魔術の歴史・理論・実践を見せる!「光の呪術史」/ムー民のためのブックガイド
「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
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加門七海 著
日本古来の呪術の世界を、丁寧に解説する呪術入門書
本書の著者の加門七海氏は、かつて本欄でもご紹介した『神を創った男 大江匡房』など、多数の作品で知られる作家であるが、民俗学や呪術に関する造詣が深く、間もなく公開予定の映画『陰陽師0』の「呪術監修」を務めているほどの、斯道の権威者でもある。
本書はそんな著者が「呪いやマジナイには効力がある、占いは当たる、幽霊や生き霊、神仏・妖怪は存在する」というスタンスの下、日本古来の呪術の世界を、丁寧に解説する呪術入門書である。
元々がNHK文化センターのオンライン講座をまとめたものというだけあって、文体は極めて温厚な口語体で、テンポもよく実に読みやすい。
呪術にまつわるよもやま話、うんちく集として読んでも十分に楽しめるが、紹介されている内容の中から、ピンと来た呪術を実践してみるのもおすすめである。
無論、本書一冊あればだれでも安倍晴明のように、式神を作成して自在に使役できる、というものではない。ただ、日常生活の中に呪術的思考を採り入れ、人生をより豊かなものにするためのヒントは、無数にちりばめられている。
また、とある理由から、「人を害する呪い」はほとんど記されていないので、そういうものを求める人は他を当たっていただきたい。
読み進めるほどに、この世界は実は「呪術」であふれかえっていることが実感できよう。
(月刊ムー 2024年5月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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