかし、京都ではなく新潟で、本当にたまたま酒呑童子行列に出会い、調べてみるとタニシと酒呑童子の人生が意外とシンクロしているという偶然。この線で超人化できる確率はきわめて高そうだ。
ただ、一点だけ、イケメン化計画には重大な問題がある。
イケメン風ヘアになった6年前のあのとき、怖い話がまったくできなくなってしまったのだ。
自分の姿を見た瞬間「なんでイケメンがわざわざ事故物件すんでんねん」と意味がわからなくなり、ネタが全て飛んでしまったのである。
あわててもとの髪型にもどしたのだが、事故物件生活には、このキノコヘアと丸めがねが必要不可欠だったのだ。
イケメンになって鬼と化すか。キノコヘアのまま事故物件に住み続けるか。
事故物件か、鬼か。
タニシはいま、究極の二択を迫られている。
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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